【完結】飯屋ではありません薬屋です。

たちばな樹

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1 ここは薬屋。飯屋じゃない。《妹視点》

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四人組が来た後、翌日突如の来客。



警備隊の隊長と副長の来店に兄妹して驚いた。



「いや、すまんなぁ」
「部下が失礼をいたしました」



隊長と副長がまず謝罪を口にした。



「いえ。隊長さんと副長さんの所為ではありませんから」
「部下の不始末は上司の責任ですから」
「ルリちゃんには無理させたな」



うん。いい上司だ。
流石警備隊を仕切る二人。
突如料理を食べさせることになった私に対し謝罪に来てくれた。

しかもお詫びの品として肉と野菜を差し入れてくれたのだ。
別に詫びの品に釣られてはいない。断じて。


図々しい四人組には食べられた分の食材の買い出しに行かせたが。
コレはコレ、ソレはソレ。
貰える物は貰っとく。
ほくほくと貰い物に頬を緩めた。





次の日、四人組が勝手に設定したご相伴の日とやらが来て、良く分かった。


警備隊侮り難し、と。
食べに来たのは四人組、では無く。



ーー隊長と副長だったのだ。



あの肉と野菜は、自分達の分の食材を前渡ししたわけかぁーーー!!




根菜の煮物と野菜ソテーと唐揚げ、ローストビーフに麦芽パンを焼いて出した。

デザートは紅茶のシフォンケーキ。
私が食べたかったから作った。



作る料理もデザートも皆の好みを聞くつもりはない!
私の気分と食べたいものしか作らない!とキッパリ宣言済みだ。
だから気ままに作る。
騎士向けに肉多めになんてしない。してやらない。


ちなみに所在無さげに身を縮めて気配を消すように食事をする兄。

厳ついのと美丈夫を前に萎縮するのも分かるが、家主だろ!しっかりしろ!と言いたい。

確かに隊長さんは盗賊のような風貌だ。

夜、道端で会ったら悲鳴をあげて逃げる。確実に怖いから。

逆に、副長は見惚れて動けなくなる美貌だ。


ああ、アレか。
副長に見惚れて動きを止めたところを隊長が襲うのか。



「襲う、は辞めろ。警備隊だぞ。俺ら」



不満げに主張する隊長さんだが、顔怖いから。
近づけないで、と言えば不貞腐る。


退治するよりも、される側に見えます、と言えば、副長にクスクス笑われた。


うん。
その副長の顔は足留め確定。



頬を緩め微笑む副長の美貌ダダ漏れに蓋をしたいところです。
鍋蓋どこだ?

美貌を口にすれば副長に訴える視線を投げられた。


「その話題から離れて下さい」


困り顔の副長に、くつくつ笑う隊長。


どう投げ返せばいいか悩むが、まずは隊長。


その笑い、悪どい。


リルちゃんには敵わないなぁ、と二人が笑った。





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