【完結】飯屋ではありません薬屋です。

たちばな樹

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「ルリちゃん、街に慣れたかい?」
「はい!皆さん優しいから助けてもらってます」
「そうかい。困ったら言いなよ」
「ありがとうございます」


八百屋のおばちゃんはおまけをよくつけてくれる。来た頃慣れない私を気にかけてくれた優しいおばちゃんだ。


香草を買って、肉屋では塊肉を買って帰った。

風魔法が組まれた換気口を作動させて香草を擦り込み肉を焼き、野菜のスープに薄焼きパンを用意する。


今日もいつもと変わらない毎日。
そんな毎日が平穏に続いた。












「兄ちゃんお帰りー! あれ?み、皆さんお揃いで。いらっしゃいませ……」



街に来て少し慣れた頃、兄が配達帰りに厳ついマッチョに囲まれなが帰宅した。
それを眼前に捉え引き腰気味に語尾が上擦るのは当然だと思う。




彼等は非番の騎士達だった。

厳つい強面では騎士だか押し売りだか判別が難しいと思う、とは口にしないが。


兄は彼等に携帯用の薬について聞かれていた。

あまりにも普通で、あまりにも当たり前な相談でなんだか拍子抜けで残念な気分だったのは内緒だ。


兄が説明していると昼近くになった。


お昼ご飯の下拵えをしながら兄達の様子を伺うとまだ騎士達は長居しそうだったので、ちょっと困った。
悩んだが、仕方なく社交辞令を口にした。


「そろそろお昼ですが……。皆さんご予定は?……良かったらお昼ご一緒にいかがですか?」

「いやぁ、悪いなぁ!」
「是非ご相伴に預からせて下さい」
「ゴチになります!」
「楽しみっす!」


食い気味に即答ですよ。
社交辞令なのに。
遠慮なしですか?
礼節をわきまえるのが騎士では?
普通、『長居して申し訳ない。昼なら失礼する』じゃないのか???


胡乱気な私の視線を物ともせず喜ぶ、厳ついマッチョ達。

こんな人数分作るの面倒だ、と悪態を晒さなかった私、偉い。褒めて。
迂闊だった自分に舌打ちしながら調理したのは内緒だ。


ベーコン作るつもりだったから大量のバラ肉があるから、それを使ってソテーしたり、ポトフを作った。副菜に野菜炒めとポテトサラダ。

騎士四人分追加だ。
相当な量を作って出した。


椅子が無いから木箱に座って貰ったのは申し訳ないが。

皆、嬉しそうに食べてたから良しとしよう。

お残しは許しません!と、言う前に完食されていたのも驚いた。
仕事上、早食いになるらしい。
警備のお仕事お疲れ様です。


騎士四人分の食事は痛かった。
保存用に買ったバラ肉が一食で消えた。


もう来るな。

と、言うか、飯は禁句だ。
奴らの前では言わないでおこう。
我が家の財布事情に響く!!


そう心に誓った。




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