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二章
21
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すみません。お昼に投稿出来なかったので、こんな時間になりました。夕方の投稿は大丈夫ですので、よろしくお願いします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
特に成果もないまま部屋へと戻ってきた。謎は謎のままで、解決への糸口すら掴めなかった。
「建国時の神殿なのは分かったが。何故反神聖結界が張られたのかは分からぬままだったな」
「そうで御座いますね。本来なら口伝でも伝えるべき事だとは思うのですが。それすらもないのは何か意図しているのを感じます」
「だろうな。父上も神殿など聞いたこともなかったようだし」
そのままその部屋でアエス王子とファルシュさんが話し込んでいる。
ヴェクステル館長とヴィーエさんは地下の出入り口で何か術みたいな事を試している。
残った私とマアディン卿は部屋の隅で遠巻きにそれを眺めていた。
人が出入りしても反神聖結界の影響は無いとヴェクステル館長は言っていた。神聖力が周りに影響出さないよう、力が漏れ出さないようにしているだけなのだと聞いた。
「アエス王子、少しよろしいですか?」
ヴェクステル館長がアエス王子に出入り口について話している。ヴィーエさんも補足したりと、何か進展のあることがあればいいなぁと、眺めていた。
「レベナン嬢、ここにはアチラの方はいるのですか?神殿のことなど知った方が居ればいいと思いまして」
私の護衛についてくれているマアディン卿が隣に来ると腰を屈めて耳打ちしてきた。突然の接近と耳にかかる息に肩がピクリと跳ねた。神殿育ちには異性との接触の機会が極端に少なくて対応に苦慮するのだ。緊張と慣れなさすぎてつっけんどんになっているのを自覚していても治せない。普通がよくわからないし。
どう反応していいか分からず口籠もりながら答えた。
「えっ?あ、ええ、神殿を知るアチラの方々とかは居ないです。結界のせいか、全く居なかったんです」
「居なくては聞けないな。地下でも神殿や結界が何のために有るのかも分からなかったですからね」
「弾かれてしまったのでしょうね。それにしても“居なくては“なんて言うなんて。斬れない方々のことをよく話題にしましたね。マアディン卿、苦手じゃなかったですか?」
「まあ、流石に慣れましたよ」
自嘲気味に笑うするマアディン卿に私も笑い返した。
「今アチラの方々が居ないので私は役に立たないですけど」
「そんなことないですよ。未知の神殿を見つけたのはレベナン嬢なのだから。自信を持ちなさい」
マアディン卿が元気のない私を励ますように声をかけてくれる。その心遣いに温かさを感じてた。
でも。
それでもーー。
四人が向こうで何か話している。
ベッドの近くのテーブルに近づくことに躊躇う私は話に参加できない。
「話しに参加しないのか」と伺われたが、首を振る私にマアディン卿も困惑顔が隠せない。
マアディン卿は私の顔を見るたびに眉を寄せる。
そんなに私の顔は変だろうか。
心配げに私を見つめるマアディン卿。
心配してくれるのはありがたいが。
でも、私はそれどころじゃない。
先程、“今アチラの方々が居ない“ と言ったが。
それは嘘だ。
本当は、ずっと居るのだ。
視てしまったその姿。
青いベッドは水色の天蓋が四方に括り付けられ綺麗なドレープが見事だ。真っ青なベッドカバーは銀糸の刺繍が施されている。
その上に座る女性。
王妃とそっくりの女性。
悲しげにベッドに座り人形を抱えている。
ハラハラと涙を流し呟く言葉。
〈私が、 ……アリアージュ・ゼス・キュイベル王妃よ………姉様。ミニエーラお姉様。忘れないで……〉
聞いてしまったその言葉。
〈あの子たちは……私の子よ!〉
ざわざわと肌が泡立ち不快感が沸き起こる。
鋭く、刺さるような感情がそのまま襲ってきた。
〈私の子!私が産んだ!!あの三つ子は!何処!!〉
ぞくりとするような寒さが全身を包み鳥肌が立った。
頭痛に顔を顰め眉間を抑えた。
〈私が婚約者なの!私が王妃なの!私が母なのよ!!〉
飲み込まれそうな深く暗く苦しくなるような圧迫感が纏わりつく。
視界が塞がれていくように狭まり息が浅くなっていく。
〈ーーシェ!ルシェ!意識を持て!!〉
何処かで、誰かが、何かを言っている
「レベナン嬢?」
〈ルシェ!霊との同調を落とすんじゃ!!〉
グラグラと揺れ沈んでいくのを誰かが支えてくれた。
沈む。
沈む。
落ちる。
誰かーー
ーー助けて。
「レベナン嬢!!」
その声を最後に、ぷつり意識が切れた。
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特に成果もないまま部屋へと戻ってきた。謎は謎のままで、解決への糸口すら掴めなかった。
「建国時の神殿なのは分かったが。何故反神聖結界が張られたのかは分からぬままだったな」
「そうで御座いますね。本来なら口伝でも伝えるべき事だとは思うのですが。それすらもないのは何か意図しているのを感じます」
「だろうな。父上も神殿など聞いたこともなかったようだし」
そのままその部屋でアエス王子とファルシュさんが話し込んでいる。
ヴェクステル館長とヴィーエさんは地下の出入り口で何か術みたいな事を試している。
残った私とマアディン卿は部屋の隅で遠巻きにそれを眺めていた。
人が出入りしても反神聖結界の影響は無いとヴェクステル館長は言っていた。神聖力が周りに影響出さないよう、力が漏れ出さないようにしているだけなのだと聞いた。
「アエス王子、少しよろしいですか?」
ヴェクステル館長がアエス王子に出入り口について話している。ヴィーエさんも補足したりと、何か進展のあることがあればいいなぁと、眺めていた。
「レベナン嬢、ここにはアチラの方はいるのですか?神殿のことなど知った方が居ればいいと思いまして」
私の護衛についてくれているマアディン卿が隣に来ると腰を屈めて耳打ちしてきた。突然の接近と耳にかかる息に肩がピクリと跳ねた。神殿育ちには異性との接触の機会が極端に少なくて対応に苦慮するのだ。緊張と慣れなさすぎてつっけんどんになっているのを自覚していても治せない。普通がよくわからないし。
どう反応していいか分からず口籠もりながら答えた。
「えっ?あ、ええ、神殿を知るアチラの方々とかは居ないです。結界のせいか、全く居なかったんです」
「居なくては聞けないな。地下でも神殿や結界が何のために有るのかも分からなかったですからね」
「弾かれてしまったのでしょうね。それにしても“居なくては“なんて言うなんて。斬れない方々のことをよく話題にしましたね。マアディン卿、苦手じゃなかったですか?」
「まあ、流石に慣れましたよ」
自嘲気味に笑うするマアディン卿に私も笑い返した。
「今アチラの方々が居ないので私は役に立たないですけど」
「そんなことないですよ。未知の神殿を見つけたのはレベナン嬢なのだから。自信を持ちなさい」
マアディン卿が元気のない私を励ますように声をかけてくれる。その心遣いに温かさを感じてた。
でも。
それでもーー。
四人が向こうで何か話している。
ベッドの近くのテーブルに近づくことに躊躇う私は話に参加できない。
「話しに参加しないのか」と伺われたが、首を振る私にマアディン卿も困惑顔が隠せない。
マアディン卿は私の顔を見るたびに眉を寄せる。
そんなに私の顔は変だろうか。
心配げに私を見つめるマアディン卿。
心配してくれるのはありがたいが。
でも、私はそれどころじゃない。
先程、“今アチラの方々が居ない“ と言ったが。
それは嘘だ。
本当は、ずっと居るのだ。
視てしまったその姿。
青いベッドは水色の天蓋が四方に括り付けられ綺麗なドレープが見事だ。真っ青なベッドカバーは銀糸の刺繍が施されている。
その上に座る女性。
王妃とそっくりの女性。
悲しげにベッドに座り人形を抱えている。
ハラハラと涙を流し呟く言葉。
〈私が、 ……アリアージュ・ゼス・キュイベル王妃よ………姉様。ミニエーラお姉様。忘れないで……〉
聞いてしまったその言葉。
〈あの子たちは……私の子よ!〉
ざわざわと肌が泡立ち不快感が沸き起こる。
鋭く、刺さるような感情がそのまま襲ってきた。
〈私の子!私が産んだ!!あの三つ子は!何処!!〉
ぞくりとするような寒さが全身を包み鳥肌が立った。
頭痛に顔を顰め眉間を抑えた。
〈私が婚約者なの!私が王妃なの!私が母なのよ!!〉
飲み込まれそうな深く暗く苦しくなるような圧迫感が纏わりつく。
視界が塞がれていくように狭まり息が浅くなっていく。
〈ーーシェ!ルシェ!意識を持て!!〉
何処かで、誰かが、何かを言っている
「レベナン嬢?」
〈ルシェ!霊との同調を落とすんじゃ!!〉
グラグラと揺れ沈んでいくのを誰かが支えてくれた。
沈む。
沈む。
落ちる。
誰かーー
ーー助けて。
「レベナン嬢!!」
その声を最後に、ぷつり意識が切れた。
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