26 / 37
幼馴染は譲れない
幼馴染 VS 幼馴染
しおりを挟む数分前。別の教室にて。
「『放課後、話がある』ねぇ。なるほどねぇ……『告白以外なら、喜んで話聞くよ』っと」
私、夏目紬は結人からのLINEに返事を返した。
……あの告白から数週間。
私たちの関係は、元の幼馴染とは別の歪な状態になっていた。
このままでは、幼馴染関係の維持すらも難しくなる。早く手を打ち、普通に話せる距離感に戻らないと行けないと思っている。
だから、この連絡は素直に嬉しかった。
「ねえ、夏目さん知ってる?」
「うん?」
クラス替えで新しく仲良くなった友達が、ある情報を持ってきた。
「二組に、海外からの転校生が来るんだって!」
「へー! 転校生! それは凄い」
二組かぁ。結人のクラスだ。
「しかもね? ……めちゃくちゃ美人なんだって」
「それは凄いわね。漫画みたいな話」
「でしょでしょ? だからさ、休み時間ちょっと見に行かない?」
「えー、そんな野次馬みたいなことしても良いのかな」
「少しだけだから! ね! お願い」
友達は手を合わせ、深く頭を下げてお願いしてくる。
そこまでされたら、断れないじゃん。
「分かった。少しだけね?」
結人の様子も気になるしね。話しかけるのには丁度いい。
「夏目さんありがとう!」
「どういたしまして。……それと、私のことは紬でいいよ」
◇
「フィアンセって……えぇ?」
「覚えていないんですか? 約束したじゃないですか、結婚しましょうって」
「いつの話だそれ」
「4歳の頃です」
「それはノーカンだろマジで」
「えっ…………」
リリアナは、声を詰まらせると、悲しそうな顔をして涙を流し始めた。
えっ……。
「待ってくれリリアナ、そんな泣かなくても」
「だって……ワタシ……そのために頑張ってきたのに」
「それはほんとごめん」
「……じゃあ、ワタシとケッコンしてくれる?」
「それは無理だ」
「oh…………」
リリアナはさらに涙を降らす。
「ワタシのこと、ユートは嫌い?」
「嫌いではないよ」
「でもケッコンしてくれないんだ」
「もう十何年も前の話だからさ! 俺も飲み込めないのね? ……友達からなら」
「友達、イヤ」
「えぇ……」
「ワタシたち、幼馴染」
「幼馴染……なのか?」
確かに、リリアナとは物心つく前からの知り合いだが、ここ十数年会っていない。
それでも、幼馴染と呼べるのだろうか。
「ワタシたち、昔馴染み。だから、幼馴染」
「そう……なのか?」
「そうだよ」
「……ああ、分かったよ。俺たちは幼馴染だ」
「うん、ありがとう。ユート」
「結人な」
「おいお前たち、さっさと先に戻れ」
◇
昼休み。
「ユート! ユート! ワタシと昼ごはん食べましょう」
「ああ、いいよ。リリアナはお昼ご飯持ってきたのか?」
「はい! バッチリです!」
「じゃあ、食堂で一緒に食べるか」
「ワタシも行くです!」
俺とリリアナは二人で食堂へと向かう。
廊下では、リリアナへ視線がみんな釘付けだ。
金髪美少女。それだけで話題性は抜群。
心なしか、いつもより廊下が広く感じた。
食堂で俺はカツ丼を頼むと、空いてる席にリリアナと座る。
「リリアナはお昼はなにを持ってきたんだ?」
「これです!」
リリアナは、大きな重箱を取り出す。
ドンッと、効果音が鳴りそうな感じ。
「日本食勉強したので!」
と、リリアナは重箱を開ける。
おせちだった。お正月に食べるやつ。
「おせちじゃん」
「ハイ! 日本といえば、これだとお婆ちゃんに聞きました!」
「それはそうだけど……食べ切れるの?」
「もちろんですが?」
「大食いなんだな」
「食事と運動は、カラダを作り上げるのには必要ですからね!」
「頑張ってるんだな」
泣き虫だったリリアナは、強く成長していた。
その様子に、俺は嬉しさを覚える。
「それじゃあ、いただきます」
「いただきまーす」
俺たちは、昼ごはんを食べようとした。
その時。
「あ、結人。こんなところにいた」
背後から、幼馴染の声が聞こえた。
「紬……」
突然で、俺は固まってしまう。
ここ最近会話がなかったせいで、なにを話せば良いのやら。
俺が困っていると、紬は何事もなかったように普通に会話を進めた。
「朝ちゃんと起きれたのね」
「美雪さんのおかげでな」
「お母さんの負担増やさないでよ~?」
「分かってるって」
前のような、普通の会話。少しぎこちなさは残るが、まあ良いだろう。
紬は普通でいようとしてくれてるからな。俺も変に引きずってる場合じゃない。諦めたわけじゃないが、日常生活に影響が出るのは避けたかった。
「ユート、その人は知り合いですか?」
おせちを頬張っていたリリアナは、箸を止め俺と紬を交互に見る。
「結人、もしかしてその子転校生の?」
「え? ああ、そうだよ」
「へー! めちゃめちゃ可愛いー!!」
「ありがとうござます」
「あなた、名前は?」
「私、リリアナ」
「リリアナさんね。よろしく。私は紬。こいつの幼馴染」
「oh……幼馴染! 私もユートの幼馴染です!」
「そうなんだ。私とおんなじ……………は?」
紬は、笑顔のまま固まる。
「幼馴染仲間がいるなんて驚きました!」
「え、リリアナさん。幼馴染って言った?」
「言いましたよ? 私は、ユートの幼馴染です」
「何かの勘違い? 幼馴染って、小さい頃から知ってて」
「私、ユートが生まれた時から一緒です」
「えっ」
「それに、さっきユートはちゃんと幼馴染だって認めてくれました!」
「えっ」
紬はどんどん表情を暗くする。
そして、俺の方を見て一言。
「結人。説明して」
「あ、はい」
こうして、俺の幼馴染二人が出会ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた
夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。
数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。
トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。
俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる