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ガルデンヘイム王国王都で
宮殿で昼食を、そしてその前にカミングアウトを
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「命令不履行で減給されたくなかったらさっさと片付ける」
「り、了解しました・・・」
そう言うとデカイ背中を丸めてトボトボと修練場の後片付けを始めるオジさん。哀愁が漂う姿は夕方に帰る中年サラリーマンを彷彿とさせる。
「あんまりいじめちゃダメだよ?」
「大丈夫です、後で王家に属する石工たちが修理に来ますからそのときにちゃんと代わってもらうように言っておきますから」
「ふふ、なら安心だ」
基本的にお坊ちゃんは優しそうなので大丈夫だろう。オジさんとも仲が良さそうだし。
オジさんと修練場を後にして私とお坊ちゃんはまた王宮へと戻ってきた。そこには慌しくあちこちへと走り回るメイドさんたちが。
「だれかお客様でも来るの?」
「来るの?っていうか来てます」
「へー?誰が?」
そう言うとお坊ちゃんが私をジッと見る。綺麗な瞳に私が映りそうなくらいジーッと見る。
「もしかして私?」
「そうです、ですから昼食のご用意を」
「なるほど、ありがとうと言うべきかな?」
「お礼でもありますから御礼に御礼というのも変な話ですよ」
そう言うとお坊ちゃんは私の腕を取って歩き始める。するとメイドさんたちがなにやら温かい眼差しで私達を見ている。
「人が見てるよ?」
「良いんです」
王族にはこういったスキャンダルはご法度じゃないのかな。ま、王族や国の慣習を知らないからどうって事は言えないけど。もしかして虫除けにするつもりかな?可愛いから大変だね。
「ならこうしちゃうか」
「ひゃっ」
ぬいぐるみみたく抱っこして歩く。そうするとメイドさんたちの眼差しが一層明るくなる。
おお、キラキラしてるしお坊ちゃんは真っ赤になってるね。
「ぬっはっは、仲睦まじい事で誠に重畳」
そんな声が聞こえたのでお坊ちゃんを抱えたまま振り返ると昨日に出会ったマッチョなお父さんが現れた。彼もまたキラキラした眼差しで私達二人を見ている。
「父上!」
「后となってくれれば我が王国も安泰だがな」
「生憎と予定があるからね、すぐには無理かもよ」
「なんと!ならば時間をかければ可能なのか!?」
日本的な断り方はこのお父さんには通用しないようだ。ま、王族として国を牽引するんだからチャンスを逃したくないのだろうが。結婚相手にそんなに食いついてくるって実はお坊ちゃんって女の子に人気無いの?
「殿下ならお相手はいくらでも居そうだけど」
「女は沢山おる、だが倅のためになる女はそうおらん。国の為になるとなればなおさらな」
「えー」
「好いた女と添い遂げられるだけで男としては本懐よ、だが生憎と倅は王族、ワシの跡を継いで国王となる運命だ。ならば好いた女がよき人か、そうでないかを見極めるのは親の務めだろうて」
「それで・・・私はそのお眼鏡に適ったの?」
そう言うとお父さんはにんまりと笑顔を浮かべてずいと近寄ると笑顔を深めて言う。
「聞きたいか?わざわざ」
「いえ、遠慮しときます」
お父さんの後ろには一対のブレスレットがメイドさんたちに捧げもたれている。あれ、これってヤバイ雰囲気。あれって絶対婚約の儀式的なアレだよね。
「とりあえず師匠達の御使い・・・っていうか下された使命が全うできるまではちょっと」
「何をケチ臭い、そなたは千年を生きる龍人の、しかも五龍に見初められた女性ではないか」
けち臭いって、そんなことで結婚相手を決めるのは非常識・・・っていうか今、なんて言った?
「今、なんて言った?」
「む?倅との子供は男女三人は欲しい・・・と」
「そこじゃない・・・って言うか言ってないでしょ」
む?となにか変なこと言ったか?といった様子のお父さん。しかし私は聞き漏らさないぞ。
千年?寿命が?え、何それ怖い。
「私の寿命って四桁乗っちゃってるの?」
「うむ、古代から稼動している我が秘宝『悠久の歴史時計』には時代を生きた英傑達の生涯が年表となって記録されておる。その中にそなたと同じような英傑がいたのだ」
一つ、龍の加護を受けて地上に放たれたドラゴンの翼を持つ男性。齢1200年にて永遠の眠りにつく。古代ルンバニア王国時代の遺跡として今も発掘作業が続く。
二つ、同じく龍の加護を受けて洞窟より這い出たドラゴンの尾と牙をもつ魍魎、数多の大陸を蹂躙するも齢900年にて同じく龍の加護を受けた英傑により討伐される。
三つ、二つで述べた魍魎を討伐した女傑。翼はなかったが龍の鱗を身に纏い強靭な肉体で相手を見事討伐、その後消息を絶つも遺跡にて眠りについた彼女を学者が発見。触れた瞬間に光の粒となって消滅したため生没年は正確には把握されず。秘宝によると1050年。
「彼らは皆千年に近い時間かそれ以上を生きた、だからそなたもきっと千年を生きられるだろう」
「・・・ない」
「ぬ?」
「聞いてないよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
せいぜい百年とかかと思ってたのに・・・千年って・・・師匠、愛が重いよ・・・。
「り、了解しました・・・」
そう言うとデカイ背中を丸めてトボトボと修練場の後片付けを始めるオジさん。哀愁が漂う姿は夕方に帰る中年サラリーマンを彷彿とさせる。
「あんまりいじめちゃダメだよ?」
「大丈夫です、後で王家に属する石工たちが修理に来ますからそのときにちゃんと代わってもらうように言っておきますから」
「ふふ、なら安心だ」
基本的にお坊ちゃんは優しそうなので大丈夫だろう。オジさんとも仲が良さそうだし。
オジさんと修練場を後にして私とお坊ちゃんはまた王宮へと戻ってきた。そこには慌しくあちこちへと走り回るメイドさんたちが。
「だれかお客様でも来るの?」
「来るの?っていうか来てます」
「へー?誰が?」
そう言うとお坊ちゃんが私をジッと見る。綺麗な瞳に私が映りそうなくらいジーッと見る。
「もしかして私?」
「そうです、ですから昼食のご用意を」
「なるほど、ありがとうと言うべきかな?」
「お礼でもありますから御礼に御礼というのも変な話ですよ」
そう言うとお坊ちゃんは私の腕を取って歩き始める。するとメイドさんたちがなにやら温かい眼差しで私達を見ている。
「人が見てるよ?」
「良いんです」
王族にはこういったスキャンダルはご法度じゃないのかな。ま、王族や国の慣習を知らないからどうって事は言えないけど。もしかして虫除けにするつもりかな?可愛いから大変だね。
「ならこうしちゃうか」
「ひゃっ」
ぬいぐるみみたく抱っこして歩く。そうするとメイドさんたちの眼差しが一層明るくなる。
おお、キラキラしてるしお坊ちゃんは真っ赤になってるね。
「ぬっはっは、仲睦まじい事で誠に重畳」
そんな声が聞こえたのでお坊ちゃんを抱えたまま振り返ると昨日に出会ったマッチョなお父さんが現れた。彼もまたキラキラした眼差しで私達二人を見ている。
「父上!」
「后となってくれれば我が王国も安泰だがな」
「生憎と予定があるからね、すぐには無理かもよ」
「なんと!ならば時間をかければ可能なのか!?」
日本的な断り方はこのお父さんには通用しないようだ。ま、王族として国を牽引するんだからチャンスを逃したくないのだろうが。結婚相手にそんなに食いついてくるって実はお坊ちゃんって女の子に人気無いの?
「殿下ならお相手はいくらでも居そうだけど」
「女は沢山おる、だが倅のためになる女はそうおらん。国の為になるとなればなおさらな」
「えー」
「好いた女と添い遂げられるだけで男としては本懐よ、だが生憎と倅は王族、ワシの跡を継いで国王となる運命だ。ならば好いた女がよき人か、そうでないかを見極めるのは親の務めだろうて」
「それで・・・私はそのお眼鏡に適ったの?」
そう言うとお父さんはにんまりと笑顔を浮かべてずいと近寄ると笑顔を深めて言う。
「聞きたいか?わざわざ」
「いえ、遠慮しときます」
お父さんの後ろには一対のブレスレットがメイドさんたちに捧げもたれている。あれ、これってヤバイ雰囲気。あれって絶対婚約の儀式的なアレだよね。
「とりあえず師匠達の御使い・・・っていうか下された使命が全うできるまではちょっと」
「何をケチ臭い、そなたは千年を生きる龍人の、しかも五龍に見初められた女性ではないか」
けち臭いって、そんなことで結婚相手を決めるのは非常識・・・っていうか今、なんて言った?
「今、なんて言った?」
「む?倅との子供は男女三人は欲しい・・・と」
「そこじゃない・・・って言うか言ってないでしょ」
む?となにか変なこと言ったか?といった様子のお父さん。しかし私は聞き漏らさないぞ。
千年?寿命が?え、何それ怖い。
「私の寿命って四桁乗っちゃってるの?」
「うむ、古代から稼動している我が秘宝『悠久の歴史時計』には時代を生きた英傑達の生涯が年表となって記録されておる。その中にそなたと同じような英傑がいたのだ」
一つ、龍の加護を受けて地上に放たれたドラゴンの翼を持つ男性。齢1200年にて永遠の眠りにつく。古代ルンバニア王国時代の遺跡として今も発掘作業が続く。
二つ、同じく龍の加護を受けて洞窟より這い出たドラゴンの尾と牙をもつ魍魎、数多の大陸を蹂躙するも齢900年にて同じく龍の加護を受けた英傑により討伐される。
三つ、二つで述べた魍魎を討伐した女傑。翼はなかったが龍の鱗を身に纏い強靭な肉体で相手を見事討伐、その後消息を絶つも遺跡にて眠りについた彼女を学者が発見。触れた瞬間に光の粒となって消滅したため生没年は正確には把握されず。秘宝によると1050年。
「彼らは皆千年に近い時間かそれ以上を生きた、だからそなたもきっと千年を生きられるだろう」
「・・・ない」
「ぬ?」
「聞いてないよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
せいぜい百年とかかと思ってたのに・・・千年って・・・師匠、愛が重いよ・・・。
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