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ドラゴンと独立宣言の章
パーティでのあれこれ
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一旦詰め所に戻った俺はお色直しを済ませると仲間に声を掛けて戻ってきたアウロラと合流し、彼女の服装なども整えてパーティ会場へと一足先に向かう事にした。
「ようこそいらっしゃいました、アダムスター伯爵様」
受付に出ていた執事然とした老紳士に招かれて俺達は王宮の中へと向かう。
「き、緊張します」
「ディナーは立食だからそこまで気にする必要はないぞ。なにかあっても俺がフォローしてやるから」
ガチガチに緊張しているアウロラを引き摺りながら俺達は客間に通される。他の面々は玄関ホールで集まっているらしい。俺達が此処に居るのはいわゆるビップ扱いだ。
「客間のソファも豪華ですね」
ソファの柔かさに子供のように跳ねるアウロラ。やめなさい、大きな二つの果実がぽよぽよ揺れててけしからんから。子供かお前は。
「華美ですが嫌味でない感じが素敵ですね」
「そうだな、俺としてはもっと地味でもいいんだがな」
「旦那様は質を問われますからねぇ」
和のテイストが恋しい自分にとって洋装というのはどうにもなじみが無かった。木造の多いサマルでも全て洋装に統一されておりイマイチ納得しかねる内装が多い。
「ヴォル、もう来ていたんですか」
ドアを開ける音と共に声が聞こえるので首を向けるとアレクシアが軍服の礼装で佇んでいた。
「ほほう、女性の軍服というのもなかなか・・・」
「お似合いですよ、殿下」
「ありがとうございます」
締まるところは締まり、出る所は出る。筋肉質でちょっと腕などは礼装がキツそうだがそれでも細身である事には変わりなく、女性としての魅力はちっとも損なわれていない。
「しかし背が伸びたよな」
「180センチほどでしょうか」
「179センチですよぅ」
「そうですねぇ、179センチですねぇ」
アウロラがよしよししてあげると何故だか嬉しそうなアレクシア。子ども扱いされるのが嬉しいのか?!
そういえば彼女はまだ十代後半に差しかかったばかりなのだ。
「しかし主賓がこんな所に居ていいのか?」
「いいんですよ、スピーチとかは皆父上と御爺様がしますから。私は上から手を振ってからパーティに参加する感じです。正直苦手なダンスとかしなくていいんで楽チンなのですよ」
なんかちょっと駄目な発言をしている感じがするが気にしないでおこう。考えて見ればアレクシアも小さい頃は私生児扱いだったから貴族としての教育が遅れているんだよな。そんでもってその間はずっと剣ばかり振っていて・・・しまった、アレクシアがこんな残念な子になってしまったのは俺が原因でもあるのか。
「旦那様?」
「すまん、ちょっと育て方を間違えたよ」
「?」
二人がそろって首をこてんと傾ける。かわいい。
しかしながら三分の二が女性で占める場でありながら居るのは脳筋だけだという非常に残念極まりない状態である。二人とも可愛いんだけどな。
「アダムスター伯爵、そろそろお時間でございます」
談笑を楽しんでいると先ほどの老紳士が尋ねてきてくれた。どうやらパーティが始まるらしい。
「それじゃあ先に行って待ってるからサボるんじゃないぞ」
「サボりません!」
アレクシアはぷんすか怒っていたが先ほどの駄目発言があるのでちょっと心配だ。ま、ダンスが苦手くらいで逃げ出したりはせんだろうが・・・。
「いやはやこれまた大勢の客がきたもんだ」
アウロラを連れて入ると既にホールは沢山の客で賑わっていた。そして俺が入ると入り口から一斉に俺に視線が集まる。
(あれがアダムスター卿か・・・なんとも精悍な若者ですな)
(数千の兵を引き連れて現れたとか・・・)
(あの闘将ガランドの子息か、相当な使い手のようだ)
(成り上がり者が大物気取りで現れたぞ)
さまざまなヒソヒソ話が聞こえてくるのを聞き流しながら俺はホールの奥へと歩を進める。少しばかり遠巻きに皆は陣取っており声を掛けたいがどう声を掛けたらいいのかわからないといった様子だ。
「アウロラ、ここら辺にきているのはサマルの重鎮ばかりだ、顔を覚えて帰ると色々と便利だぞ」
「そうなのですか」
王宮に参上できる以上ここら辺に来ているのは何れも名士である。令嬢が何人か怖いくらいの目つきで此方を見ている事以外は至って普通のパーティだろうか。
「今晩は、アダムスター伯爵」
そんな時、凛とした声が俺に届く。ゆったりとしたフリル付きの衣装に身を包んだ女性と見紛うほどの振る舞いと美貌を持つこの国の王子、フランツが俺の目の前に何時の間にか立っていた。
「これは、フランツ王子。傾国の美姫といった出で立ちですな」
「ふふっ、そういってもらえると嬉しいな。今日は張り切っちゃった」
声変わりはとうに過ぎたはずだがアレクシアよりも高い声で笑顔を浮かべると結構な破壊力を持っている。
「アレクシアといい、フランツといい、わが道を究めるのを悪いとは言わないがね・・・」
「ふふ、口調が何時ものようになっているよ。ボクだって父上ほどひ弱では無いから心配しなくていいよ」
皇太子は武芸に置いて全く駄目の駄目だがフランツはレイピアやサーベルなどを器用に使う才能を持っている。腰に下げているレイピアとソードブレイカーがドレスのような服装と相まって存在感を持っている。
「ようこそいらっしゃいました、アダムスター伯爵様」
受付に出ていた執事然とした老紳士に招かれて俺達は王宮の中へと向かう。
「き、緊張します」
「ディナーは立食だからそこまで気にする必要はないぞ。なにかあっても俺がフォローしてやるから」
ガチガチに緊張しているアウロラを引き摺りながら俺達は客間に通される。他の面々は玄関ホールで集まっているらしい。俺達が此処に居るのはいわゆるビップ扱いだ。
「客間のソファも豪華ですね」
ソファの柔かさに子供のように跳ねるアウロラ。やめなさい、大きな二つの果実がぽよぽよ揺れててけしからんから。子供かお前は。
「華美ですが嫌味でない感じが素敵ですね」
「そうだな、俺としてはもっと地味でもいいんだがな」
「旦那様は質を問われますからねぇ」
和のテイストが恋しい自分にとって洋装というのはどうにもなじみが無かった。木造の多いサマルでも全て洋装に統一されておりイマイチ納得しかねる内装が多い。
「ヴォル、もう来ていたんですか」
ドアを開ける音と共に声が聞こえるので首を向けるとアレクシアが軍服の礼装で佇んでいた。
「ほほう、女性の軍服というのもなかなか・・・」
「お似合いですよ、殿下」
「ありがとうございます」
締まるところは締まり、出る所は出る。筋肉質でちょっと腕などは礼装がキツそうだがそれでも細身である事には変わりなく、女性としての魅力はちっとも損なわれていない。
「しかし背が伸びたよな」
「180センチほどでしょうか」
「179センチですよぅ」
「そうですねぇ、179センチですねぇ」
アウロラがよしよししてあげると何故だか嬉しそうなアレクシア。子ども扱いされるのが嬉しいのか?!
そういえば彼女はまだ十代後半に差しかかったばかりなのだ。
「しかし主賓がこんな所に居ていいのか?」
「いいんですよ、スピーチとかは皆父上と御爺様がしますから。私は上から手を振ってからパーティに参加する感じです。正直苦手なダンスとかしなくていいんで楽チンなのですよ」
なんかちょっと駄目な発言をしている感じがするが気にしないでおこう。考えて見ればアレクシアも小さい頃は私生児扱いだったから貴族としての教育が遅れているんだよな。そんでもってその間はずっと剣ばかり振っていて・・・しまった、アレクシアがこんな残念な子になってしまったのは俺が原因でもあるのか。
「旦那様?」
「すまん、ちょっと育て方を間違えたよ」
「?」
二人がそろって首をこてんと傾ける。かわいい。
しかしながら三分の二が女性で占める場でありながら居るのは脳筋だけだという非常に残念極まりない状態である。二人とも可愛いんだけどな。
「アダムスター伯爵、そろそろお時間でございます」
談笑を楽しんでいると先ほどの老紳士が尋ねてきてくれた。どうやらパーティが始まるらしい。
「それじゃあ先に行って待ってるからサボるんじゃないぞ」
「サボりません!」
アレクシアはぷんすか怒っていたが先ほどの駄目発言があるのでちょっと心配だ。ま、ダンスが苦手くらいで逃げ出したりはせんだろうが・・・。
「いやはやこれまた大勢の客がきたもんだ」
アウロラを連れて入ると既にホールは沢山の客で賑わっていた。そして俺が入ると入り口から一斉に俺に視線が集まる。
(あれがアダムスター卿か・・・なんとも精悍な若者ですな)
(数千の兵を引き連れて現れたとか・・・)
(あの闘将ガランドの子息か、相当な使い手のようだ)
(成り上がり者が大物気取りで現れたぞ)
さまざまなヒソヒソ話が聞こえてくるのを聞き流しながら俺はホールの奥へと歩を進める。少しばかり遠巻きに皆は陣取っており声を掛けたいがどう声を掛けたらいいのかわからないといった様子だ。
「アウロラ、ここら辺にきているのはサマルの重鎮ばかりだ、顔を覚えて帰ると色々と便利だぞ」
「そうなのですか」
王宮に参上できる以上ここら辺に来ているのは何れも名士である。令嬢が何人か怖いくらいの目つきで此方を見ている事以外は至って普通のパーティだろうか。
「今晩は、アダムスター伯爵」
そんな時、凛とした声が俺に届く。ゆったりとしたフリル付きの衣装に身を包んだ女性と見紛うほどの振る舞いと美貌を持つこの国の王子、フランツが俺の目の前に何時の間にか立っていた。
「これは、フランツ王子。傾国の美姫といった出で立ちですな」
「ふふっ、そういってもらえると嬉しいな。今日は張り切っちゃった」
声変わりはとうに過ぎたはずだがアレクシアよりも高い声で笑顔を浮かべると結構な破壊力を持っている。
「アレクシアといい、フランツといい、わが道を究めるのを悪いとは言わないがね・・・」
「ふふ、口調が何時ものようになっているよ。ボクだって父上ほどひ弱では無いから心配しなくていいよ」
皇太子は武芸に置いて全く駄目の駄目だがフランツはレイピアやサーベルなどを器用に使う才能を持っている。腰に下げているレイピアとソードブレイカーがドレスのような服装と相まって存在感を持っている。
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