偶然が生んだ最強種

大路

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25.ヤズド王国

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 ヤズド王国へ向けて空の旅を続ける俺達。

 目的地のヤズド王国はこの辺りでは
 一番歴史のある国で通称「本の国」と呼ばれ
 数多くの書籍が残されている事で有名らしい。
 ロレスターン王国とも一番古い付き合いの国らしい

 何か新しい発見があるかもな。
 そんな事を考えながらワクワクしていると
 ヤズド王国が見えて来た。

 まずいつもの様に入国審査の列に並ぶ。
 周りは一瞬俺の顔を見て目を逸らす。
 テリーを見て黄色い声を上げる女性達もいる。
 この環境にも慣れてきてしまった。

「はい、次の方」

 順番が回ってきたのでロレスターン王国の紙を
 手渡す。

「勇者様でしたか!わ、私はてっきり、いや、
 どうぞ」

 私はてっきり何だよ!!
 そう思いながらも街の中に足を踏み入れる。

 綺麗だ!!

 石畳みの地面。
 中世ヨーロッパの様な芸術的な建物の数々。
 街の至る所にあるオブジェ。

 どれも芸術的で美しい街並みだった。
 その街の奥にそびえ立つ威厳のあるお城。
 取り敢えず俺達は城を目指す。

 城門で兵士に紙を見せ王に問い合わせてもらう。
 数分で案内され美しい中庭を抜け城の中へ。
 更に奥に進むと一際豪華な扉。

「王が中でお待ちです!どうぞ!」

 そう声をかけられ中に入ると二人の人物が
 待っていた。

「よく参られた勇者様!素顔も美しいですな」
「初めまして!勇者様」

 この国に王  ドナラ王
 この国の第一王子  リューシン王子

 二人が出迎えてくれた。
 ちなみに勇者は一応俺だとも訂正しておいた。
 バツの悪そうな顔をしていた二人。

 それはさて置き本来の目的である資金の話をする。
 内容を話すと勿論同盟国として協力させてもらうと
 快く言ってくれた。

 その後軽く雑談をしているとリューシン王子から
 面白そうな内容の話が出た。

「明日年一回開催される武闘大会がわが国
 自慢のコロッセオで開催されるのです」

 武闘大会??
 是非見学したい!!

「是非見学させて下さい!」
「勿論ですよ」

 楽しみが一つ増えたな。
 それならばとドナラ王が提案してきた。

「優勝者と勇者様が模擬試合を行うという
 イベントはどうだろう?」

「父上、勇者様に迷惑じゃあ?」

「是非やらせて下さい!!」

 参加したい気持ちもあったし願っても無い申し出だ

 うん??

 そうだ!!


「リューシン王子!まだエントリーは間に合い
 ますか?」

「え、ええ!間に合いますが」
「俺達の配下を参加させてもよろしいですか?」
「それは勿論!大会が盛り上がりますよ」

 頭で五人に出て来いと命じる。
 すぐに姿を表す五人。
 リューシン王子もドナラ王も驚いた顔をしている。

「この者達を参加させたいんですが」
「こ、これは、今年の参加者は不運だな」

 そんな話をしながら五人の武闘大会出場が決まった
 大会出場へのエントリーは城で行うと言ってくれた
 そして今日泊まれる宿も手配してもらい俺達は
 城を後にする。

 近くのレストランで皆んなで食事を取る。

「テツ!明日楽しみだね」
「ワクワクするな」

 誰が優勝するんだろう。
 本命は黒爺だな。
 他の四人より一段階進化しているのは大きい。
 でも他の四人もこの大会がきっかけで進化出来る
 かもしれない。

 こんな楽しいイベントは積極的に参加した方がよい
 見ていると五人はもう火花を散らしていた。

「テリーさんやりますか?」
「テツさんやっちゃいましょう」

 ノリノリのテリーがサングラスをかけマイクを持ち
 黒爺の元へ向かう。

「黒爺意気込みは?」
「若い者にはまだまだ負けんよ」

 一瞬戸惑った黒爺だがノリ良く答えてくれた。

「テツさん!若いだけの雑魚は全員1ラウンドで
 沈めると黒爺は仰っていますーー!!」

「え、儂そんな事、言って」

 言ってない事を言われ焦る黒爺。
 御構い無しに俺達の煽りは続く。

 格闘技の大会とは煽り映像が大事だ!!
 その後適当に五人を煽って行く!!

 黒爺「若いだけの雑魚は引っ込んでろ」
 蝉丸「ジジイや存在感の薄い緑野郎は消えろ」 
 紅丸「色気の無いクソ女や後の能無しは私に跪け」 
 白雪「色気だけが取り柄のババアとクソ共は消えな」
 薄緑「吠えるのは雑魚のする事だ」

 誰も一言も言って無いが言った事になり煽り完了!
 全員が宿敵を見る目で睨み合っていた。

 勝負事は常に本気が大事だ!!

 明日が楽しみーー!!

 テリーとワクワクしながら宿に帰り眠りに着く!



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