【完結】飯屋ではありません薬屋です。

たちばな樹

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隊長は盗賊顔の強面だ。安心の強面。強面が安心と言うのも変だが。
絶対に妹の好みじゃないから安心なのだ。

副長は、会わせたくなかったのが本音だ。
悪い人では無い。隊長を補佐し冷静で沈着。浮いた話は聞かない身持ちの硬さは信用できる。
だが、庶子とはいえ貴族の血を引くその美貌は兄として会わせたくないと、やきもきした。

が、妹は違った。


ーー三十過ぎれば皆おっさん……。



ピシリと笑みが止まった副長を息を止めて見つめた。


つ、呟き聞こえているから!!


えっと、うん。

安心の妹、と言っておこう。



父が警備隊に所属していたから騎士には見慣れた妹。
強面の厳ついのから見惚れる美丈夫まで。

警備隊に貴族はそれなりに居る。貴族の嫡男以外は領主のところで文官勤めか騎士になる。平民の下に付く職はプライドが許さないからだ。


父に連れられ警備隊に行けば妹は騎士達に可愛がられた。
厳つい野郎共は家族や身内以外、顔が怖くて近づく者が少ないから人恋しくなるらしい。
物怖じせずキャッキャッと笑いながら肩車されたり腕にぶら下がる妹の豪胆は父譲りかと、ちょっと羨ましい。





幼い頃、妹が憧れた騎士がいた。

警備隊で活躍し、勇ましく頼もしい若者に恋するのはよく分かる。

だが、妹はまだ歳一桁の幼な子だった。

妹七歳、若者は二十二歳。

おませなのにも程がある。

若者には妹として見られるのは当然。
相手にされず初恋は気が付いてもらえなかった。
そして若者は街娘と恋をして結婚してしまった。

幼心に初恋の失恋でショックを受けて寝込んだ妹。
泣きじゃくる妹を慰めたのはいい思い出だ、が。

この話を話すと激辛の刑だ。

心にしまっておかないと我が身が危うい。

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