転生したら主人公を裏切ってパーティを離脱する味方ヅラ悪役貴族だった~破滅回避のために強くなりすぎた結果、シナリオが完全崩壊しました~

おさない

文字の大きさ
31 / 43

第31話 新しい先生

しおりを挟む
 波瀾万丈の精霊祭が終了し、いつも通りの平和な日々が帰ってきた。

 変化したところといえば、許嫁が三人になってしまったことと、妹のプリシラと一緒に暮らすようになったことくらいだろうか。

 俺が前世の記憶を取り戻して一応は改心した以上、プリシラを遠ざける必要はないとお父さまが判断したのだろう。

 ちなみに、三人の許嫁に関してはプリシラも知っている。

「お兄さまはカッコイイから女の子にモテモテなのは分かるけど……あんまりそーゆーことしてると、そのうち後ろから刺されちゃうよ!」

 と、笑顔で忠告された。全くもってその通りだと思ったので、何も言い返すことが出来なかったぞ。

 ……それから、取り込んだ魔石に関しては今のところあまり大きな変化を感じていない。強いて言えば魔力がさらに増えた気がするが、それも微々たるものだ。

 俺の『願い』が叶っていた場合、それがどのように実現するのか分からない。自身の体調の変化に注意しておく必要があるだろう。

 というわけで、日常に戻った俺はメリア先生とダリア先生の授業――というより戦闘訓練を受けていたのだが……。

「はぁ…………」

 その日はやけにメリア先生の元気がなかった。

「どうしたんだメリア。お前がため息なんかついて珍しい」

 隣にいたダリア先生が、不思議そうな顔をしながら問いかける。

「来るのよ……」

 げっそりとした顔で答えるメリア先生。

「来るとは?」
「アランちゃんに治癒魔法を教えるために……あいつが……!」

 そういえば、精霊祭の後すぐに思うところあって「治癒魔法を教えて欲しい」とメリア先生に相談していたな。しかしメリア先生は専門外だったので、代わりに新しい先生を呼ぶことになっていたんだっけ。

 果たしてどんな人が来るのだろうか。

「あいつとは誰のことだ? 勿体ぶらずに言え」
「だから……! あいつよ……っ!
「なっ…………!? あ、あいつなのかっ?!」

 ダリア先生も誰が来るのか理解したらしく、冷や汗を垂らして固まっている。

「どっ、どうしてわざわざ……!? 他にも居ただろ!」
「だ、だって…………ごにょごにょ……」

 メリア先生は、俺に聞こえないよう耳打ちした。

「おい! あいつは自分の息子をどうしたいんだ!」
「私は反対したのよ!」

 二人揃ってそこまで深刻に話し込まれると、段々と怖くなってくるぞ。

「で、でも! プリシラちゃんの病気を今まで診てくれた信用があるとか……一番優秀な人に教わった方が良いとか……ふざけたことばかり言って……っ!」
「くっ……! 奴は息子の貞操に対しても鈍感なのか……っ! 父親がそんな風だからいきなり三人も許嫁ができてしまうんだッ!」
「や、やめなさい! アランちゃんの前よ」

 なんかお父さまの話してる? しかし、許嫁の話まで持ち出されて俺にまでダメージが……!

「あの、どんな人が来るんですか……?」

 流石に心配になってきた俺は、微妙そうな顔をしている二人に問いかけた。

「……サリア」

 すると、メリア先生がゆっくりと口を開く。

「………………!」

 それは聞き覚えのある名前だな。

 確か、ゲーム中盤で戦うボスに『堕落の聖女サリア』という魔人がいたはずだ。

 魔人でありながら普段は心優しい聖女として振る舞い、裏では攫ってきた町の子供や孤児達を悪魔に捧げる悍ましい儀式を行なっていた、気色悪さと胸糞悪さが合わさったボスである。

 魔法の適性はフウコと同じ木属性で、ボスとして戦う際は状態異常攻撃やHP吸収など、多彩な魔法で攻撃してきた記憶がある。

 ――しかし、サリアは魔人になる前は本当に優しい聖女だったと原作で語られていた気がするぞ? この二人がやたら毛嫌いしているだけで、普通に良い人だったのでは?

 俺のそんな予想は、メリア先生が発した次の一言によって覆されることとなる。

「……フォルテル」
「え……?」
「サリア・フォルテル。つまり私たちの……姉よ」

 絶対に痴女だ……! 聖女の皮を被った変態だ……!

 まさか、堕落の聖女サリアが二人の姉だという裏設定があっただなんて……! 名前が似ている時点でもっと怪しんでおくべきだった。

「あの変態にアランちゃんを見てもらうなんて、恐ろしいわ……!」

 真剣な表情で呟くメリア先生。……人のことは言えないと思いますよ。

「い、いざとなったら私が守ってやるからなっ! アランくんを変態には近づけさせないっ!」
「では離れてください、ダリア先生」
「なぜ?!」

 おいおい、許嫁の次は痴女が三人に増えるのか……? もう安心して眠れなくなってしまうぞ!

「アラン様。サリア先生が到着しました」

 ――衝撃の事実を知ってしまったその時、ニナが俺達の元へやって来てそう告げるのだった。

 *

 それから、俺はニナに連れられて応接室の前まで来た。

「失礼します……」

 扉を開けると、そこには純白のローブに身を包んだ金髪の女性が座っている。

「アラン様をお連れしました……サリア先生」
「どうもありがとう、ニナ」

 サリア先生はそう言ってソファーから立ち上がり、俺の方へ近づいてきた。

「あなたが……アランさんですね。もう聞いているかもしれませんが、私の名前はサリア・フォルテル。あなたに授業をしているメリアとダリアの姉です。よろしくお願いしますね」
「よ、よろしくお願いします」
「うふふ。……とは言っても、あの二人とはもうしばらく会えていないのですが。――ここに居ると聞いてびっくりしてしまいました!」
「そうなんですね」

 すごいまともだ。ベタベタしてこない! 普通に会話できる!

 ……しかし、原作でも初登場の時はこんな感じだったな。裏の顔があるかもしれないので警戒は解けない。

「実は、今までプリシラの病気を治療する為に、よく別荘へ通っていましたから……ニナやあなたのお父さまとは、それなりに気心の知れた仲なのです」

 それは初耳だ。

「プリシラの病気も、時間をかけてじっくりと治療していけばきっと治ります。ですから、心配しないでくださいね!」
「は、はい……」

 その言葉を聞いて少し思うところがあったのだが、ただ返事をすることしか出来なかった。

「……さてと。あまり長々と話し込んでしまうと、アランさんが飽きてしまいますよね。――早速ですが、治癒魔法の授業を始めましょうか」
「お、お願いします」

 やっぱりこの人、一番まともなのでは……? 優しいし、ニナも信用してるっぽいし。

「ふふ、いきなり難しいことを教えたりはしませんから、そんなに緊張しないでください!」
「はい、分かりました……」
「優秀なアランさんなら、きっとすぐに使いこなせるようになります! 一緒に頑張りましょう!」

 すごく良い人だ。ぼく、このお姉さんがいちばんすき。

 ――痴女だと思ってすみませんでした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...