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幼馴染は譲れない
小さい頃の結婚の約束はノーカンですか?
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俺とリリアナの出会いは、実に遡る事18年。
なんと同じ病院、同じ日に生まれた頃から始まる。
それにより親同士は交流し、俺とリリアナも自然と仲良くなった。
リリアナは日本人の母、アメリカ人の父を持つ。家の中では英語と日本語が両方飛び交うようで、リリアナはそんな環境で育っていった。
「ユート、おままごとするデス」
この頃のリリアナは、意外にも気が強く、俺をよく振り回していた。
「うん、いいよ」
「ユートは父。ワタシはマムです。」
「分かった」
「おかえりなさい、アナタ」
「うんただいま」
「ワタシにする? ご飯にする? それとも……お風呂?」
なんか順番おかしくね?
「じゃあ、ご飯で」
「ダメ。まずはワタシから」
「えぇ……」
リリアナは、ギュッと僕に抱きついてくる。
「ワタシの愛で満足。ご飯なんていらない」
「えぇ……そんなのどこで覚えてきたの」
「家でパパが沢山ドラマ見てた」
海外ドラマの影響? そんなのあるのか。
「ね、ユート。ワタシのこと好き?」
「好きだよ」
「ケッコンしてくれる?」
「え、これ夫婦設定じゃなかったの?」
「そうじゃなくて。ほんとに、大人になったらワタシとケッコンして?」
「うん、良いよ」
リリアナは少し強引な所もあるが、そこも含めて可愛かった。
◇
「だから、ワタシとユートは幼馴染でフィアンセなんです」
リリアナは、過去の話を紬にすると、満足そうににっこり笑う。
「へー、そうなんだねー、それはそれは」
紬は、話を聞きながらにっこりと笑う。でも、その目は笑っていない。
「だから結婚の話は小さい頃の話だからなしだってさっき言っただろ」
「そうでしたっけ?」
リリアナは、ペロッと舌を出し俺にウインクをする。こいつ絶対分かってて紬にこの話をしたっぽいな。
「でも、ワタシがフィアンセになりたいのはわかりませんよユート」
「そ、そうなのか……」
反応に困る。
「ふーん。結人、結婚相手ができて良かったじゃない」
「俺はまだ紬が好きだから良くはないよ」
「へ?」
紬は顔を真っ赤にして硬直した。
なんでそんな反応するんだ。もっと飄々としていてくれよ……。
「お二人は、付き合ってるんですか?」
リリアナは、純粋な目で俺たちへきいてくる。
俺の傷口に塩を塗らないでくれ……。
「いいや……俺は振られたんだ」
「そう、なんだ……それはゴメン」
「別にリリアナが謝ることじゃない」
リリアナは、シュンとしたと思えば、俺の腕に絡みついてきた。
「つまり、ワタシはユートにアタックOKって事ですねツムギ」
「え? ……ええ、まあ」
「ありがとうございます、ツムギ」
「ああ、うん」
グイグイくるリリアナに、紬は少し押されている。
「でもね、リリアナさん」
「はい?」
「別に恋人は構わないけど、幼馴染って名乗るのは違うと思うな」
紬は、拗ねた様子でリリアナに笑いかけた。
「なんでですか?」
「あなたは、結人の幼馴染じゃないからよ」
「はぁ」
リリアナは、意味を理解できずに首を傾げる。
そんなリリアナに、紬は幼馴染の定義を熱弁した。
「いい? 幼馴染っていうのは、昔から知り合ってて、仲良しな腐れ縁のことなの」
「昔から知ってますし仲良しですよ?」
「もう10年も会っていないんでしょう? それは幼馴染とは呼ばないわよ」
「……そうなんですか、ユート」
「え? うーん、どうなんだろうな」
幼馴染の定義。確かに深く考えたことはなかったが、いったいなんなのだろうか。
紬は幼馴染なのだと言えるだろう。そうやって接してきたし、お互いそう思っている。
ではリリアナはどうか。確かに昔からの知り合いではあるが、もうかれこれ十何年も会っていない。
確かに、幼馴染として呼ぶには紬よりは根拠が弱い気もする……。
「私はもう何年も幼馴染やってるの」
「長さが幼馴染の証なんですか? 付き合いの長さでしかユートとの関係を語れないんですね」
「なっ」
紬の一方的な物言いに少し思う所があったのか、リリアナは紬を挑発する。
「長さでしか語れない関係なら、十何年離れていても消えないワタシとユートの関係の方が良いと思うんですが」
「あのね、その長さの中には語れない沢山のものが詰まってるの。ぽっと出のリリアナさんには分からないとのがね」
「ワタシの方が、ユートとは先に出会ってますから、ぽっと出は違うと思います」
「二人ともその辺にして」
「結人は黙って」
「ユートは静かにして」
「あ、はい」
二人はヒートアップしてお互いの意見を押し通そうとする。
当の本人の俺は蚊帳の外。
リリアナの目立つ容姿も相まって、人が集まってくる。
まずいな、これは。
「二人とも、流石に一旦抑えろ」
俺は、二人の間に無理矢理割り込み仲裁する。
リリアナはまるで獲物を狙い静かにするハイエナのよう。
紬はガルルルルと威嚇をしようと頑張っているワンちゃんみたいだ。可愛いなこいつ。
すると、紬は俺の腕を掴み言う。
「…………ねえ、結人は私とリリアナさん。どっちの味方なの? リリアナさんを、幼馴染って認めるの?」
紬の、「どっちなのよ」という声。
リリアナは、余裕そうにニコニコしている。
俺は……。
「リリアナは、幼馴染で良いと思うよ」
それが本音だった。
正直幼馴染であるとか、でないとかはどうでも良いのだが、強いて言うならリリアナは幼馴染だろう。
昔の懐かしい記憶。
幼き日を共にした馴染みの人間。だから、幼馴染だ。
「そう…………結人は、そう思うのね」
スッと、俺の腕を掴む紬の手の力が抜ける。
紬は、泣いていた。目に水を溜め、堪えようとする姿。
「え」
俺は動揺する。なんで、泣いてるんだ。
紬は、自分が泣いてることに気づき、「あれ……おかしいな」と必死に目を擦る。
「紬……お前」
「あ、ごめん。……それじゃあね」
「ちょっと待ってくれ」
「触んなし」
掴もうとする俺の手は跳ね除けられ、宙ぶらりんになる。
そして、紬は食堂から出ていてしまった。
……俺は、どこで選択肢を間違えた?
なんと同じ病院、同じ日に生まれた頃から始まる。
それにより親同士は交流し、俺とリリアナも自然と仲良くなった。
リリアナは日本人の母、アメリカ人の父を持つ。家の中では英語と日本語が両方飛び交うようで、リリアナはそんな環境で育っていった。
「ユート、おままごとするデス」
この頃のリリアナは、意外にも気が強く、俺をよく振り回していた。
「うん、いいよ」
「ユートは父。ワタシはマムです。」
「分かった」
「おかえりなさい、アナタ」
「うんただいま」
「ワタシにする? ご飯にする? それとも……お風呂?」
なんか順番おかしくね?
「じゃあ、ご飯で」
「ダメ。まずはワタシから」
「えぇ……」
リリアナは、ギュッと僕に抱きついてくる。
「ワタシの愛で満足。ご飯なんていらない」
「えぇ……そんなのどこで覚えてきたの」
「家でパパが沢山ドラマ見てた」
海外ドラマの影響? そんなのあるのか。
「ね、ユート。ワタシのこと好き?」
「好きだよ」
「ケッコンしてくれる?」
「え、これ夫婦設定じゃなかったの?」
「そうじゃなくて。ほんとに、大人になったらワタシとケッコンして?」
「うん、良いよ」
リリアナは少し強引な所もあるが、そこも含めて可愛かった。
◇
「だから、ワタシとユートは幼馴染でフィアンセなんです」
リリアナは、過去の話を紬にすると、満足そうににっこり笑う。
「へー、そうなんだねー、それはそれは」
紬は、話を聞きながらにっこりと笑う。でも、その目は笑っていない。
「だから結婚の話は小さい頃の話だからなしだってさっき言っただろ」
「そうでしたっけ?」
リリアナは、ペロッと舌を出し俺にウインクをする。こいつ絶対分かってて紬にこの話をしたっぽいな。
「でも、ワタシがフィアンセになりたいのはわかりませんよユート」
「そ、そうなのか……」
反応に困る。
「ふーん。結人、結婚相手ができて良かったじゃない」
「俺はまだ紬が好きだから良くはないよ」
「へ?」
紬は顔を真っ赤にして硬直した。
なんでそんな反応するんだ。もっと飄々としていてくれよ……。
「お二人は、付き合ってるんですか?」
リリアナは、純粋な目で俺たちへきいてくる。
俺の傷口に塩を塗らないでくれ……。
「いいや……俺は振られたんだ」
「そう、なんだ……それはゴメン」
「別にリリアナが謝ることじゃない」
リリアナは、シュンとしたと思えば、俺の腕に絡みついてきた。
「つまり、ワタシはユートにアタックOKって事ですねツムギ」
「え? ……ええ、まあ」
「ありがとうございます、ツムギ」
「ああ、うん」
グイグイくるリリアナに、紬は少し押されている。
「でもね、リリアナさん」
「はい?」
「別に恋人は構わないけど、幼馴染って名乗るのは違うと思うな」
紬は、拗ねた様子でリリアナに笑いかけた。
「なんでですか?」
「あなたは、結人の幼馴染じゃないからよ」
「はぁ」
リリアナは、意味を理解できずに首を傾げる。
そんなリリアナに、紬は幼馴染の定義を熱弁した。
「いい? 幼馴染っていうのは、昔から知り合ってて、仲良しな腐れ縁のことなの」
「昔から知ってますし仲良しですよ?」
「もう10年も会っていないんでしょう? それは幼馴染とは呼ばないわよ」
「……そうなんですか、ユート」
「え? うーん、どうなんだろうな」
幼馴染の定義。確かに深く考えたことはなかったが、いったいなんなのだろうか。
紬は幼馴染なのだと言えるだろう。そうやって接してきたし、お互いそう思っている。
ではリリアナはどうか。確かに昔からの知り合いではあるが、もうかれこれ十何年も会っていない。
確かに、幼馴染として呼ぶには紬よりは根拠が弱い気もする……。
「私はもう何年も幼馴染やってるの」
「長さが幼馴染の証なんですか? 付き合いの長さでしかユートとの関係を語れないんですね」
「なっ」
紬の一方的な物言いに少し思う所があったのか、リリアナは紬を挑発する。
「長さでしか語れない関係なら、十何年離れていても消えないワタシとユートの関係の方が良いと思うんですが」
「あのね、その長さの中には語れない沢山のものが詰まってるの。ぽっと出のリリアナさんには分からないとのがね」
「ワタシの方が、ユートとは先に出会ってますから、ぽっと出は違うと思います」
「二人ともその辺にして」
「結人は黙って」
「ユートは静かにして」
「あ、はい」
二人はヒートアップしてお互いの意見を押し通そうとする。
当の本人の俺は蚊帳の外。
リリアナの目立つ容姿も相まって、人が集まってくる。
まずいな、これは。
「二人とも、流石に一旦抑えろ」
俺は、二人の間に無理矢理割り込み仲裁する。
リリアナはまるで獲物を狙い静かにするハイエナのよう。
紬はガルルルルと威嚇をしようと頑張っているワンちゃんみたいだ。可愛いなこいつ。
すると、紬は俺の腕を掴み言う。
「…………ねえ、結人は私とリリアナさん。どっちの味方なの? リリアナさんを、幼馴染って認めるの?」
紬の、「どっちなのよ」という声。
リリアナは、余裕そうにニコニコしている。
俺は……。
「リリアナは、幼馴染で良いと思うよ」
それが本音だった。
正直幼馴染であるとか、でないとかはどうでも良いのだが、強いて言うならリリアナは幼馴染だろう。
昔の懐かしい記憶。
幼き日を共にした馴染みの人間。だから、幼馴染だ。
「そう…………結人は、そう思うのね」
スッと、俺の腕を掴む紬の手の力が抜ける。
紬は、泣いていた。目に水を溜め、堪えようとする姿。
「え」
俺は動揺する。なんで、泣いてるんだ。
紬は、自分が泣いてることに気づき、「あれ……おかしいな」と必死に目を擦る。
「紬……お前」
「あ、ごめん。……それじゃあね」
「ちょっと待ってくれ」
「触んなし」
掴もうとする俺の手は跳ね除けられ、宙ぶらりんになる。
そして、紬は食堂から出ていてしまった。
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