二度目の恋をしたいけど、こいつは絶対に運命の相手じゃない!!

永戸望

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どうやら私は運命の相手ではないらしい

気の合う二人

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「あ! 今日から学校来たんだね! 良かったぁ」

「心配してくれてありがとう佳子ちゃん。もう大丈夫」

 飛んで喜ぶ佳子ちゃんに私は、フッと笑う。
 熱で寝込んでるから数日後。私は、やっと熱が下がったので学校へと来ていた。
 そして、佳子ちゃんに会うために放課後のグラウンドへと足を運んだのだが。

「桜井せんぱぁ~い! 頑張ってくださ~い!」

「いや何で楓ちゃんが居るの……」

 楓ちゃんが、私たちと同じ場所からサッカー部へ声援を送っていた。
 彼女は私の姿を確認するや否や真顔になる。

「未華先輩こそ、何でここに居るんですか。もしかしてサッカー部の男狙いですか?」

「私は、佳子ちゃんと会うためだけど」

「未華ちゃん。この子と知り合いだったのね! この子、萊斗のファンらしいのよ!」

 へぇ。楓ちゃんがね。あの、湊ゾッコンだった楓ちゃんが。どういう風の吹き回し?

「未華先輩なんですかその疑ってる目は……私だって新しい恋を探したいじゃないですかぁ~?」

「え、もしかして桜井君を?」

「はい! 日曜日に、助けてもらってぇ~。カッコよくて惚れちゃって!」

 私が寝込んでる間にそんな事が……。
 楓ちゃんがあっけなく湊を諦めたのが、少しショックだった。

「未華ちゃん。大丈夫よ、萊斗は未華ちゃんみたいな子がタイプだから」

「佳子ちゃんちょっと何言ってるの?」

「だから心配する必要ないわよ!」

 いやいや。別に心配しないし。どうでもいいんだけど。

「そんな事ないですよ金髪先輩」

「誰が金髪先輩じゃこら」

「金ヤン先輩怖いですぅ~!」

「未華ちゃんこの子締めていいかな」

 佳子ちゃんは私の返答を待たずに楓ちゃんに抱きつき身動きを止める。

「おりゃー!」

「ちょっ!? 金ヤン先輩どこ触ってるんですかぁ~!? ちょっ!? ひゃ!?」

 佳子ちゃんは楓ちゃんの服の中に手をいれ弄ると、楓ちゃんの綺麗なお腹が服がめくれて露わになる。楓ちゃんはその攻撃に耐えられなくて声を上げる。
 なんて、睦まじい風景なんだろうか。可愛い。

「未華せんぱぁ~い! 助けてくださ……やっ! ほんとっ……! ダメッ……!」

 楓ちゃんは攻撃で体力が切れたのか、芝生に倒れ込む。
 佳子ちゃんは勝ち誇った顔で楓ちゃんを眺めて、ハァハァ言っていた。二人とも体力の限界だ。

「未華ちゃん。これで、萊斗はあなたのものよ!」

「いや要らないんですけど」

「お前らうるさいぞ」

 私たちが戯れあっていると後ろから冷たい声が聞こえてくる。
 そこには、満面の笑みで立つ桜井君がいた。

「あ……すみません桜井君」

「練習を見に来て、応援してくれるのは嬉しいし、喜ぶやつもいるから良いんだが、もう少しお淑やかにしといてくれ……その、上杉と黒木が怒るんだよ」

「はい。楓ちゃんと佳子ちゃんに言い聞かせときますから……黒木さん?」

「ああ、未華ちゃんは会ったことなかったな。うちの名キーパーだよ」

 桜井君はゴールに立つ人物を指差す。そこには長身でがっしりした全身黒の人が立っていた。

「へぇ。キーパーの人、高身長で体格しっかりしてますね」

「え? …………俺も、体格しっかりしてるよ? ほら、触る?」

 桜井君は少しずつ私に体を寄せてくる。

「あ、いえ。なに競ってるんですか。ちょっと、身体を寄せてこないでくださ……いやマジでやめて」

「あ、すみません」

 私の容赦も慈悲もない言葉に桜井君はしゅんとしてしまう。
 今のは、彼が悪い。

「それじゃあ、そこで応援よろしくな! あ、楓ちゃん? だっけ、君もありがとうね!」

「はい! 桜井せんぱぁ~い、好きですよ~!」

「よっしゃやる気出た!」

 桜井君は、口元を緩ませ嬉しそうな顔をする。

「楓ちゃん! 俺のカッコいい所見ててくれよな!」

 バシッとウインクを決める桜井君。
 私はそれを見て、私は勝手に腕が動いていた。

「グハッ……! い、いてぇ……未華ちゃん?」

「私の可愛い後輩に手を出さないで」

「え、理不尽じゃね……」

 桜井君は、不服そうな顔をしながらも、横腹を抑えて戻っていく。桜井君の戻る姿を目で追っているとその奥にいる、黒木さんという人と目が合った、気がした。
 そして、鋭い目で睨まれた。
 私はさっと視線を佳子ちゃんの方へと向ける。

「未華ちゃん……」

「未華せんぱぁ~い」

 二人の瞳はキラキラしてて、口元が緩みまくってるのが分かる。

「「もしかして、嫉妬した!?」」

「いや違うから」

    ◆

 
 どこにでもある、よく見る空だった。

「おい桜井! 上見ろー!」

「え? 上杉何言っぐぎゃはぁ!?」

 空から落ちてきたボールが顔面に直撃して、日本語では表すことの出来ない音が俺の口から発せられる。日本語の限界を感じた。

「おい桜井。女にうつつを抜かしてないで、真面目にやれこの馬鹿」

 数十メートル離れたゴールから黒木の鋭い声が俺の煩悩に届く。
 黒木は、いつも練習に精を出していて、とても努力家で真面目だ。なんで、こんな弱小サッカー部に入ったんだろうか。
 それに、頭も固く女の子に一切興味がないらしい。俺と上杉とは大違いだ。

「お前も、1ヶ月休んでたじゃねえか! 何やってんだんだよ!」

 俺もすかさず黒木に攻撃をしかける。
 広いグラウンドで叫んで、俺たちは何やってんだろ。

「妹が中学入学して、変な虫付かないか心配だったんだよ!」

「極度のシスコンめ!」

「二人ともうるさい。さっさと練習に戻れ」

 上杉は呆れた様子で俺たちを見る。
 黒木蓮。うちのサッカー部の名キーパーは、極度のシスコンである。そして、妹以外の女の子に興味がない。
 別に妹をそういう目で見てるわけではないが、重病だった。もう、手遅れなので何も言うまい。
 でも、ゴールキーパーとしての能力はピカイチで、重要な人物だ。黒木妹が応援に来た時の強さと言ったら、県内、いや国内随一かもしれない。

「二年と一年もゴール前に集合! シュート練習するぞ」

 上杉の声でサッカー部の部員達は集合して準備を始める。だんだん、上杉のキャプテンの姿が様になってきたな。
 俺もゴール前へと向かう。

「さて。黒木、今日は絶対俺が決めるからな」

「お前、ゴールにとことん弱いだろ。決定力がなさすぎる」

 黒木は鼻で笑った。
 おいこら殴り飛ばすぞ。

「よっしゃー! 良い所見せるぞー!」

 俺は気合いを入れ、未華ちゃん達の方を向く。彼女達は、こちらに見向きもせず楽しそうに雑談をしていた。
 え、応援に来てくれてるんだよね?

「おいこら桜井。よそ見するんじゃねぇよ」

「え? 黒木に言われなくても分かっぐぎゃばぁ!?」

 またしてもボールが頭に飛んできて直撃する。
 黒木のやつは、ケラケラと笑っていた。

「この野郎ッ……!!」

 俺は、そのボールを地面にしっかりと置いて後ろに下がる。
 そして、勢いをつけて、ボールを天高くに蹴り上げた。
 ……天高く上がってボールは、ゴールに吸い込まれるはずもなく、ゴール裏の芝生を転がっていく。

「あれ」

「ゴール狙えよ」

「狙ってるわい!」

 俺はそそくさとボールを取りにゴールの裏へと向かう。横目で、未華ちゃん達の方向を見ると佳子が腹を抱えて笑っていた。
 あいつ、後で覚悟しておけよ。

「おい桜井危ねえぞ!」

「え? グハッ……!!」

 本日3度目。ボールが頭に直撃した。いや、絶対狙ってやってるだろ黒木。

「バカみたい……」

 そんな未華ちゃんの声が聞こえた、気がした。
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