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第32話 優しい聖女
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「ところで、授業はどこでやりましょうか?」
ちょこんと首を傾げながら、俺とニナの方を見てそう問いかけてくるサリア先生。
実に可愛らしいな! 露出で攻めてこない、健全な可愛らしさだ!
痴女の先生方にも見習って欲しいものである!
「アラン様のお部屋で良いと思います」
ニナが言ったので、俺もブンブンと首を振って同意した。サリア先生なら信用できそうだからな。
「分かりました。――では行きましょうかアラン。お部屋まで案内してください」
「は、はい!」
痴女ではない大人の女性と話すのは緊張するな! 心臓がドキドキするぜ……。
「うふふ……とってもいいお返事ですね!」
「あ、ありがとうございます」
この人、何しても褒めてくれるじゃん。嬉しいな。
「えっと、こっちです。僕に付いてきてください!」
「はぁーい」
そんなこんなで、俺はサリア先生を自分の部屋へ連れて行くのだった。
――その道中、メリア先生とダリア先生が詰め寄ってきて早口で色々と言ってきたけど、サリア先生が優雅にあしらってくれた。
流石は大人のお姉さんだ。まさに聖女!
*
「……ふぅ……はぁ」
部屋に入ってすぐ、サリア先生は大きく深呼吸した。
実は緊張しているのかもしれない。
二人きりになってすぐに親しみやすさアピールとは……あざといな。
「……この後も二人の授業があるようですから、治癒魔法の勉強には時間を取りすぎない方が良いそうですね。何度も念を押されました」
「ごめんなさい……わざわざ来てくれたのに……」
「ふふっ、あなたが謝る必要はありませんよ」
サリア先生は俺に向かって微笑みかけた後、こう続けた。
「……治癒魔法というのは少し特殊で、時間をかければその分だけ上達する……というものでもありませんから、まずは大切な心がけや基礎的な部分を重点的に学んでいきましょう」
「はい」
攻撃魔法と勝手が違うのは想定済みだ。しかし、アランの才能があればどうにかなるだろう。
「それでは……治癒魔法を覚える為にはに、まず自分の体で受けてみることが大切ですね。アランは今までに治癒魔法を使ってもらった経験はありますか?」
「たぶん一度だありますが、その時は気を失っていました」
確か精霊祭二日目の事件のあと、フウコが俺の治療をしてくれていたはずだ。
「分かりました。――ではベッドへ横になってください、アラン」
「は、はい?」
「私がこれから疲労回復の魔法をかけますから、自分の身体の変化に集中して欲しいのです」
「………………?」
びっくりした。一瞬だけ隠していた本性を表したのかと勘違いしてしまったぞ。
「ですが、あまり気を張りすぎないでくださいね」
「は、はい」
よく理解できないが、言われた通りにするか。
俺は指示に従い、ごろんとベッドへ横になる。
「それでは始めますね。……まずはゆっくりと目を閉じて」
「……お願いします」
「大いなる癒しの女神よ、どうかこの者にひとときの安らぎをお与えください――小回復《ショートヒール》」
それからすぐに、身体が内側から温まっていくような感じがした。
「どうでしょうか?」
「少し……体が熱いです……」
「私も同じです。――治癒魔法を使う上で大切なのは、相手と感覚を合わせることですから……」
……なるほど?
「相手の痛みや恐怖を自分のことのように感じ、それを取り除いてあげたいと願う……そんな慈愛の精神に女神様がお応えしてくださり、魔法の効力が高まるのです……」
「はい……」
「大切なのは、祈りと慈しみなのです」
「…………」
難しいぞ。俺には人の心が分からないからな!
「それにしても……かなり疲れが溜まっていますね……。まったく、メリアとダリアは一体どんな訓練をしているのかしら……まだ子供なのに……こんなに無理をさせて……」
「ん……っ」
「精霊祭の話も聞きましたが……あの二人とはちゃんとお話をしておく必要がありそうですね……」
治癒魔法の効果なのかは知らないが、全身がすごく熱い。汗が吹き出してきた。
「せ、先生……っ」
「今度からは、プリシラだけでなくあなたも診ることにしましょう。……少し無茶をさせすぎているみたいですから」
「あの……っ」
「それと……普段どのような授業をしているのかも、二人から聞き出しておいた方が良さそうですね……」
何も教えてくれない……。
この人、完全に治療モードに入っちゃってるよ……。
「……ふぅ。今日はこの辺で終わりにしましょう」
「あ……ありがとう……ございました」
――結局、その日は治癒魔法についてよく分からなかった。
でも、きもちかったのでよかったです。
そういえば、精霊祭が終わったあとも休んでなかったな……。
たまには……休んでいいのかも……。
「……すー、すー」
「――あらあら、寝てしまったのですか?」
ちょこんと首を傾げながら、俺とニナの方を見てそう問いかけてくるサリア先生。
実に可愛らしいな! 露出で攻めてこない、健全な可愛らしさだ!
痴女の先生方にも見習って欲しいものである!
「アラン様のお部屋で良いと思います」
ニナが言ったので、俺もブンブンと首を振って同意した。サリア先生なら信用できそうだからな。
「分かりました。――では行きましょうかアラン。お部屋まで案内してください」
「は、はい!」
痴女ではない大人の女性と話すのは緊張するな! 心臓がドキドキするぜ……。
「うふふ……とってもいいお返事ですね!」
「あ、ありがとうございます」
この人、何しても褒めてくれるじゃん。嬉しいな。
「えっと、こっちです。僕に付いてきてください!」
「はぁーい」
そんなこんなで、俺はサリア先生を自分の部屋へ連れて行くのだった。
――その道中、メリア先生とダリア先生が詰め寄ってきて早口で色々と言ってきたけど、サリア先生が優雅にあしらってくれた。
流石は大人のお姉さんだ。まさに聖女!
*
「……ふぅ……はぁ」
部屋に入ってすぐ、サリア先生は大きく深呼吸した。
実は緊張しているのかもしれない。
二人きりになってすぐに親しみやすさアピールとは……あざといな。
「……この後も二人の授業があるようですから、治癒魔法の勉強には時間を取りすぎない方が良いそうですね。何度も念を押されました」
「ごめんなさい……わざわざ来てくれたのに……」
「ふふっ、あなたが謝る必要はありませんよ」
サリア先生は俺に向かって微笑みかけた後、こう続けた。
「……治癒魔法というのは少し特殊で、時間をかければその分だけ上達する……というものでもありませんから、まずは大切な心がけや基礎的な部分を重点的に学んでいきましょう」
「はい」
攻撃魔法と勝手が違うのは想定済みだ。しかし、アランの才能があればどうにかなるだろう。
「それでは……治癒魔法を覚える為にはに、まず自分の体で受けてみることが大切ですね。アランは今までに治癒魔法を使ってもらった経験はありますか?」
「たぶん一度だありますが、その時は気を失っていました」
確か精霊祭二日目の事件のあと、フウコが俺の治療をしてくれていたはずだ。
「分かりました。――ではベッドへ横になってください、アラン」
「は、はい?」
「私がこれから疲労回復の魔法をかけますから、自分の身体の変化に集中して欲しいのです」
「………………?」
びっくりした。一瞬だけ隠していた本性を表したのかと勘違いしてしまったぞ。
「ですが、あまり気を張りすぎないでくださいね」
「は、はい」
よく理解できないが、言われた通りにするか。
俺は指示に従い、ごろんとベッドへ横になる。
「それでは始めますね。……まずはゆっくりと目を閉じて」
「……お願いします」
「大いなる癒しの女神よ、どうかこの者にひとときの安らぎをお与えください――小回復《ショートヒール》」
それからすぐに、身体が内側から温まっていくような感じがした。
「どうでしょうか?」
「少し……体が熱いです……」
「私も同じです。――治癒魔法を使う上で大切なのは、相手と感覚を合わせることですから……」
……なるほど?
「相手の痛みや恐怖を自分のことのように感じ、それを取り除いてあげたいと願う……そんな慈愛の精神に女神様がお応えしてくださり、魔法の効力が高まるのです……」
「はい……」
「大切なのは、祈りと慈しみなのです」
「…………」
難しいぞ。俺には人の心が分からないからな!
「それにしても……かなり疲れが溜まっていますね……。まったく、メリアとダリアは一体どんな訓練をしているのかしら……まだ子供なのに……こんなに無理をさせて……」
「ん……っ」
「精霊祭の話も聞きましたが……あの二人とはちゃんとお話をしておく必要がありそうですね……」
治癒魔法の効果なのかは知らないが、全身がすごく熱い。汗が吹き出してきた。
「せ、先生……っ」
「今度からは、プリシラだけでなくあなたも診ることにしましょう。……少し無茶をさせすぎているみたいですから」
「あの……っ」
「それと……普段どのような授業をしているのかも、二人から聞き出しておいた方が良さそうですね……」
何も教えてくれない……。
この人、完全に治療モードに入っちゃってるよ……。
「……ふぅ。今日はこの辺で終わりにしましょう」
「あ……ありがとう……ございました」
――結局、その日は治癒魔法についてよく分からなかった。
でも、きもちかったのでよかったです。
そういえば、精霊祭が終わったあとも休んでなかったな……。
たまには……休んでいいのかも……。
「……すー、すー」
「――あらあら、寝てしまったのですか?」
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