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ドラゴンと独立宣言の章
リットリオで悪だくみ・・・したいんだけど
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全くもって無駄な時間を過ごし、正直イライラしていた俺は誰と目を合わせることもなく街を歩き続ける。
「ふん・・・」
こういう時には何にも興味が沸かない。不思議なものだ。そう思っていたのだが・・・。
「あ!おじさんだーっ!」
俺のもやもやを吹き飛ばすような明るい声が背中にぶつかり。
「ほんとだ!おじさんだ!」
「帰って来てたんだ!」
「おじさん!」
堰を切ったように押し寄せる明るい声と俺を囲む屈託のない笑顔達。
「お、なんだ・・・今はお手伝いの最中か?」
立ち止まって振り返ると孤児院の子供たちが俺を取り囲んでいた。喧噪に混じって騒ぐ彼女達の声は華やかで、周りの雰囲気さえも和やかになる。皆が食材の入った紙袋を抱えているところから見るとどうやら買い出しの最中らしい。
「そうだよ、今日は私達が食事当番なの」
「おじさんもどう?お夕飯ならたべられるんじゃない?」
そう聞いた俺はふと今の時刻を思い出した。昼食もほとんどなしで動き回っていたので幾分か腹が減っているが時間はちょうど昼の三時ごろといったところか。誘われてみるのもいいかもしれないな。
「そうだな、俺も今日はお呼ばれしてみるか!」
「わー!」
「きゃー!」
集まる子供たちの内両手で抱えられる子を持ち上げて俺も笑顔を浮かべる。難しい話ばかりだったからこういうのも悪くない。仕事はお休みしよう。どうせアウロラ達もホテルに行っているだろうし。
「あらいらっしゃい、よく帰って来たわね」
孤児院に到着するとヒューイが子供たちと共に庭を改造して作ったらしい菜園を手入れしていた。規模がちょっとしたものになっているのがすごい。周囲の建物が減っているように見えたが・・・。
「息災そうでなによりだ」
「まあね、忙しいけど色々と助っ人も増えたからなんとかなってるわ」
「庭園広くなってないか?」
「そうね、区画整理が始まったらしくて建物を引き払う人が増えてね。それで思い切って土地を譲ってもらったワケ」
隣接していた建物ごと取り壊して菜園にしたようだ。ヒューイにそこまでの知識があるようには見えないのであのじーさんの仕業だろうか。
「エルビンたちも元気か?」
「ええ、来たばかりのころはアルカちゃんが何度か体調を崩していたから心配していたんだけどね」
今となっては、とそう言うとヒューイは菜園の一角をみやる。それに続いて視線を移すと子供たちに交じって泥んこなりながら菜園の手入れを手伝うアルカの姿があった。まだまだ痩せてはいるものの元気そうでなによりだ。
「じーさんも喜んでいるだろう」
「ええ、アルカだけじゃなくて他の子たちにも『おじいちゃん』って呼ばれて気持ち悪いくらいニコニコしてるわ」
あの狸爺がそれだけになるのだから子供というのは恐ろしい。まあ、元より孫が可愛くてしょうがない爺さんにとて孫が増えたようなもんだから仕方ないだろうが。
「あー!おじさんだ!」
誰かがそう言うと子供たちが一斉に集まってくる。知っている奴と知らないが話を聞いてくれている奴とが混じっているのだろうか?時折観察するような視線が混じっている気がする。
「おう、元気にしてたか」
「うん!」
わいわいと騒がしい。しかしいいもんだ。元気な子供、働く大人。そしてそれを見守るように佇む母屋。景色、文化は違えど望むもの、あってほしいものは同じなのだな。
「この人がアラちゃんの言ってた人なんだ!」
「すごいおっきい人だ!」
俺はどんな噂をされているのだろうか。すごく気になる。
「よう、初めましてか?困ったことがあったらなんでも言うんだぞ」
「困ってる・・・とはちがうんだけど・・・」
「どうした?」
近づいて目線を落としてそう言ってやる。できない事もあるができるだけの事はやるつもりだ。
「お願いしてもいい?」
「なんだ?夕飯までの時間でできる事ならしてやろう」
「わー!じゃあ私ルマサンガのお話聞きたいわ!」
おっと、俺の出まかせ昔話がご所望か。どうしたもんか。だるまさんが転んだがここまで人気を博するとは。
他の子どもたちも存外乗り気な様子だ。こうなれば俺が知りうる英傑のお話を混ぜて話すか。
「よろしい、みんなはコロンダとの闘いの話をしっているか?」
「知ってる!ダルマサンガコロンダの元になったお話でしょ!お姉ちゃんたちが教えてくれたよ」
おおう、古い話で誤魔化すのも無理か。ま、子供たちの話と齟齬がでるかもしれないし。
しかし子供たちの為にお話を考え続ける事になるとは・・・人生とはわからんものだ。
「よろしい、ルマサンガの武勇伝、その一つを今日は紐解こうか」
俺は夕飯まで子供たちの望むままに昔話を聞かせることにした。
「ふん・・・」
こういう時には何にも興味が沸かない。不思議なものだ。そう思っていたのだが・・・。
「あ!おじさんだーっ!」
俺のもやもやを吹き飛ばすような明るい声が背中にぶつかり。
「ほんとだ!おじさんだ!」
「帰って来てたんだ!」
「おじさん!」
堰を切ったように押し寄せる明るい声と俺を囲む屈託のない笑顔達。
「お、なんだ・・・今はお手伝いの最中か?」
立ち止まって振り返ると孤児院の子供たちが俺を取り囲んでいた。喧噪に混じって騒ぐ彼女達の声は華やかで、周りの雰囲気さえも和やかになる。皆が食材の入った紙袋を抱えているところから見るとどうやら買い出しの最中らしい。
「そうだよ、今日は私達が食事当番なの」
「おじさんもどう?お夕飯ならたべられるんじゃない?」
そう聞いた俺はふと今の時刻を思い出した。昼食もほとんどなしで動き回っていたので幾分か腹が減っているが時間はちょうど昼の三時ごろといったところか。誘われてみるのもいいかもしれないな。
「そうだな、俺も今日はお呼ばれしてみるか!」
「わー!」
「きゃー!」
集まる子供たちの内両手で抱えられる子を持ち上げて俺も笑顔を浮かべる。難しい話ばかりだったからこういうのも悪くない。仕事はお休みしよう。どうせアウロラ達もホテルに行っているだろうし。
「あらいらっしゃい、よく帰って来たわね」
孤児院に到着するとヒューイが子供たちと共に庭を改造して作ったらしい菜園を手入れしていた。規模がちょっとしたものになっているのがすごい。周囲の建物が減っているように見えたが・・・。
「息災そうでなによりだ」
「まあね、忙しいけど色々と助っ人も増えたからなんとかなってるわ」
「庭園広くなってないか?」
「そうね、区画整理が始まったらしくて建物を引き払う人が増えてね。それで思い切って土地を譲ってもらったワケ」
隣接していた建物ごと取り壊して菜園にしたようだ。ヒューイにそこまでの知識があるようには見えないのであのじーさんの仕業だろうか。
「エルビンたちも元気か?」
「ええ、来たばかりのころはアルカちゃんが何度か体調を崩していたから心配していたんだけどね」
今となっては、とそう言うとヒューイは菜園の一角をみやる。それに続いて視線を移すと子供たちに交じって泥んこなりながら菜園の手入れを手伝うアルカの姿があった。まだまだ痩せてはいるものの元気そうでなによりだ。
「じーさんも喜んでいるだろう」
「ええ、アルカだけじゃなくて他の子たちにも『おじいちゃん』って呼ばれて気持ち悪いくらいニコニコしてるわ」
あの狸爺がそれだけになるのだから子供というのは恐ろしい。まあ、元より孫が可愛くてしょうがない爺さんにとて孫が増えたようなもんだから仕方ないだろうが。
「あー!おじさんだ!」
誰かがそう言うと子供たちが一斉に集まってくる。知っている奴と知らないが話を聞いてくれている奴とが混じっているのだろうか?時折観察するような視線が混じっている気がする。
「おう、元気にしてたか」
「うん!」
わいわいと騒がしい。しかしいいもんだ。元気な子供、働く大人。そしてそれを見守るように佇む母屋。景色、文化は違えど望むもの、あってほしいものは同じなのだな。
「この人がアラちゃんの言ってた人なんだ!」
「すごいおっきい人だ!」
俺はどんな噂をされているのだろうか。すごく気になる。
「よう、初めましてか?困ったことがあったらなんでも言うんだぞ」
「困ってる・・・とはちがうんだけど・・・」
「どうした?」
近づいて目線を落としてそう言ってやる。できない事もあるができるだけの事はやるつもりだ。
「お願いしてもいい?」
「なんだ?夕飯までの時間でできる事ならしてやろう」
「わー!じゃあ私ルマサンガのお話聞きたいわ!」
おっと、俺の出まかせ昔話がご所望か。どうしたもんか。だるまさんが転んだがここまで人気を博するとは。
他の子どもたちも存外乗り気な様子だ。こうなれば俺が知りうる英傑のお話を混ぜて話すか。
「よろしい、みんなはコロンダとの闘いの話をしっているか?」
「知ってる!ダルマサンガコロンダの元になったお話でしょ!お姉ちゃんたちが教えてくれたよ」
おおう、古い話で誤魔化すのも無理か。ま、子供たちの話と齟齬がでるかもしれないし。
しかし子供たちの為にお話を考え続ける事になるとは・・・人生とはわからんものだ。
「よろしい、ルマサンガの武勇伝、その一つを今日は紐解こうか」
俺は夕飯まで子供たちの望むままに昔話を聞かせることにした。
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