偶然が生んだ最強種

大路

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10.究極呪文

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今日はいよいよ勇者のお披露目をする日だ。
結局テリーが勇者の代わりをする事になった。

その勇者テリー様は今人型になりロレスターン王国の紋章が入った黄金の鎧兜を身に着けている。

顔が龍なので全部覆える様に特注で作ったみたいだが妙に顔が前に長い。

本当に大丈夫か?

「凛々しい姿ですぞテリー様」
「まるで龍騎士の様だ!」

口々に煽ての言葉を放つ大臣や騎士達。
まぁテリーも満更でもないみたいで声を掛けられる度にポーズを取ったりしている。

あんまり調子に乗らないでくれよ・・・
そんな事を考えているとドアがノックされた。

「失礼します!各国の王が揃われました」

そう言いながら兵士の一人が入ってきた。
いよいよか・・・
ちょっと緊張する。

「ではテツ様向かいましょう」

そう大臣が言って来たので頷きテリーを背中に乗せ
王達が集まる間に向かう。

「テリー!打ち合わせ通り頼むぞ」
「うん!喋らない様にだよね」
「そうだ」

寡黙で口数の少ない勇者と言う設定になっている。
間違っても「ガラァ」何て言ってしまったら終わりだ

緊張しながら扉の前に着くと待っていた騎士の人が
扉を開けてくれた。
中で待っていた同盟国の王10名が立ち上がり俺達に
頭を下げる。
そしてテリーが席に着くと全員が着席する。
それを見てムーサ王が口を開いた。

「この方こそが魔王討伐に名乗りを上げてくれた」
「勇者テツ様とその相棒のテリー様です!!」

歓声と拍手が沸き起こる。
名前は俺が人化出来る様になった時に都合が良い様にそのままにしてもらっている。

「いやぁ素晴らしい」
「全くあんな見た事もない魔物を従えるとは」
「これは対魔王も盤石ですな」

口々に言葉を上げる各国の王達。
良かった無事に上手く行きそうだ。
その後も順調に行き外に出ての実力試しもテリーが
上手くこなしてくれた。

テリーお前やれば出来る子だったんだな
涙が出る程嬉しいぞ!!
馬鹿にしてごめんよ・・・
嬉しさが込み上げてくる!!!!




!?




ヤバい・・・




尻尾が動いてる・・・



俺がやっちゃってる・・・・


突然辺りに黒い炎が燃え盛り竜巻が現れ合体する。
黒い炎を纏った竜巻が5個出現し辺りを燃やし尽くさんと暴れ回る。

「急に一体何だーー!!」
「此方に向かっておる!!」
「死ぬーー!!」

各国の王達が叫び声を上げる。
どうしよう、どうしよう、どうしよう
これどうやったら消えるの??

取り敢えず魔法をぶつけて相殺を狙うが押し返され消えない。

テリーに手伝ってもらおうかと思ったけどあいつ今喋れないから魔法出せないんだ。

でも仕方ないよな・・・
このままじゃ全員死んじゃうよな・・・

「テリー!ごめん手伝ってーー!!」
「喋って良いの??」

近づき小声で話しかけてくるテリー。
頷き返事をする。

「ガラァ!!!」(光上級魔法 ラディウス)
「ガラァ!!!」(嵐上級魔法 テンペスタース)

俺の光の光線が黒い炎を纏った竜巻を吹き飛ばし
テリーの暴風雨が炎を消し空の彼方に飛散させて行き暴れ狂っていた竜巻は消滅した。


良かった・・・じゃないよなぁ・・・


恐る恐る王達の方を振り返ると
腰を抜かし何が起こったのか分からず
目を点にしている。

横を見るとテリーが悲しげな目で俺を見てる。


その眼はやめてーー!!


「凄い、勇者様が我々を守ってくださったぞー!」
「私もあんな魔法初めて見ました!!」
「ガラァ!!何て聞いた事がない!!」
「いやぁ本当に凄かったですね、ガラァは」

口々に何か変な事を言いながら歓喜の声を上げている
唯の鳴き声のガラァが呪文みたいになってるし


でもこれ行けんじゃね??


急いで背中の紙に文字を書く。
それを意識の飛んでるムーサ王に渡す。

「ま、王の、手下の襲撃が、あったが撃退し、た」

そう紙を読んだムーサ王。
それに対してまた口々に歓喜の声を上げる各国の王達


何とかなったーー!!


勇者テツコールが沸き起こる中居た堪れない気持ちで尻尾にだけは気をつけると心に誓った。


本当に皆様ごめんなさい・・・


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