偶然が生んだ最強種

大路

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27.ヤズド王国武道大会 開戦

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 遂に開戦した武道大会。
 第一試合に紅丸が登場した。

「頑張れーー!!」

 テリーも声援を送っている。
 相手は黒ずくめで負け無しの賞金稼ぎアスク。

 手強いだろうが頑張ってほしい。

「綺麗なお姉さんが相手で嬉しいぜ」
「殿達の為に瞬殺するわね」

 そんな言葉を交わし試合が始まった。
 アスクが素早い動きでステップを踏み紅丸の周囲を
 回り始める。

 残像がどんどん増えていく。

「子供騙しね」

 そう言って本体を見抜き鋭いハイキックを
 浴びせる紅丸。

「グアッ!!」

 吹き飛んだアスクを取り囲む様にステップいや
 舞を踊る紅丸。

「貴方がやりたかったのはこれかしら?」

 どんどん紅丸の数が増えて行く。

 これは??

「な、何だと!」

 自分の技を真似され驚きの声を上げるアスク。
 しかも数が圧倒的に多い。
 残像に向けて魔法を放つアスク。
 しかしハズレの様ですり抜けてしまう。

 どんどん距離を詰める紅丸の大群。
 近ずく一人に殴りかかるアスク!

「あ、熱ッ!?」

 殴った紅丸は炎に変わり拳を火傷するアスク。

「妖術 焔身」

 その言葉と同時に分身達が炎を上げていく。

「ま、参ったーー!!」

 アスクの口から降参の言葉が出た。
 圧倒的だったな!




 勝者 紅丸!!




 第二試合はかなり注目の一戦だな。
 蝉丸とリュオーンどっちが勝つだろう。

「テリーは次はどっちが勝つと思う?」
「蝉丸!!」

 即答のテリー!
 何で言い切れるのか聞いてみる。

「蝉丸ハゲだけど強いよ」

 ハゲは関係ないと思うが・・・
 まぁ確かに蝉丸の方が有利かな?
 でもリュオーンの魔法はかなり強いけどな

 そんな事を考えていると第二試合始まりの合図が
 告げられた。

「拙者テツ&テリー様五本刀の一人蝉丸と申す」 
「知ってますよ!私はリュオーン、よろしく」

 そんな言葉を交わしながら戦いが始まった。
 そういえばリュオーンには特殊属性魔法「観察」が
 あるんだった。

 蝉丸については恐らくもう調べ済みだな。

 凄いオーラを放ちながら力を溜めて行く蝉丸。
 グングン筋肉が膨張していく。
 それを見てリュオーンが呟く。

「こ、これは凄い!では私も」
「な、何!?」

 リュオーンは右手に炎、左手に氷、両足に風を
 それぞれ纏わせる。

 三つの魔法を同時に使うとは・・・
 これは凄い技術だ。

「蝉丸さん!貴方の弱点は見抜いてますよ」

 そう言って脚に纏わせた風でスピードを出し攻撃
 するリュオーン。

 一発の氷の拳が蝉丸を捉える。

「グアッ!!」
「貴方の弱点はスピードだ!」

 そう言って更に追撃をするリュオーン。
 炎の拳、氷の拳を何発もくらう蝉丸。

 肉体強化したタフさで何とか凌いではいるが
 蝉丸の攻撃はリュオーンを捉える事が出来ない。

 しかし一撃当たれば逆転の可能性は充分ある。
 蝉丸の大砲の様な攻撃をギリギリで
 避けるリュオーン。

 かなり緊張感のある戦いだ。

「さすが凄いタフさですね」
「クソッ!」

 何発も拳を入れられ攻撃が当たらない事に
 苛立つ蝉丸。
 しかし中々倒れない蝉丸にリュオーンも焦っている

「一気に決める!!」

 そう言ってリュオーンがスピードをフルに使い
 攻撃を仕掛ける。


 その瞬間


「妖術 鋼鬼!!」



 ガキン!!


「や、ヤバイ・・・」


 リュオーンの攻撃は確かに蝉丸を捉えたが防御に
 集中した蝉丸を倒す事は出来ず鈍い金属音を鳴らす

 隙が出来たリュオーン。
 それを見逃さず蝉丸が攻撃を仕掛ける。

「妖術 壊鬼!!」

「グアッーーーー!!」

 大砲の様な拳を受け宙に舞うリュオーン。
 そして地面に叩きつけられる。





「グッ、クソッ!?」





 しかしそのまま前のめりに倒れた蝉丸。





 フラフラと立ち上がるリュオーン。



 勝者リュオーン!!


 何が起きたか分からず疎らな拍手が起こる。
 しかし俺達は見逃さなかった。

 リュオーンが攻撃をくらう瞬間に厚い毒の膜を作り
 衝撃を殺し更に蝉丸に毒攻撃を仕掛けた事を。

 四つの魔法の同時使用とは恐れ入った。
 しかも毒属性を使えるとは・・・


 蝉丸も相手が悪かったな。


「テリー!蝉丸の所に行ってやるか?」
「頑張ったもんね」

 きっと落ち込んでるだろうし毒抜きでもしてやろう
 そう思い選手控え室の方に向かう。

 控え室に着くとリュオーンが説明したのか
 解毒用の注射を打たれている蝉丸が居た。

「殿申し訳ございません・・・」

 俺達を見つけそう話しかけてくる蝉丸。

「謝る必要なんてないぞ!良い試合だったよ」
「かっこ良かったよ」

「勿体無いお言葉!この蝉丸更に精進致します」

 そんなやり取りをして蝉丸を連れて観覧席に戻る。
 黒爺の試合が始まってしまう。


 しかし幾らでも強い奴はいるもんだ。
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