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第19話:小悪魔少年(前編)

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<前回までのあらすじ>
主人公白石圭太は美人保険医が顧問の
『服飾文化研究会』に強引に入れられる。
しかしそこは服飾研究とは名ばかりのコスプレHを楽しむ場所であった。
そこで祥太は言われるがままに女装して、顧問の沙由美と先輩部員たちに
オモチャにされる日々を送っている中、紆余曲折を経て
「カッコよくて素敵な大人」を目指すことを誓うのだった。
(あらすじここまで)

「あん・・・ふぅん・・ああん・・・」
「お姉さま、ボクのくすぐりはいかが?」
「ああ・・・グレンってば意地悪ね」
「それだけお姉さまが魅力的ってことだよ」
なにやらけしからぬ場所でけしからぬことが行われていた。
グレンと呼ばれた少年は、その幼い顔立ちとは裏腹に
大人の色気を漂わせている。

そして今、彼の目の前で横たわっている女性も
また妖艶な雰囲気を放っていた。
「ところでボクお願いがあるんだけど。」
「あら、またお小遣い?それともお仕事?」
「ううん、なんでもない・・・」グレンは笑って見せた。

場所は変わって。
ある冬の朝、ロングコートに身を包んだ人物が学校の廊下を
ものすごい勢いで歩いている。
その人物は保健室の前で足を止めると、すごい勢いでドアを開ける。
そして保健室に入り込むと、静かにドアを閉める。
「・・・朝からいきなり連絡があったと思ったら・・・」
と怒りに満ちた顔で言い放つその人物は圭太であった。
「あら圭ちゃん、おはよう」と保険医の沙由美がいつものように声をかける。
「こんなことして何が楽しいんですか!?」と
怒号をぶちまけながらコートを脱ぐと、
その下は全裸であった。

「今日もかわいいわよ~圭ちゃん♪」と沙由美はウインクする。
「うるさい!いい加減にしてください!」
と圭太は叫ぶ。実はこのやりとりは毎朝の恒例行事になっていた。
「まったくもう・・・毎回毎回ひどい目に遭わされて・・・
前回のちょっと感動的なアレはなんだったんだ・・」
「最近の圭ちゃん、なんだか精神的に強くなってきちゃったから、たまには、ね」
「ね、じゃない!大体こんな踝まであるコート、どこで手に入れてくるんですか?!
部屋からコート来て出てきたら、家族にも不思議がられましたよ!」
と圭太は怒り心頭といった様子だ。「でもスリルあったでしょ?」
「・・・電車の中で『この状態で痴漢冤罪にでもなったら、
問答無用で僕の人生が終わる・・・』
と気が気じゃなかったですよ!」
と圭太は嘆く。そんな圭太を見て沙由美は楽しそうだ。
「で、服着ないの?」「・・・・!」怒りのあまり服を着るのを忘れていた圭太は
大慌てでカバンから服を取り出して着始める。その様子を見て沙由美は微笑む。
そんな沙由美を見て「やっぱり貴女って最低だ!」と叫ぶ圭太であった。


****
また違う場所で。
「はぁん・・・グレン様ぁ・・・」
「キミは地味で目立たないからね。こうやって飾りをつけて、
ようやく魅力的に輝けるようになったんだよ。」
グレンの前には先ほどとはまた違う女性が横たわっていた。
その乳首と局部には銀色に光るピアスが付けられている。
「ほら、こうしてあげると・・・」グレンは女性の胸に手をかざす。
すると女性はビクンッと身体を震わせた。
「ああっ・・・グレン様に触れられてると思うだけで・・・
わたしおかしくなりそうですぅ・・・」
「以前ボクを手なずけようとした敏腕女性プロデューサーとは
とても思えないねぇ」
と言いつつグレンの手は止まらない。
さらに彼女は甘い吐息を漏らしながら言う。
その表情は快楽に蕩けたメスの顔をしていた。
そして彼女の股間からは愛液が溢れ出していた。
「反対にボクのペットになっちゃった気分はどう?」
「最高ですぅ・・・もっと可愛がってほしいですぅ・・・」
「ふふっ、素直になったね。お望み通りいっぱいかわいがってあげよう」
「ああん・・・うれしい・・・」
グレンが彼女を調教している最中、少年とは思えない妖艶な笑みを浮かべる。
「子供だと思ってボクを舐めたらこうなるんだよ」

***
またまた場面は変わって。
圭太が部室を訪れると、沙由美と真由里がいた。
どうやら真由里が持ち込んだタブレットで何か見ているようだ。
『グレンのチャンネルにご登録してくれてるお姉さま方に、
ボクから地獄のように熱い愛をお届けして、あ・げ・る・よ』
「・・・あんたら学校のWi-Fi使って何見てるんですか?」
圭太は着替えながら呆れたようにつぶやく。
(多分だけど絶対くだらない奴なんだろうな・・・)
ちなみに圭太の女装姿はもはや見慣れたもので、誰も違和感を感じなくなっていた。
その圭太の言葉に真由里が反応する。
「今大人気のYouTuberグレン様のチャンネルですよぉ!」
その顔はニヤケていて気持ち悪い。
「グレン様?」
聞き覚えのない名前だ。
圭太は首を傾げる。
そんな圭太の様子を見て真由里は嬉々として説明を始めた。
曰く、グレンという人物は14歳のユーチューバーで、 女性のような容姿をしており、
動画内容は女装した姿で女の子を誘惑していくという内容だそうだ。
「この小悪魔的なキャラが今女性たちの間で大受けして大人気です!」
「14歳って・・・まだ中学生じゃないですか!」
「でも、そこが良いんですよ!それに女装も似合ってますしね!
あ、でも私の最押しが圭太様なのは今でも変わらないのでご安心ください!」
「ご安心て・・・」
「私も圭ちゃんの方が可愛いと思ってるからね~」と沙由美も乗る。
「それにこの子、何頼んでもニコニコ引き受けそうだし・・・」
(いやぁ、流石に裸コート通学は拒否ると思うぞ・・・)
と心の中でツッコみながら、自分の状態が異常だと思い知る圭太だった。
「でもまぁこの誘惑するような語り口は凄いわね。ある意味流石プロって感じ」
「プロ・・・ですか」
沙由美は意外にも感心していた。
真由里は目を輝かせている。
確かにこういう喋り方は参考になるかもしれない。
だが圭太はどうしても引っかかるものを感じていた。
(なんだろ?なんか嫌な予感というか、不安を感じるんだよね・・・)

****
更に場面は変わって。
グレン車に乗っていた。隣ではマネージャーらしき人物が
スケジュールを読み上げる。
「次のグラビア撮影まであと1時間ほどあります。それまで車内で待機していて下さい」
「了解」
グレンは適当に返事を返す。
彼はスマホを取り出し、SNSを眺めていた。
「それじゃあ今日も頑張っていきましょう!」
「ああ、頑張ろう」
「ところでこの子と僕どっちが可愛いと思う?」「え?」そう言って
グレンがマネージャーにスマホを見せる。
「この前ボクのファンの子が送ってくれたんだよね。
ネットでは「素人の奇跡の1枚」扱いでそこまで拡散されてないみたいだけど」
そこに写っていたのは、文化祭の時の圭太の写真だった・・・。
「ボク、ちょっとこの子に興味沸いたんだよね・・・」とニヤリと笑った。

数日後。
圭太が既に下校して、商店街を歩いていると・・・
「白石圭太くんだね」と不意に背後から声を掛けられた。
振り返ると、切れ長の目をした黒いスーツの少年が立っていた。
「君は・・・」
圭太にはその少年が先日話題にした「グレン」であることに
気づくことは出来なかった。
グレンは圭太の手を取ると、そのまま走り出した。
そして近くの路地裏へ入り込むと、圭太を壁に押し付ける。
突然のことに混乱していると、グレンは妖艶な表情を浮かべて
その顔を観察するように眺めまわした。
しかしその直後、なんだか訝しげな表情に変わり、何も言わずに去っていった。
(ななななな・・・何?!)圭太はその場にへたり込む。
状況が全く理解できなかった。

****
その夜。
バスローブ姿でPCを眺めるグレンがいた。
「う~ん、写真を見た時点ではピンと来るものがあったんだけどなぁ・・・
実物を見ると、大したことないというか・・・
やはり皆のいう通り、あの写真が「奇跡の1枚」だったのかな」
と独り言をつぶやくと天井の方を見た。

天井には、裸の女性が亀甲縛り状態で逆さ釣りにされている。
その女性の秘部には剃ったのか脱毛したのか不明だが毛が存在せず、
代わりにバラのタトゥーが刻印され、クリトリスにはピアスが開けられている。
「うう・・・ううん」猿ぐつわされた口から苦しそうに呻き声を出す。

「いくら積まれたのか知らないけど、ボクに近づいてスキャンダルを起こそうとか
ホントにいい度胸だよね」グレンがさげすむように笑う。
女性はただひたすら許しを請うような目つきで見つめるだけだった。

「キミなんか飼う価値すらない。あとで放してやるから、キミの雇い主に
『グレン様は清廉潔白です』と報告してくるといいさ。」
そう言うと彼女のものと思われるスマホから自分に関する情報をすべて消した。

「ああ、あとそのタトゥーは1年ぐらいで消えるやつだから安心してね。
ま、しばらくは悪さできないと思うけど。
それとピアスは病みつきになる前に外した方がいいよ」
そう言い残すと部屋を出ていった。

つづく
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