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ドラゴンと独立宣言の章
悲しきボッチ
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唐突に泣き出した天才魔術師こと、セボ・マシュート。マシュート家は魔術王との呼び声高い魔法使いであり、呪術師の一族らしい。それがなぜこんなあばら家で生活しているのか?
「落ち着いて来たか?」
「うぅぅ・・・もうやだぁ・・・」
ぐすぐすとぐずりながら慰めに入ったアウロラに抱き着いているセボ。どうしたもんか。
「しかしまあ、それほどの家系ともなれば色々もってるんじゃないのか?金なりコネなり」
「うぅぅ・・・親戚は皆いろんな国の王宮とかで魔術師してたり祈祷師したりしてる・・・」
「だったら・・・」
「私、攻撃的な魔法嫌い・・・でも治癒術も中途半端なの・・・」
そう言うと彼女は自身の経歴を語ってくれた。それはアウロラが最初に言った通り魔術の歴史には素人といっていい俺にもわかるほどの功績、綺羅星の如きものだ。
「魔法行使における魔力効率の上昇、火魔法の温度上昇、水魔法の透明度の上昇、風魔法の指向性の発露・・・これだけでもお前が発見したのは凄まじいな」
魔法陣の簡略化、文字をパズルのようにして簡単に作れるようにした判子版の魔法陣作成機などなど。印刷機の原型のようなものまで作っている。天才魔術師との呼び声はまさしく妥当だろう。
「それがなんでこんなところに・・・」
「攻撃魔法を作れって・・・言い始めて・・・私ならできるんじゃないかってみんな騒ぎだして・・・断ったらお金が欲しいのかって・・・みんな怒りだして・・・」
それからはあっという間の転落人生だったという。親族からは攻撃魔法が使えない(実際は使いたくない)とわかるや否や完璧主義の集まりだったのか落第者としての烙印を押され、功績もなにもかも失ってここまで流れて来たのだという。
「それで、そのティアージョーカーズを作ったのは?」
「か、簡単に言うと仕返し・・・かな・・・私でも、これくらいできるぞー・・・って。後は、私みたいにあぶれて困ってる人の為に呪印を解いてあげたりとかしてた」
本人には悪戯のつもりだったという。それであれだけ巧妙なレベルの呪術を作り出すのだから才能も枯れてはいないようだ。
「ただ、呪印を解いてあげたら最初は手伝ってくれたんだけど・・・あ、後は皆自分のやりたいことを探しに行っちゃって・・・気づけばまた独りぼっちで、それで・・・最近は新しい人も来ないから生活にも困って来てた」
「なるほどな、そういう事なら増々放っておけない。俺んとこ来い、衣食住は保証してやるし、ちまちまと発明するくらいなんにも言わないから」
「そ、そうだね・・・それなら・・・行こうかな・・・ゆっくりしたいし」
見た感じだらけ切っているようにも見えたが彼女なりの苦労があるのだろうか。来るもの拒まず、去るもの追わずで生きてきたらしい彼女は孤独に慣れてしまっていると思っていたが案外そうでもないらしい。
「さて、と、久しぶりだけど・・・私なら、なんでもない、そう、なんでもないんだよ」
炬燵から出ると質素な服装のまま彼女はゆったりとした動作で杖を振った。まるで魔法使いのそれだ。ネズミのアニメに出てくる魔法使いのそれに似ているだろうか。それと同時に部屋の中身が意思を持ったように動き出した。
それから部屋の片隅で埃を被っていた古い革の鞄がこれまた犬か何かの様にブルっと身震いをして誇りを落とすと口を開けて家具を全て飲み込んでいく。家具たちは一列に並んで順番に鞄の中に入っていき、炬燵も入る頃には部屋はもぬけの殻だった。
「さて、後は、よ、装いだね」
杖を振ってくるりと一回転。するとまさしく、希代の天才魔術師と称されるべき魔法使いが俺たちの目の前に現れる。マントにとんがり帽子、杖も白い上等そうなもので、背筋もしゃんとしている。
「原初の王よ、貴方の召喚に応じ今より参上致します。どうか、遅参のご無礼容赦くださいませ」
「ふ、なかなか様になってるじゃないか。まるで魔法使いみたいだ」
「ふふ、どうでしょうか。それはこれからお見せしていく事かと」
俺の皮肉にも笑って対応できる様子。仕事のオンオフがきっちりできるようだ。さっきまでのジャージが似合いそうな貧乏学生みたいな雰囲気はどこへやら。
「さてと、これでティアージョーカーズも一旦休業だな」
「そうなりましょう」
俺たちは彼女を連れてあばら家を後にすることにした。新しい仲間も迎えられたのでこれで後顧の憂いもなくなっただろう。あとはアンジェリーノ侯爵を説得できればリットリオの問題も晴れて解決だ。
「さて、後は彼の人柄次第か・・・」
寂れた場所を抜けて俺たちは大通りへと戻る。さてさて、これからどうしようかな。
「落ち着いて来たか?」
「うぅぅ・・・もうやだぁ・・・」
ぐすぐすとぐずりながら慰めに入ったアウロラに抱き着いているセボ。どうしたもんか。
「しかしまあ、それほどの家系ともなれば色々もってるんじゃないのか?金なりコネなり」
「うぅぅ・・・親戚は皆いろんな国の王宮とかで魔術師してたり祈祷師したりしてる・・・」
「だったら・・・」
「私、攻撃的な魔法嫌い・・・でも治癒術も中途半端なの・・・」
そう言うと彼女は自身の経歴を語ってくれた。それはアウロラが最初に言った通り魔術の歴史には素人といっていい俺にもわかるほどの功績、綺羅星の如きものだ。
「魔法行使における魔力効率の上昇、火魔法の温度上昇、水魔法の透明度の上昇、風魔法の指向性の発露・・・これだけでもお前が発見したのは凄まじいな」
魔法陣の簡略化、文字をパズルのようにして簡単に作れるようにした判子版の魔法陣作成機などなど。印刷機の原型のようなものまで作っている。天才魔術師との呼び声はまさしく妥当だろう。
「それがなんでこんなところに・・・」
「攻撃魔法を作れって・・・言い始めて・・・私ならできるんじゃないかってみんな騒ぎだして・・・断ったらお金が欲しいのかって・・・みんな怒りだして・・・」
それからはあっという間の転落人生だったという。親族からは攻撃魔法が使えない(実際は使いたくない)とわかるや否や完璧主義の集まりだったのか落第者としての烙印を押され、功績もなにもかも失ってここまで流れて来たのだという。
「それで、そのティアージョーカーズを作ったのは?」
「か、簡単に言うと仕返し・・・かな・・・私でも、これくらいできるぞー・・・って。後は、私みたいにあぶれて困ってる人の為に呪印を解いてあげたりとかしてた」
本人には悪戯のつもりだったという。それであれだけ巧妙なレベルの呪術を作り出すのだから才能も枯れてはいないようだ。
「ただ、呪印を解いてあげたら最初は手伝ってくれたんだけど・・・あ、後は皆自分のやりたいことを探しに行っちゃって・・・気づけばまた独りぼっちで、それで・・・最近は新しい人も来ないから生活にも困って来てた」
「なるほどな、そういう事なら増々放っておけない。俺んとこ来い、衣食住は保証してやるし、ちまちまと発明するくらいなんにも言わないから」
「そ、そうだね・・・それなら・・・行こうかな・・・ゆっくりしたいし」
見た感じだらけ切っているようにも見えたが彼女なりの苦労があるのだろうか。来るもの拒まず、去るもの追わずで生きてきたらしい彼女は孤独に慣れてしまっていると思っていたが案外そうでもないらしい。
「さて、と、久しぶりだけど・・・私なら、なんでもない、そう、なんでもないんだよ」
炬燵から出ると質素な服装のまま彼女はゆったりとした動作で杖を振った。まるで魔法使いのそれだ。ネズミのアニメに出てくる魔法使いのそれに似ているだろうか。それと同時に部屋の中身が意思を持ったように動き出した。
それから部屋の片隅で埃を被っていた古い革の鞄がこれまた犬か何かの様にブルっと身震いをして誇りを落とすと口を開けて家具を全て飲み込んでいく。家具たちは一列に並んで順番に鞄の中に入っていき、炬燵も入る頃には部屋はもぬけの殻だった。
「さて、後は、よ、装いだね」
杖を振ってくるりと一回転。するとまさしく、希代の天才魔術師と称されるべき魔法使いが俺たちの目の前に現れる。マントにとんがり帽子、杖も白い上等そうなもので、背筋もしゃんとしている。
「原初の王よ、貴方の召喚に応じ今より参上致します。どうか、遅参のご無礼容赦くださいませ」
「ふ、なかなか様になってるじゃないか。まるで魔法使いみたいだ」
「ふふ、どうでしょうか。それはこれからお見せしていく事かと」
俺の皮肉にも笑って対応できる様子。仕事のオンオフがきっちりできるようだ。さっきまでのジャージが似合いそうな貧乏学生みたいな雰囲気はどこへやら。
「さてと、これでティアージョーカーズも一旦休業だな」
「そうなりましょう」
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「さて、後は彼の人柄次第か・・・」
寂れた場所を抜けて俺たちは大通りへと戻る。さてさて、これからどうしようかな。
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