42 / 55
二章
マアディン卿の独り言。(2)
しおりを挟む
彼女は王の恩人として褒賞を受けた。
緊張で震えてる姿は年相応だ。
デビュタント前に謁見を体験する機会など普通はない。全身を緊張でプルプル震わせる姿はとても初々しかった。
だが逆に、あんな仕打ちをしたことに罪悪感に終始苛まれた。
陞爵式後、彼女への仕打ちに謝罪をする機会を設けてもらった。
謝罪は受け入れて貰えたが、おざなりな対応も致し方ないと納得している。尋問した同僚や上役と彼女に対面したが、強面の厳つい顔に囲まれたら逃げ出したくもなるだろう。対応してもらえただけでもマシだと口を揃えた。
彼女からなんだか離れ難く、抱き抱え運んだことが脳裏から消えることはなかった。
もし再び会えたなら丁重にもてなそうと決意をした。
◇◆◇
彼女との再会はすぐ訪れた。
彼女は王宮内に留まり、王や王子と会談していたのが彼女の護衛となった。
彼女の護衛をするにあたり、王の呪いで意識不明となったことを知るのは極限られた人物のみ。体調を崩している程度に収めたが、真実を知る者は侍従や近衛や医師、王妃や側使えだけだ。
詳しく説明され、王の状態が分かるにつけ、彼女の功績と彼女がそこに居た偶然に感謝をした。
視ることができなければ媒介にすら辿り着けずに王は衰弱死していたのだから。
事情を知る人物に彼女の護衛をつける話があり、即座に名乗り出た。謝罪を込めて護る決意をした。
彼女との顔合わせでは出会い頭、顔を歪められた。
当然か。
あの尋問で恐怖を味わったのだから。
事情を知る人物でないと護衛できないと分かり、渋々納得したようだが、距離感があるのは否めない。終始怪訝な顔と不機嫌気味に寄せられた眉間。それでも仕事中は仕事の会話をしてもらえている分だけマシなのかと思った。
仕事として王宮内を歩くが、理解できていない者から見ればただの見学か散歩か。王子としては、「アチラの方々から情報が聴ければ御の字だ」と言っていた。
黙して語らず死んだ間諜や暗殺者の話を聴けるか。
利用できる手段を放置して置くのも勿体ないとのことだ。
王子から言われたら否とは言えない。不本意ながらも黙々と仕事をする彼女。
「今は誰でしたか?」
「え?えーと。五年ほど前に病死されたメイドさんですね。流行り病が一時期蔓延して大変でしたから。まだ仕事されてます」
確かに五年前、流感で城内でも死者が出た。王族の住む居住区に病が蔓延らぬよう神経を張り詰めた毎日だったのを覚えている。
死してもなお仕事をする志しに心の中で黙祷した。
神妙なつもりが、どうやら彼女からは顰め面に見えたのか、幽霊が苦手だと思われたようだ。
「王側近近衛でも、苦手なものがあるんですね」
「…っ、そう言うわけではないのですが。剣で斬れない相手は理解しにくいと申しますか」
別に幽霊などは怖くはない。古城や戦場にいれば視ることもある。変な気配も感じられたりもするが、こちらに被害が出なければいいのだ。感心がないとも言うが。
「こっちは、……双子は、…双子。しか言わない老婆。ここのは、最後だ。最後。しか言わない老人です。あと浮遊霊がウロウロしてるのですが、背中を斬られた衛士、首吊りした下女、全身火傷の子供、ですかね」
「う、ウム」
老婆と老人に心当たりはないが、衛士と下女は話を聞いたことがある。
衛士は伝令で走っている最中に侵入者に背中を切られたのだそうだ。だいぶ前の出来事らしいが、隊長の身内だったので話を聞いた事があった。下女は不貞を働いた相手に捨てられたのだと、下女の仲間が言っていた。数年前の話だから覚えている。
火傷の子供だが、これは知らない。霊自体が古い霊体だと言うから昔の時代なのだろう。
思い返しながら書き入れていたら、怪訝な顔を向けられた。書き込むのが遅かっただろうか。
「ここには、歌いながら踊っている御令嬢。ごめんなさい先輩と謝る女中さん。あっちは無言な兵士が直立不動のままです。あと文官服の男性が徘徊してます」
踊る令嬢は、ドレスの装飾を聞くに、古い時代だと思う。他は時代背景も状況もわからないので判別はつかない。色々な人が幽霊となって徘徊しているのだなと改めて思った。
しかし相変わらず彼女からは怪訝な顔でみられる。少しは打ち解けて欲しいと話題を振った。
「私の背後にもいるのですか?」
「お父上のようですよ。背後で冤罪だ誤捜査だと騒いでました」
父だとは。4年前に事故で亡くなり兄が家督を継ぎ、今では落ち着いたが。憑くなら家督を継いだ兄にでも憑けばいいものを。なぜ自分なのか。そんなに不甲斐ないのか。
まあ、誤捜査で冤罪を起こしたのだから不甲斐ないと見られても致し方ないかと肩を落とした。
「あの時はすみませんでした。緊急事態とはいえ怖かったでしょう?それでなくても厳めしいと言われる顔ですし。さぞかし恐ろしい思いをさせてしまいましたね」
「まあ、確かに怖かったですね。よく分からない事態で突然牢屋行きでしたから」
本当に申し訳ないと何度も頭を下げたが彼女は大丈夫だと寛容に対応する。彼女のおおらかさに救われたようなものだ。口さがない者ならどれ程罵られていたことか。憮然に頬を膨らませて不満気にする態度はまたまた幼さを感じて微笑ましく感じてしまった。
「もっと怖いものがウヨウヨしてたりしますから。マアディン近衛騎士の顔くらい普通ですよ」
「もっと怖いのがどんな物か気にはなりますが、聞かないでおきます。この顔が普通ですか?厳ついとよく言われて女性には倦厭されることが多いのですが」
実際、強面を理由に婚約を打診した相手から何度か断られた。
細身の紳士がモテるのが主流の今、騎士や身体を主体とした職種は嫌厭されがちだ。
そんな相手を普通扱いとは。彼女は普段どれほど恐ろしいものを視ているのか。
「気を追わずに自然体でいたらどうです?お父上が頭かたいとモテないぞと前に言われてましたよ」
「は?!そんなことも言われるのか?なんだか背後で見られているのは恥ずかしいものだな」
父が背後から視ているとは知らなかったとは言え、本人の預かり知らぬところでそんなことを言われていたとは。モテないのはこの職業に就いたときから諦めています。余計なお世話に反抗期の気分を思い返してしまった。
「慣れですよ」
「だが、ならばレベナン嬢も気をつけなければ。迂闊に情報を漏らすと命取りだぞ」
「出費したくなかったので。タダ働きはできませんし」
「だが、足がつくようなことするから」
こんな重要な情報を簡単にギルドに出すなど迂闊すぎる。今回は誤捜査の原因にもなったわけだが。彼女の能力を考えれば使い方でどれほど有用な情報となるか。
「そこまで頭回らなかったんですよ」
「まだまだ子供か」
「デビュタントの髪飾り買いにきてたんです。無駄な出費は抑えたいんですよ。貧乏男爵家でしたから情報引き換えで、ロハで依頼できるなら経費節約して当然です」
「しっかりしてるんだか抜けてるんだか」
「どうせデビュタントしたての子供ですよー」
口を尖らせて拗ねている姿はやはりまだデビュタントしたばかりの女の子だ。まだ16歳の神殿育ちの社交に慣れていない初々しさと幼さは眩しくも感じる。つい老婆心から進言すれは鬱陶し気に半眼を向けられた。その拗ねた姿も可愛いく見えるから、若さは眩しいもんだと顔が緩んでしまう。
さらに拗ねてふんと鼻息を立て不貞腐れている彼女の姿に自分の10年前を思い返していた。
反抗期真っ盛りだったなあ、と。
背後に父が居ると聞いて、久しぶりに墓参りでもするかと思った。
でも、背後に居るのに墓参りか?と、首を傾げたマアディン卿だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
二章はこれで終わりです。
三章からは多忙により夕方投稿のみになります。
ご読了心から感謝いまします。
ブクマしおりありがとうございます。
次章もよろしくお願いします。
緊張で震えてる姿は年相応だ。
デビュタント前に謁見を体験する機会など普通はない。全身を緊張でプルプル震わせる姿はとても初々しかった。
だが逆に、あんな仕打ちをしたことに罪悪感に終始苛まれた。
陞爵式後、彼女への仕打ちに謝罪をする機会を設けてもらった。
謝罪は受け入れて貰えたが、おざなりな対応も致し方ないと納得している。尋問した同僚や上役と彼女に対面したが、強面の厳つい顔に囲まれたら逃げ出したくもなるだろう。対応してもらえただけでもマシだと口を揃えた。
彼女からなんだか離れ難く、抱き抱え運んだことが脳裏から消えることはなかった。
もし再び会えたなら丁重にもてなそうと決意をした。
◇◆◇
彼女との再会はすぐ訪れた。
彼女は王宮内に留まり、王や王子と会談していたのが彼女の護衛となった。
彼女の護衛をするにあたり、王の呪いで意識不明となったことを知るのは極限られた人物のみ。体調を崩している程度に収めたが、真実を知る者は侍従や近衛や医師、王妃や側使えだけだ。
詳しく説明され、王の状態が分かるにつけ、彼女の功績と彼女がそこに居た偶然に感謝をした。
視ることができなければ媒介にすら辿り着けずに王は衰弱死していたのだから。
事情を知る人物に彼女の護衛をつける話があり、即座に名乗り出た。謝罪を込めて護る決意をした。
彼女との顔合わせでは出会い頭、顔を歪められた。
当然か。
あの尋問で恐怖を味わったのだから。
事情を知る人物でないと護衛できないと分かり、渋々納得したようだが、距離感があるのは否めない。終始怪訝な顔と不機嫌気味に寄せられた眉間。それでも仕事中は仕事の会話をしてもらえている分だけマシなのかと思った。
仕事として王宮内を歩くが、理解できていない者から見ればただの見学か散歩か。王子としては、「アチラの方々から情報が聴ければ御の字だ」と言っていた。
黙して語らず死んだ間諜や暗殺者の話を聴けるか。
利用できる手段を放置して置くのも勿体ないとのことだ。
王子から言われたら否とは言えない。不本意ながらも黙々と仕事をする彼女。
「今は誰でしたか?」
「え?えーと。五年ほど前に病死されたメイドさんですね。流行り病が一時期蔓延して大変でしたから。まだ仕事されてます」
確かに五年前、流感で城内でも死者が出た。王族の住む居住区に病が蔓延らぬよう神経を張り詰めた毎日だったのを覚えている。
死してもなお仕事をする志しに心の中で黙祷した。
神妙なつもりが、どうやら彼女からは顰め面に見えたのか、幽霊が苦手だと思われたようだ。
「王側近近衛でも、苦手なものがあるんですね」
「…っ、そう言うわけではないのですが。剣で斬れない相手は理解しにくいと申しますか」
別に幽霊などは怖くはない。古城や戦場にいれば視ることもある。変な気配も感じられたりもするが、こちらに被害が出なければいいのだ。感心がないとも言うが。
「こっちは、……双子は、…双子。しか言わない老婆。ここのは、最後だ。最後。しか言わない老人です。あと浮遊霊がウロウロしてるのですが、背中を斬られた衛士、首吊りした下女、全身火傷の子供、ですかね」
「う、ウム」
老婆と老人に心当たりはないが、衛士と下女は話を聞いたことがある。
衛士は伝令で走っている最中に侵入者に背中を切られたのだそうだ。だいぶ前の出来事らしいが、隊長の身内だったので話を聞いた事があった。下女は不貞を働いた相手に捨てられたのだと、下女の仲間が言っていた。数年前の話だから覚えている。
火傷の子供だが、これは知らない。霊自体が古い霊体だと言うから昔の時代なのだろう。
思い返しながら書き入れていたら、怪訝な顔を向けられた。書き込むのが遅かっただろうか。
「ここには、歌いながら踊っている御令嬢。ごめんなさい先輩と謝る女中さん。あっちは無言な兵士が直立不動のままです。あと文官服の男性が徘徊してます」
踊る令嬢は、ドレスの装飾を聞くに、古い時代だと思う。他は時代背景も状況もわからないので判別はつかない。色々な人が幽霊となって徘徊しているのだなと改めて思った。
しかし相変わらず彼女からは怪訝な顔でみられる。少しは打ち解けて欲しいと話題を振った。
「私の背後にもいるのですか?」
「お父上のようですよ。背後で冤罪だ誤捜査だと騒いでました」
父だとは。4年前に事故で亡くなり兄が家督を継ぎ、今では落ち着いたが。憑くなら家督を継いだ兄にでも憑けばいいものを。なぜ自分なのか。そんなに不甲斐ないのか。
まあ、誤捜査で冤罪を起こしたのだから不甲斐ないと見られても致し方ないかと肩を落とした。
「あの時はすみませんでした。緊急事態とはいえ怖かったでしょう?それでなくても厳めしいと言われる顔ですし。さぞかし恐ろしい思いをさせてしまいましたね」
「まあ、確かに怖かったですね。よく分からない事態で突然牢屋行きでしたから」
本当に申し訳ないと何度も頭を下げたが彼女は大丈夫だと寛容に対応する。彼女のおおらかさに救われたようなものだ。口さがない者ならどれ程罵られていたことか。憮然に頬を膨らませて不満気にする態度はまたまた幼さを感じて微笑ましく感じてしまった。
「もっと怖いものがウヨウヨしてたりしますから。マアディン近衛騎士の顔くらい普通ですよ」
「もっと怖いのがどんな物か気にはなりますが、聞かないでおきます。この顔が普通ですか?厳ついとよく言われて女性には倦厭されることが多いのですが」
実際、強面を理由に婚約を打診した相手から何度か断られた。
細身の紳士がモテるのが主流の今、騎士や身体を主体とした職種は嫌厭されがちだ。
そんな相手を普通扱いとは。彼女は普段どれほど恐ろしいものを視ているのか。
「気を追わずに自然体でいたらどうです?お父上が頭かたいとモテないぞと前に言われてましたよ」
「は?!そんなことも言われるのか?なんだか背後で見られているのは恥ずかしいものだな」
父が背後から視ているとは知らなかったとは言え、本人の預かり知らぬところでそんなことを言われていたとは。モテないのはこの職業に就いたときから諦めています。余計なお世話に反抗期の気分を思い返してしまった。
「慣れですよ」
「だが、ならばレベナン嬢も気をつけなければ。迂闊に情報を漏らすと命取りだぞ」
「出費したくなかったので。タダ働きはできませんし」
「だが、足がつくようなことするから」
こんな重要な情報を簡単にギルドに出すなど迂闊すぎる。今回は誤捜査の原因にもなったわけだが。彼女の能力を考えれば使い方でどれほど有用な情報となるか。
「そこまで頭回らなかったんですよ」
「まだまだ子供か」
「デビュタントの髪飾り買いにきてたんです。無駄な出費は抑えたいんですよ。貧乏男爵家でしたから情報引き換えで、ロハで依頼できるなら経費節約して当然です」
「しっかりしてるんだか抜けてるんだか」
「どうせデビュタントしたての子供ですよー」
口を尖らせて拗ねている姿はやはりまだデビュタントしたばかりの女の子だ。まだ16歳の神殿育ちの社交に慣れていない初々しさと幼さは眩しくも感じる。つい老婆心から進言すれは鬱陶し気に半眼を向けられた。その拗ねた姿も可愛いく見えるから、若さは眩しいもんだと顔が緩んでしまう。
さらに拗ねてふんと鼻息を立て不貞腐れている彼女の姿に自分の10年前を思い返していた。
反抗期真っ盛りだったなあ、と。
背後に父が居ると聞いて、久しぶりに墓参りでもするかと思った。
でも、背後に居るのに墓参りか?と、首を傾げたマアディン卿だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
二章はこれで終わりです。
三章からは多忙により夕方投稿のみになります。
ご読了心から感謝いまします。
ブクマしおりありがとうございます。
次章もよろしくお願いします。
0
あなたにおすすめの小説
転生皇女はフライパンで生き延びる
渡里あずま
恋愛
平民の母から生まれた皇女・クララベル。
使用人として生きてきた彼女だったが、蛮族との戦に勝利した辺境伯・ウィラードに下賜されることになった。
……だが、クララベルは五歳の時に思い出していた。
自分は家族に恵まれずに死んだ日本人で、ここはウィラードを主人公にした小説の世界だと。
そして自分は、父である皇帝の差し金でウィラードの弱みを握る為に殺され、小説冒頭で死体として登場するのだと。
「大丈夫。何回も、シミュレーションしてきたわ……絶対に、生き残る。そして本当に、辺境伯に嫁ぐわよ!」
※※※
死にかけて、辛い前世と殺されることを思い出した主人公が、生き延びて幸せになろうとする話。
※重複投稿作品※
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
安らかにお眠りください
くびのほきょう
恋愛
父母兄を馬車の事故で亡くし6歳で天涯孤独になった侯爵令嬢と、その婚約者で、母を愛しているために側室を娶らない自分の父に憧れて自分も父王のように誠実に生きたいと思っていた王子の話。
※突然残酷な描写が入ります。
※視点がコロコロ変わり分かりづらい構成です。
※小説家になろう様へも投稿しています。
笑い方を忘れた令嬢
Blue
恋愛
お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
皇帝は虐げられた身代わり妃の瞳に溺れる
えくれあ
恋愛
丞相の娘として生まれながら、蔡 重華は生まれ持った髪の色によりそれを認められず使用人のような扱いを受けて育った。
一方、母違いの妹である蔡 鈴麗は父親の愛情を一身に受け、何不自由なく育った。そんな鈴麗は、破格の待遇での皇帝への輿入れが決まる。
しかし、わがまま放題で育った鈴麗は輿入れ当日、後先を考えることなく逃げ出してしまった。困った父は、こんな時だけ重華を娘扱いし、鈴麗が見つかるまで身代わりを務めるように命じる。
皇帝である李 晧月は、後宮の妃嬪たちに全く興味を示さないことで有名だ。きっと重華にも興味は示さず、身代わりだと気づかれることなくやり過ごせると思っていたのだが……
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる