ドラゴンになったので世界を救う為に国と跡継ぎつくります!

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ドラゴンと独立宣言の章

リットリオにて悪だくみ

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魔術師であるセボを仲間に引き入れ、ティアジョーカーズを手中に収めた俺は街角のカフェーで一休みしていた。
時間的な余裕もあったが一番の理由は・・・。

「うぅぅぅ・・・気持ち悪い・・・」
「大丈夫?」
「は、吐きそう・・・」

外出慣れしていないセボが人混みに酔った。大して混んでも居ないと思ったがそれは一般的な反応だっただろうか。

「うう・・・やっぱりお家帰る・・・」
「リットリオを出るまでの辛抱ですから、頑張って!」
「仕方ないな、お前たちは近場の宿にでも行っといてくれ」

財布を彼女に預けると俺は一人、カフェーを出る。少しばかり平和過ぎて拍子抜けしていたところだ。此処は一つ俺が単身で乗り込んで好きに動いてみよう。

「さて、手ぶらだが・・・ま、なんとかなるか」

腰には愛刀が、そして俺の五体は満足に動く。それだけで準備は万端だ。やる気もそれなりにあるし。
さて、一人で気ままにとなればアンジェリーノ侯爵の邸宅を訪問するだけで事は足りる。そこで話が出来ればよし、できなければできるように動くだけの事。

と、そう思っていたのだが・・・。

「もし、そこの御仁・・・」

ざくざくと街を歩く俺を目ざとく見つけたのか馬車が停まった。その窓から狐目の男が俺を見下ろしている。

「誰だ?」
「申し遅れました、私クリストフ・アレンデル伯爵と申します。ヴォルカン伯爵」

サマルの訛りだ。それも王都に近い都訛りだな。馬車からせめて降りて話するだけの礼儀があれば俺も話しやすいんだがな。こういった連中は新参者を好かない。特に俺のような新しい事を始める奴は特に。

(どういった訳か関わってなくても分け前がもらえると思ってやがるからな)

今のサマルを作り出したのは自分だとか、そんな感じの気概を持っているならともかく今の自分の地位という奴が当たり前だから自分達にも分け前があるとそう考えているらしい。

「それはどうも、リットリオまで如何様なご用向きで?」
「ここでの立ち話は少しばかり場所が悪い、移動しても?」
「そうか、それなら今日は都合が悪い。後にしてくれると助かる」

ザ・日本人対応。後にする=てめえなんぞ知ったことか。俺的にはそうなる。必要な事なら呼ばれずとも俺から出向くからな。どうしても外せないときは代理を立てる。俺的には普通の対応である。

「そうおっしゃらず、悪い話ではありません」

どうだかな、俺の都合を考えてもくれないんじゃ評価は初っ端からマイナススタートだぜ?道すがら出会って商談なんて失礼にもほどがある。爵位は同格、将来は一応王族に名を連ねるんだけどね俺。

「内緒話がしたいならザンナルの跡地まで来るんだな。あそこなら俺も働いてる」

たまにだけど。それと、大体名前だけの感じになりつつある。アレクシアも似たようなものだが彼女は軍の統帥権があるからいざという時軍事行動を起こす権利がある以上ザンナルの跡地でいつ来るかもわからない争いに備えて軍務整理を行っている。お陰でハネムーンは婚約とザンナル復興のめどがついてからだ。

「そうまで仰るのでしたら・・・時に伯爵は婚約はお考えで?」
「ん?ああ、もう三人ばかりいるが?」
「えっ」

まさか俺に自分の娘とかを当てがいたかったのか?知らんがな。

「悪いが妻の人数は足りてるから」

貴族の淑女なんて言うと聞こえは良いが俺の思い描く淑女のイメージと結構かけ離れてるからなぁ。特に王都の淑女は浪費癖が恐ろしい。使う事ばかり覚えてやがるからな、茶会の度に新しいドレスとか、茶器とか。
生憎と俺は内需に回すので金は足りないんだ。家族を贅沢させるだけの蓄えはほとんどない。ほんとだぞ。

(ゆえにスキンシップとかで誤魔化しているところも否めない・・・)

温泉とか旅行に連れて行ったりすると喜んでくれるのでありがたいが彼女達がもしも駄々をこねたらどうしようか。
ああ怖い。

「えっと、しかし教育も行き届いていて・・・」
「内政に携われるだけの知識か、商売の才能があるのか?」
「えっ」
「ダンスとかそういうのは俺は求めない。辺境伯の息子がそんなものに興味あると思っていたのならとんだ見込み違いだな、そもそも王都を離れて辺境に行くだけの気概があるんだろうな?」
「・・・いや、その・・・」
「あと、支度金はいくら出せる?はした金なら娘つけて送り返すからな」
「しかし、我が家は古くからの・・・」

古いだけで何があるというんだ?長年辺境伯を務めて来たアダムスター家を上回るのか?祖父は王宮でも有数の実力者だったが。

「歴史がどうかは知らんが頼み事をするのに馬車から降りるだけの礼儀も知らないんじゃ話すだけ無駄だ。父親がこの有様じゃ高が知れる」

要らんよ、とそう言うと俺は返事を待たずに歩きだした。あー、無駄な時間だ。恐ろしく。
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