【完結】飯屋ではありません薬屋です。

たちばな樹

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「おい!兄ちゃん、配達帰りかい?」
「俺ら暇なんだ」


薬師を見つけたセグルとライが先に仕掛けた。

本来なら警戒されないようにジャンゴかオリュザが話しかける予定だったのだが、二人は食欲に負けたようだ。


「ちょっと兄ちゃんの所にお邪魔していいかい?」
「お兄さんとゆっくりお話したいのですが?」



オリュザが和ませるような声色で薬師に声をかけそれに続いてジャンゴが落ち着いて話しかけた。

だが、警戒されたのか怪訝な顔で一睨みされた。
やはり脳筋セグルと短気のライは気にも留めず薬師の肩に腕を組み、半ば脅しのように薬師を連れ立ち薬屋に向かった。ジャンゴが眉を寄せてオリュザが困惑を浮かべている。二人が我関せずは相変わらずか、と。






「兄ちゃんお帰りー! あれ?み、皆さんお揃いで。いらっしゃいませ……」


店に入ると妹ちゃんが出迎えてくれた。
薬師に代わり店番していたのだから当然だが。
そして、それこそが目的なのだ。確実に居てもらわなければならない目標人物なのだから。

この妹ちゃんが美味い匂いの根源!!とばかりに四人の視線が集中した。



ちまっと座っている妹ちゃんは少し怯えながら上目遣いで我々を見ている。座っているから当然だが。
薬師が帰って来たことで妹ちゃんはお役目御免とばかりに奥に引っ込んでしまった。
会話の流れで飯の話題にしようと思っていた四人は初っ端から計画の頓挫に内心慌てていた。

いや、四人は、と言うのは違うだろうか。
脳筋セグルと短気なライは、ジャンゴとオルジュの二人に後は任せた、とばかりに会話に入らない。



ジャンゴとオルジュは携帯用の薬を薬師に聞いた。

遠征に行かないこの部署ではあまり利用する機会がなく相談するには無難な内容だ。怪しまれることなく相談できる、と言う手筈だったのを威嚇しながら脳筋と短気が絡んでいけば胡散臭く思われるのも当然だ。

相談内容が無難すぎて薬師も拍子抜けしているのが伺え一同、ジャンゴとオルジュは安堵した。



昼飯近くまでなんとか会話を引っ張っていると、妹ちゃんが顔を出し昼飯時間を伺っている。


作戦通り!と皆が歓喜したのは当然だ。



「そろそろお昼ですが……。皆さんご予定は?……良かったらお昼ご一緒にいかがですか?」


渡りに船な言葉に思わず即答する四人。


「いやぁ、悪いなぁ!」
「ゴチになる!」

脳筋と短気は身を乗り出した。


「是非ご相伴に預からせて下さい」
「楽しみっす!」


やはり楽しみなため食い気味に返答してしまうのは仕方ないとジャンゴとオルジュは苦笑した。

だが妹ちゃんの分かりやすい社交辞令の笑みが半眼の胡乱気になったのが申し訳なかった、と再び二人は顔を見合わせ肩を竦めた。


傍で兄である薬師が呆れているがこの際気にしないでいた二人だった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この時はまだ名前紹介されていないので、妹ちゃんとなってます。
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