【完結】飯屋ではありません薬屋です。

たちばな樹

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「おーー!ルリちゃん!ご飯なに?」
「んーー。残り物の炒め物と煮魚、かな?」
「楽しみっす!」
「代金忘れずにね!」
「うぃ!」


代金という対価の請求は忘れない。

守銭奴ではない。
当然の請求だ。
なんでこうなったか、未だに不明だが。


騎士服を来たマッチョに見送られ私は買い物に出た。






私が王都で薬師をする兄の元へ来て半年たった。

“ もう” なのか “ まだ ” なのか。

慣れない街での生活に月日が経つのも忘れていた。



ーー私が王都に暮らし始めた理由。


兄が家を出て薬師の仕事が軌道に乗ったころ、我が家は川の氾濫で押し流された。

警備隊に所属していた父は濁流に飲まれ流され亡くなった。母も父を亡くし気落ちしたところを病で呆気なく逝ってしまった。

残された私は兄を頼り王都へ向かった。
道中大変だったが兄を見て、安堵から気が抜けて寝込んだのは思い出したくない思い出だ。




兄が住むこの家は、薬屋店舗兼自宅。
場所は王都騎士団警備隊第三詰所の隣にある。

兄の薬師の師匠からの知り合いの伝手で譲ってもらった。
年老いたため引退する薬師の店舗を兄が引き継いだのだ。

そこに私も居候させてもらっている。
もちろん居候ではなく、この家の家政婦として家事をしている。タダ飯食らいなんかじゃないからね!
掃除洗濯料理と家の中の事を任されているのだ。あとは薬の配達も手伝っている。


一階は店舗とキッチンとダイニングとお風呂。二階が居住区な物件は見た目は良いから人気物件かと思いきや。


師匠さん曰く、“ 警備隊詰所の隣は人気がなくて ”、と言っていたらしい。


そりゃそうか。
警備隊の隣と言うことは荒事と隣接しているのと同じ。

警備隊詰所に薬を届けるだけでも捕らえた無法者の怒号や罵声が響き、心臓に悪い。
罪人が脱走しかけて巻き込まれかけたこともあるらしい。
抵抗した犯罪者が暴れ店先が壊れたこともあるとも聞いた。
荒くれ者を捕らえ怪我した騎士に薬を届けたりするのだが、騎士団の面々も強面が多い。
街を護る騎士達は街の皆にも信頼されているが、厳つく近づきにくい。
そのため店に街の人も薬を求めに来るが筋骨隆々がひしめく店内に客が入りにくいのも当然のこと。

確かに、ある意味強盗や押し売り等のトラブルの不安が無い立地だ。
警備隊の隣で悪いことなどしようものなら、即刻捕縛確定だ。


だから、客層の偏りが兄の目下の悩み、らしい。



家事の他に兄の薬の調薬中に店の接客もこなしたが、ちょっと怖い。
薬を買ってくれるのは嬉しいが、デカイおっさん達で怖い。
おっさん率の高い客層に文句を言えないが、顔が怖いのだ。警備隊詰所が隣りな以上、騎士達の利用率が高いのは致し方ないが。

普通のお客さん来てーー!!!



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