転生ゲーマーは無限レベルアップで成り上がる!~死亡確定のサブキャラに転生したのでゲーム知識で死ぬほど経験値を稼いで破滅フラグをへし折ります~

おさない

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第二章 ルッタ・アルルー冒険の日々

第48話 お取り込み中失礼します!

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爆破エクスプロード!」

 ――ドッカーン!

「グオオォオォオオッ!」

 ルッタの爆破魔法を食らったグリーンオーガは、派手に吹き飛ばされて峡谷の岸壁に叩きつけられる。

「グハッ!」

 そうして、血を吐き出しながら地面へと落下し、地面に倒れ伏した。

「経験値獲得ですね!」

 ルッタは嬉しそうに呟きながら煙の上がる拳を握りしめ、ゆっくりとお目当ての経験値――もとい魔物に近づいていく。

「ア、ガア…………ッ!」

 グリーンオーガは負傷によって動くことができず、絶体絶命の状況に陥っていた。

 しかしその時――

「ア……ッ!」

 幸か不幸か、彼は正気を取り戻してしまった。

 おそらく、激しく頭をぶつけたことがきっかけとなったのだろう。

 薬によって自我を失っていたオーガは、自分が誰であるかを思い出したのである。

(お、オレは……オレの……ナマエは――ッ!)

 その男はかつて、冒険者であった。

 己の拳で敵を殴り殺す拳闘士として、数多くの危険な魔物を討伐し、周囲からもその実力を認められていたのである。

 しかし素行が悪く、新米冒険者を相手に暴力沙汰を起こすことが頻繁にあり、何度もランクの降格処分を受けていた。

 力こそが全てであり正義だと信じていた男は、やがて我慢の限界を迎え、冒険者ギルドの職員相手に事件を起こして永久追放となる。

 冒険者としての資格を剥奪され、それからすぐに裏の世界へと堕ちていった彼は、影の足跡シャドウ・ステップへと流れついた。

 そこでは強さこそが全てであり、幹部すらも殺せば取って代われる――男にとっては、まさに理想の楽園ような場所であった。

 裏ギルドのルールに従うことを決めた彼が最初に望んだのは、何でも手に入る幹部の座だ。狙う相手は非力で弱そう奴――緑の魔女がいい。

 そうして花に誘い込まれる虫のように、アルルネが支配する領域へと足を踏み入れてしまったのである。

(緑の魔女アルルネ……! アイツだ……! アイツがオレをこんな姿にッ!)

 全てを思い出したグリーンオーガは、激しい怒りにその身を苛まれていた。

「ウッ、ガァアアアッ!」

「……あれ? まだ動いています! 思ったよりしぶとかったみたいですね!」

 雄叫びを上げ、全身に力を入れて起き上がるオーガ。

(この体なら……勝てるッ! アイツ……オレに毒の耐性を付けやがった! バカな女だ……ッ! フハハハハハッ!)
 
 そう確信し、まずは目の前の小さな敵を殺すべく拳を振り上げる。

「今すぐ……ぶっ殺してやるよクソアマァアアアッ!」

「……仕方がありません、第二ラウンド開始です!」

 言いながら戦闘態勢に入り、魔力を高め始めるルッタ。

「オオォォォォォォォォォォッ!」

 それを隙と見たグリーンオーガが、全身全霊を込めた一撃を放とうとしたその瞬間。

「――パクッ!」
 
 突如として隠れ家の入口から飛び出してきた赤い花の魔物――キングラフレシアが、オーガを丸呑みしてしまった。

「バキッ! グッシャッ! ガブッ! ムシャムシャァッ!」

「ギャアアあぁあああああッ!」

 数秒と経たぬうちにグリーンオーガの巨体は捕食されてしまう。あまりにも呆気ない最期であった。

「えーーーっ?!」

 唐突かつ無慈悲な経験値の横取りをされたルッタは、戸惑いの声を上げる。

「ぼ、僕の……僕の経験値だったのに……! よりにもよって、どうしてキングラフレシアがっ!」

 キングラフレシア――それは、異常にHPが高く多彩な状態異常攻撃を持ちながら、倒してもほとんど経験値を得られない最悪の敵である。

(だ、駄目です……! 分身の僕がキングラフレシアと戦っても……無駄に体力と魔力を消費するだけで良いことがありません! ここは逃げるコマンドを選択します!)

 素早く決断したルッタは、食事中であるラフレシアの横を華麗にすり抜け、そのまま洞窟の中へと逃げ込んだ。

(この場所を探索している場合ではありません……! 今日は……ボス部屋まで寄り道禁止ですっ!)

 隠れ家である隠匿されし花園の内部には、侵入者を捕らえるための植物の罠が無数に張り巡らされている。

 ルッタはそれらを全て踏み抜いて作動させながら、迷いなく一本の通路を突き進んでいく。

「ズズズズズ…………」

 そのすぐ背後には、捕食を終えたキングラフレシアが奇妙な鳴き声を発しながら迫っていた。

(ある程度逃げたら諦めるはずなのに……しつこすぎます!)

 怪しげな植物の栽培室を通り抜け、グリーンオークたちの徘徊する広間を通り抜け、幾つもの通路を曲がってもなお、キングラフレシアの追跡は終わらない。

 ――そうして、ついにボス部屋の扉の前まで到達してしまった。

(もう……このまま逃げ込むしかありませんっ!)

 やむをえず、走っている勢いのままに扉を突破して中へ駆け込むルッタ。

 そこは、高級な家具と美しい花に囲まれた私室のような空間だった。

 中央にあるテーブルには、ハーブティーの入ったカップを手にした紫髪の美女と、花飾りを付けた緑髪の精霊が座っている。

「えっ?」

「ふぇ……?」

 二人――緑の魔女アルルネと花の精霊フロナは、突然の訪問者に対し呆気に取られている様子だった。

「お取り込み中失礼しますっ!」

 言いながら、丸テーブルを飛び越えて部屋の奥に逃げ込むルッタ。

 一瞬の静寂の後、扉を突き破ってキングラフレシアが突撃してくる。

「いやあああああああああっ!?」

「きゃーーーーーーーーっ!」

 アルルネとフロナは自分たちが放った魔物の体当たりでテーブルもろとも吹き飛ばされた。

「ごふッ!」

「ぶーーーーーっ!」

 お茶を吹き出しながら、派手に壁へと激突する哀れな二人。

「ええと……とりあえず僕と勝負です! 緑の魔女アルルネ!」

 優雅なお茶会は終わったのである。
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