転生ゲーマーは無限レベルアップで成り上がる!~死亡確定のサブキャラに転生したのでゲーム知識で死ぬほど経験値を稼いで破滅フラグをへし折ります~

おさない

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第三章 王都の破壊者ルッタ

第70話 訓練場から出られなくなりました!

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 訓練場の二階は、兵士たちが宿泊できる宿舎となっている。

爆破エクスプロード!」
双焔ツインフレア!」
雷撃ライトニングっ!」
土杭アーススパイクッ!」

 ルッタたちはそんな部屋の窓辺に並び、アンデッドが集まっている建物の周辺に次々と魔法を撃ちこんでいた。

「があああああああああああッ!」
「ぐおおおおおおおおおおおおッ!」

 爆炎や雷光、落下する土の塊に巻き込まれたアンデッドたちは次々と蹴散らされ、訓練場の周辺に倒れていく。

(みんなの魔力が高まっていくのを感じます……! やはり、ちょっとくらい危ない方が真剣にレベル上げしてくれるのですねっ!)

 必死に戦って強くなっていく皆の様子を見て、危険な学びを得るルッタ。

(もう、ルッタちゃんが傷つくところなんて見たくないわ……っ! お姉さまとして、ルッタちゃんを守れるくらい強くなるのよリリア……!)

 一方、リリアは健気にもそんなことを思っていた。どうやらメインキャラクターとしての自覚に目覚めつつあるらしい。

 そんな彼女の決意に呼応して、周囲を飛び回る精霊の光たちも輝きを増している。覚醒の時は近いようだ。

「はぁ、はぁ……きりがありませんわ……っ!」

 その時、ルッタの治療によってすでに消耗していたイーリスが真っ先に魔力切れを起こす。

「イーリス王女! これをどうぞ!」

 ルッタはそんな彼女の元へ駆け寄り、マジックポーチの中から虹色に輝く毒々しい見た目のキノコを取り出して渡した。

「な、なんですのこれ……?」

「これは『ヤルキノコ』といって、MPを回復して元気になれる優れものです!」

「ルッタ……あなた、どうしてそんなに変なキノコばかり持ち歩いているんですの……?」

 イーリスは顔を引きつらせて困惑しながらも、貰ったキノコを恐る恐るかじる。

「どうですか?」

 もぐもぐと咀嚼を続けるイーリスの顔を覗き込みながら問いかけるルッタ。

「ふおぉおーーーーーーーーッ!」

 次の瞬間、イーリスは王女としてあるまじき奇声を発した。

「やる気が……湧いてきましたわ……ッ!」

「それは良かったです!」

 どうやら、無事に元気を取り戻すことができたらしい。

「うおーーーーーーーーーーっ! 雷撃ライトニング! 雷撃ライトニング! 雷撃ライトニング! 雷撃ライトニング! 雷撃ライトニングッ!」

 即座に戦線へと復帰し、先ほどとは比べ物にならない早さで魔法を詠唱し続けるイーリス王女。とても恐ろしいキノコである。

「みなさんも、魔力がなくなったら僕に言ってください! やるキノコはまだまだ沢山ありますから!」

 ルッタは他の二人に向けてそう言った。

「なんかやだな……」

「ちょっと恥ずかしいわ……」

 グランもリリアも、あまり乗り気ではない様子である。

「でも、生き残るためには恥を捨て去るしかないのね……っ!」

 アンデッドを一掃するため、怪しげなキノコを食べることを強いられる不憫な子供たちの姿がそこにはあった。

 *

 結局、その日はアンデッドを一掃することができなかった。

 ネクロスアンデッドは倒しても肉体が残っていれば時間経過で起き上がってくるため、殲滅するのは至難の業なのだ。

 おまけに、いつまで経っても助けが来る気配がないので、子供たちは二階の広間で身を寄せ合って夜を明かすこととなった。

(うーん……ワープで抜け出すこともできなさそうですね)

 案の定、アステルリンクによる転移もできなくなっているようだ。

(分身に助けを呼んでもらうという手も考えられますが、リリア姉さまに見られると今後屋敷を抜け出せなくなってしまう可能性がありますし……)

 ルッタは難しい状況に置かれていた。

「ねえ……その板は何なの、ルッタちゃん? よく触っているけれど……」

 するとその時、隣に座っていたリリアが不思議そうに画面を覗き込みながら問いかけてくる。

「これはアステルリンクといって、一瞬でワープできる優れものなのですが……イベント中は発動しないみたいです!」

「ルッタちゃん……。大丈夫、きっとお父さまとお母さまが助けに来てくれるわ……っ」

 突然、そう言ってルッタのことをぎゅっと抱きしめるリリア。

「だから……気を確かに持って……っ! お姉さまがずっと側に付いていてあげるわ……!」

「ん……?」

 どうやら彼女は、弟が精神的に追い詰められるあまり変な妄想をするようになってしまったと思っているようだ。

「あの……僕はまともなので、いつでも気を確かに持っていますが……」

 ルッタは姉に抱きしめられ頬ずりされながら、やや不服そうに言うのだった。

「おかしい奴は、自分がおかしいことに気づけないんだよな! よく分かるぞ!」

 グランは思わずそう呟く。かつて父に殴られた経験から出た言葉なのかもしれない。

「確かに、悪役にはそういうキャラが多いですよね! ラヴェルナもセレーヌも最初はそんな感じでした!」

 それに対して、頷きながら同意するルッタ。

「おまえ無敵だな」

 グランは諦め気味に言った。

「どちらかといえば僕は弱いキャラだと思います! 序盤に死ぬので、雑に能力値を設定されていますからね!」

「は?」

 ここまで来るともはや手遅れである。

「………………ぐー」

 ちなみに、イーリス王女はすでにリリアにもたれかかって眠っていた。やるキノコが効きすぎた副作用である。

 ――そうして深夜、皆が寝静まったその時。

「うーん……?」

 四人から少し離れた場所に寝かされていた少年が、ゆっくりと目を覚ました。
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