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第一章
5階攻略!
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「ふあぁ…よく寝たぁ。」
割と長かった睡眠を終え、体を起こす。
「アルはまだ寝てるのかな。」
寝息が聞こえるのでそうだろう。
私はローブを着て杖を持つ。
「ちょっと魔法の練習でもしようかな。」
私は魔導書を出し、闇魔法のページを開く。
「ええっと対集団行動モンスター用の魔法が数個あるはず…」
闇魔法は昔から主に暗殺に使われていたと聞く。
だから集団戦にはあまり強くないのは重々承知している。
だけど数個はあるはず…
「これかな…?」
本をペラペラとめくりながら言う。
「お、それ良さそうな魔法じゃない?」
「うわぁ!?」
突然後ろから声をかけられた。
「あ、ごめんごめん。
そんなにびっくりするとは思わなくて。」
「ちょっとは反省してよ…?」
声の正体はアルだった。
しかしアルとはいえ急に話しかけられたため、凄い声が出てしまった。
「それよりその魔法。」
「ん?
これ?」
私は先ほどから気になっていた魔法を指す。
「いや、こっち。」
全く見えないが、もう片方のページの魔法を指しているのだろう。
「え?
でもこれ…」
「5階は単体であることが多い。
ならこっちの方が良さそうだろう?」
「確かに…」
集団戦用の魔法はまた覚えるとしよう。
今は目先のことだけ考えよう。
「さっきも言ったけど、摩天楼の5階は単体の小ボスであるケースが非常に多い。
ここも例外ではないだろう。」
アルがゆっくりと階段を上りながら言う。
「じゃあ1体の可能性が高いんだね。」
なら私の出番は少ないだろう。
「けど何が嫌かって僕との相性^_^が最悪な可能性が高いんだよ。」
「え…?」
そんな会話を繰り広げていると5階に着いた。
「ほら。」
そんな言葉と同時に辺りの気配を探る。
「やっぱり。」
アルの言う通り敵の数は1で間違いない。
「けど、飛んでるなんて…!」
おそらくドラゴンの部類だろう。
「グリーンドラゴンか…
常に高く飛び、群れない習性をしているモンスターだ。
僕とは比較的相性が悪い。」
「じゃあ私が…!」
そう言うとアルはすぐに声を出した。
「そんなに気負わなくてもいいよ。
当たり前だけど、全く攻撃を当てられないわけではない。
弱いけど遠距離用の技も一応覚えているから。」
そ、そんな技が…
「でも今回はそんなこといってられない。
私が頑張らなきゃだから。」
「はは、頼りになる。
一緒に頑張ろう。」
「うん。」
そう言っている間にグリーンドラゴンは私たちを標的にしたようだ。
まずはダメージを与えて動きを鈍くさせないといけない。
翼竜系のモンスターの弱点は翼だ。
「でもあの位置じゃ私の攻撃が…」
スクーロ・アスティーレが有効ではあるだろうが、生憎と影が小さすぎる。
「じゃあ新技!」
消費MPはとても多いがなんとかなるだろう。
「バルカータ・ギアード!」
私は杖を大きく掲げ、そう叫ぶ。
すると大量の短剣が現れる。
「アッドリツァーレ!」
そう言いながら杖をグリーンドラゴンに向けて縦に振る。
すると短剣はグリーンドラゴンの方へ向かって行った。
しかしあまり当たらず、擦り傷程度。
「速いな…」
「だね。
あの速度に対応してくるなんて…」
かなりMPを消費し、まあまあな速度で撃ったつもりだ。
「でも翼が傷ついてる。
少し動きが鈍くなってるよ。」
た、確かにそう言われたらそうだ。
左翼の先端に切り傷が数箇所ある。
「これなら僕の技も当たるかも!」
そう言ってアルは鞘と刀を持ち、構える。
「風よ、空を斬れ。
音切抜刀術、【雲耀】」
そう言うとアルは途轍もない速さで虚空に刀を振った。
「え?
何して…」
するとグリーンドラゴンから声が聞こえてきた。
「ガァ!?」
「え!?」
思わずそちらに目を向ける。
「雲耀。
僕が唯一持つ遠距離の抜刀術だよ。
焔火とは違う流派なんだけど、同じくひいおじいちゃんが使ってたんだ。」
やはりリィ・グラシアルは強過ぎる…
「でもまだみたいだね。」
相当ダメージを喰らったのだろう。
グリーンドラゴンは高い位置にある台に乗った。
「回復するつもりだ。
追撃を…」
「わかってるよ。
集えマナよ。」
薄々気づいてはいたが、体そのものがとても硬い。
初級魔法は初級魔法でも消費MPを増やして威力を上げなければいけない。
なら私が撃てる最高MPで!
「闇魔法【スクーロ・アスティーレ】!」
私のMPのほとんどを持って行かれた。
「だけどこれで…!」
最後の力を振り絞って杖を振り下ろす。
するとグリーンドラゴンの影から剣が生え、胴体から首までを突き刺した。
確実に仕留め切れた。
そう思っていると案の定グリーンドラゴンは消えた。
「す、凄いね!」
「私が頑張らなきゃだから…
けど…MPが…」
「ナターシャ!?」
その声を聞いた直後、私は深い眠りについた。
色々あったけど、これで5階は突破したはずだ。
割と長かった睡眠を終え、体を起こす。
「アルはまだ寝てるのかな。」
寝息が聞こえるのでそうだろう。
私はローブを着て杖を持つ。
「ちょっと魔法の練習でもしようかな。」
私は魔導書を出し、闇魔法のページを開く。
「ええっと対集団行動モンスター用の魔法が数個あるはず…」
闇魔法は昔から主に暗殺に使われていたと聞く。
だから集団戦にはあまり強くないのは重々承知している。
だけど数個はあるはず…
「これかな…?」
本をペラペラとめくりながら言う。
「お、それ良さそうな魔法じゃない?」
「うわぁ!?」
突然後ろから声をかけられた。
「あ、ごめんごめん。
そんなにびっくりするとは思わなくて。」
「ちょっとは反省してよ…?」
声の正体はアルだった。
しかしアルとはいえ急に話しかけられたため、凄い声が出てしまった。
「それよりその魔法。」
「ん?
これ?」
私は先ほどから気になっていた魔法を指す。
「いや、こっち。」
全く見えないが、もう片方のページの魔法を指しているのだろう。
「え?
でもこれ…」
「5階は単体であることが多い。
ならこっちの方が良さそうだろう?」
「確かに…」
集団戦用の魔法はまた覚えるとしよう。
今は目先のことだけ考えよう。
「さっきも言ったけど、摩天楼の5階は単体の小ボスであるケースが非常に多い。
ここも例外ではないだろう。」
アルがゆっくりと階段を上りながら言う。
「じゃあ1体の可能性が高いんだね。」
なら私の出番は少ないだろう。
「けど何が嫌かって僕との相性^_^が最悪な可能性が高いんだよ。」
「え…?」
そんな会話を繰り広げていると5階に着いた。
「ほら。」
そんな言葉と同時に辺りの気配を探る。
「やっぱり。」
アルの言う通り敵の数は1で間違いない。
「けど、飛んでるなんて…!」
おそらくドラゴンの部類だろう。
「グリーンドラゴンか…
常に高く飛び、群れない習性をしているモンスターだ。
僕とは比較的相性が悪い。」
「じゃあ私が…!」
そう言うとアルはすぐに声を出した。
「そんなに気負わなくてもいいよ。
当たり前だけど、全く攻撃を当てられないわけではない。
弱いけど遠距離用の技も一応覚えているから。」
そ、そんな技が…
「でも今回はそんなこといってられない。
私が頑張らなきゃだから。」
「はは、頼りになる。
一緒に頑張ろう。」
「うん。」
そう言っている間にグリーンドラゴンは私たちを標的にしたようだ。
まずはダメージを与えて動きを鈍くさせないといけない。
翼竜系のモンスターの弱点は翼だ。
「でもあの位置じゃ私の攻撃が…」
スクーロ・アスティーレが有効ではあるだろうが、生憎と影が小さすぎる。
「じゃあ新技!」
消費MPはとても多いがなんとかなるだろう。
「バルカータ・ギアード!」
私は杖を大きく掲げ、そう叫ぶ。
すると大量の短剣が現れる。
「アッドリツァーレ!」
そう言いながら杖をグリーンドラゴンに向けて縦に振る。
すると短剣はグリーンドラゴンの方へ向かって行った。
しかしあまり当たらず、擦り傷程度。
「速いな…」
「だね。
あの速度に対応してくるなんて…」
かなりMPを消費し、まあまあな速度で撃ったつもりだ。
「でも翼が傷ついてる。
少し動きが鈍くなってるよ。」
た、確かにそう言われたらそうだ。
左翼の先端に切り傷が数箇所ある。
「これなら僕の技も当たるかも!」
そう言ってアルは鞘と刀を持ち、構える。
「風よ、空を斬れ。
音切抜刀術、【雲耀】」
そう言うとアルは途轍もない速さで虚空に刀を振った。
「え?
何して…」
するとグリーンドラゴンから声が聞こえてきた。
「ガァ!?」
「え!?」
思わずそちらに目を向ける。
「雲耀。
僕が唯一持つ遠距離の抜刀術だよ。
焔火とは違う流派なんだけど、同じくひいおじいちゃんが使ってたんだ。」
やはりリィ・グラシアルは強過ぎる…
「でもまだみたいだね。」
相当ダメージを喰らったのだろう。
グリーンドラゴンは高い位置にある台に乗った。
「回復するつもりだ。
追撃を…」
「わかってるよ。
集えマナよ。」
薄々気づいてはいたが、体そのものがとても硬い。
初級魔法は初級魔法でも消費MPを増やして威力を上げなければいけない。
なら私が撃てる最高MPで!
「闇魔法【スクーロ・アスティーレ】!」
私のMPのほとんどを持って行かれた。
「だけどこれで…!」
最後の力を振り絞って杖を振り下ろす。
するとグリーンドラゴンの影から剣が生え、胴体から首までを突き刺した。
確実に仕留め切れた。
そう思っていると案の定グリーンドラゴンは消えた。
「す、凄いね!」
「私が頑張らなきゃだから…
けど…MPが…」
「ナターシャ!?」
その声を聞いた直後、私は深い眠りについた。
色々あったけど、これで5階は突破したはずだ。
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