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プロローグ
どうにかなるって・・・思ってました。
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受け取った瞬間に私を取り巻く環境が一変した。それもかなり悪い方向で。
「なにここ・・・」
恐らくは洞窟かなにかの中だろう。気がつけば受け取ったメダルを握り締めたまま放り出されてしまったのだ。RPGに出てきそうな洞窟にはかがり火が焚かれており最低限の明るさが保たれているがそれでも私の不安を拭いさるほどの明るさではない。
「どうしたらいいの・・・?」
もちろん地図なんかあるわけもなくパニック寸前の頭に手を添えると硬い感触が。右手に目をやると彼から貰ったメダルが淡く輝いていた。
「これ・・・彼の口の中にあった・・・」
途方に暮れてじっと手のひらのメダルを見つめていると不意に輝いたメダルに矢印が浮かぶ。
際限なく続くような洞窟の片方の道を示しているようだ。
「こっちに行けってことかな」
私の呟きを肯定するようにメダルの光は淡くゆれる。まるで松明のように薄暗い空間を照らしているようだ。行くアテもないので仕方なく私はメダルが示す道へと進んでいく。地面が舗装された道路のようにでこぼこしていないのが幸いだ。もしこれで足場まで天然の洞窟だったらたちまち足を取られてしまうだろう。
それから何分歩いただろうか・・・、いい加減に疲れてきた所でようやく開けた場所に出ることができた。まるで神殿のような造りの空間に大きな水晶の柱が立っている。そして其れを囲むように立つドラゴンを象った石像がたたずんでいる。
「すごい・・・」
どの石像も精巧に作られており、どれもデザインが異なっている。何語でかかれているのか想像もつかないが何かしらの文字が刻まれており、五つの石像とその輪の中にある二対のドラゴンの石像が立っている。文字はわからないが刻んである絵がそれぞれ火・水・土・雷・風を現し、真ん中の二対はおそらく光と闇・・・かもしれない。だってお約束だし、五角形で連なってるとなるとそうとしか思えないから。
「そうなるとこの水晶の柱は何なんだろう?」
興味に負けて私は水晶の柱に近づいて見る。上には金属製の蓋のようなものがついており、よく見ると中は空洞になっているようだ。
「柱っていうより試験管みたい・・・」
『正確には培養槽かもしれんな』
「えっ?・・・きゃあっ!」
不意に持ち上がった体はそのまま宙に浮いた。まるで風に飛ばされているみたいに不安定で空中でくるくると体勢が入れ替わる。いい加減に気持ち悪くなり始めた頃に柱の蓋が独りでに開き、私はその中に放り込まれる。
『麗しい姫君が遣わされて我等も嬉しいぞ』
誰かがそう言うとろうそくに火が灯るように石像の目に光が灯っていく。
『素養は十分過ぎるほど・・・それに美しい』
『真に・・・試練を突破し我等の前に立つ日がこれほど待ち遠しい者は久方ぶりだ』
『ははは、これなら我等も加護の授け甲斐があろうと言う物。みよ、この者の器の大きさを』
『うむ、これは我らの力を受け入れるのに十分よな』
『しかしこれは困ったのう、これほどの者は次に何時現れるか・・・』
「うう・・・頭ぶつけた・・・」
放り込まれた際に頭をぶつけたのか視界がチカチカする。私が頭を抱えている間に石像たちはなにやら話し合っている様子だったが聞こえていなかった。
『武具と加護だけでは勿体無い』
『そうさ、勿体無い』
『我等で愛でよう』
『そうとも、我等で末永く』
『そのためには武具と加護だけではな』
『応とも、短すぎる。人のままではな』
「な、何の話?」
漸く痛みが引いてまともに話が聞けるようになった私の耳に飛び込んできたのはとんでもない言葉だった。
『お前はこれよりドラゴニュートとして生まれ変わるのだ』
「ドラゴ・・・ニュート?」
『龍人と呼ぶ者もおる』
「龍人・・・?生まれ変わるって?」
『直にわかる』
そう言うと柱の内部の底と天井部分から粘度の高い液体が染み出してくる。
「な、なにこれっ!ちょっと・・・!」
『なに、苦しむ事も無い筈。しばらく目を閉じて待っているがいい』
上下から降り注ぐ液体は琥珀色でまるで蜂蜜のよう。綺麗な色ではあるがこのままこの水晶の中身が満たされてしまったらどうなるかは明白だった。
「うぐっ・・・ごぼっ!」
やがて試験管が満タンになり、私は動く事も出来ず試験管にゆっくりと浮かぶ状態になる
(あ、あれ・・・苦しくない・・・でも、なんだか眠く・・・)
『良き哉良き哉・・・』
『麗しの姫君よ、目覚めを待ち望んでいるぞ』
最後の息を吐ききった私はさして苦しさを感じる事もなかった。しかしその液体の中でゆっくりと遠ざかっていく意識の中、遠く響く彼らの声を聞くばかりだった。
「なにここ・・・」
恐らくは洞窟かなにかの中だろう。気がつけば受け取ったメダルを握り締めたまま放り出されてしまったのだ。RPGに出てきそうな洞窟にはかがり火が焚かれており最低限の明るさが保たれているがそれでも私の不安を拭いさるほどの明るさではない。
「どうしたらいいの・・・?」
もちろん地図なんかあるわけもなくパニック寸前の頭に手を添えると硬い感触が。右手に目をやると彼から貰ったメダルが淡く輝いていた。
「これ・・・彼の口の中にあった・・・」
途方に暮れてじっと手のひらのメダルを見つめていると不意に輝いたメダルに矢印が浮かぶ。
際限なく続くような洞窟の片方の道を示しているようだ。
「こっちに行けってことかな」
私の呟きを肯定するようにメダルの光は淡くゆれる。まるで松明のように薄暗い空間を照らしているようだ。行くアテもないので仕方なく私はメダルが示す道へと進んでいく。地面が舗装された道路のようにでこぼこしていないのが幸いだ。もしこれで足場まで天然の洞窟だったらたちまち足を取られてしまうだろう。
それから何分歩いただろうか・・・、いい加減に疲れてきた所でようやく開けた場所に出ることができた。まるで神殿のような造りの空間に大きな水晶の柱が立っている。そして其れを囲むように立つドラゴンを象った石像がたたずんでいる。
「すごい・・・」
どの石像も精巧に作られており、どれもデザインが異なっている。何語でかかれているのか想像もつかないが何かしらの文字が刻まれており、五つの石像とその輪の中にある二対のドラゴンの石像が立っている。文字はわからないが刻んである絵がそれぞれ火・水・土・雷・風を現し、真ん中の二対はおそらく光と闇・・・かもしれない。だってお約束だし、五角形で連なってるとなるとそうとしか思えないから。
「そうなるとこの水晶の柱は何なんだろう?」
興味に負けて私は水晶の柱に近づいて見る。上には金属製の蓋のようなものがついており、よく見ると中は空洞になっているようだ。
「柱っていうより試験管みたい・・・」
『正確には培養槽かもしれんな』
「えっ?・・・きゃあっ!」
不意に持ち上がった体はそのまま宙に浮いた。まるで風に飛ばされているみたいに不安定で空中でくるくると体勢が入れ替わる。いい加減に気持ち悪くなり始めた頃に柱の蓋が独りでに開き、私はその中に放り込まれる。
『麗しい姫君が遣わされて我等も嬉しいぞ』
誰かがそう言うとろうそくに火が灯るように石像の目に光が灯っていく。
『素養は十分過ぎるほど・・・それに美しい』
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『ははは、これなら我等も加護の授け甲斐があろうと言う物。みよ、この者の器の大きさを』
『うむ、これは我らの力を受け入れるのに十分よな』
『しかしこれは困ったのう、これほどの者は次に何時現れるか・・・』
「うう・・・頭ぶつけた・・・」
放り込まれた際に頭をぶつけたのか視界がチカチカする。私が頭を抱えている間に石像たちはなにやら話し合っている様子だったが聞こえていなかった。
『武具と加護だけでは勿体無い』
『そうさ、勿体無い』
『我等で愛でよう』
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『そのためには武具と加護だけではな』
『応とも、短すぎる。人のままではな』
「な、何の話?」
漸く痛みが引いてまともに話が聞けるようになった私の耳に飛び込んできたのはとんでもない言葉だった。
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