【完結】飯屋ではありません薬屋です。

たちばな樹

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私が王都に引っ越して来て半年以上過ぎた。

両親が相次いで儚くなり、身内は兄だけとなった。なので王都で薬屋を営む薬師の兄を頼り引っ越して来たワケだが。

初日に熱を出した以外は概ね元気にやっている。

兄を見て気が抜けて泣き噦ったのは秘密だ。
兄が知ってるじゃん、とか言うな!
いい歳して兄に抱っこされて泣き噦って熱出したなんて恥ずかし過ぎるでしょーーー!!!
私の黒歴史をバラすヤツは激辛ペッパーまみれの刑に処すからね!!!



日々の生活にも慣れた。
憂鬱なヤツラが押しかけて来るが。


昨日も来たが食材持参だったから許してやろう。






「ルリちゃん!業者が来たから香辛料揃ったよ!寄ってて!」


香辛料を取り扱うおばちゃんに声をかけられ店に足を向けた。


「あ。じゃあ幾つか欲しいのあるから見せてください。」
「新入荷はそこの棚だよ。」
「流石王都。品揃え違いますよねー。ウチの方とは大違い!」
「あー。北の方の出だっけ?」
「はい。北の国境から少し離れてはいますが北寄りです。」



珍しいのや補充分を見ているとおばちゃんが近づいて来て覗くように言ってきた。



「あ、セグルさんは辛いの好きだからタバスコはどうだい?ジャンゴさんやオリュザさんはハーブの香草が好きだからこっちはどうだい?」



おばちゃん人の好さそうな笑みを浮かべていますが。


「ヤツラの好みなんて知りたく無いですわ。知っても知りません。関係ありません」
「そう言わない!お隣さんなんだから仲良くしなさいな!」



えぇー。だいぶ大所帯なお隣さんなんですが?迷惑してますが?
腹へったら飯屋に行け!
ウチに来んな!!
つーか。なんでおばちゃん知ってるの?



「商店街の情報網を侮っちゃいけないよ!」


おおらかに笑うおばちゃんが一番侮れないと思うよ。




食い尽くされた食材の買い出しに何往復かこなす。
マジ重い。面倒ー!!
クソー!!アイツラのせいだ!!
アイツラに手数料上乗せしてやる!!

守銭奴じゃないからな!!
相応な対価だぁぁああ!!!


最後の買い出に人参を買い帰路に向かう。
今日は買い出しで一日が終わりそうだ。

疲れたー!
腕が痛い!

クソーー!アイツラの飯に激辛仕込んでやる!
あ。一人辛いの好きか。腹いせにならないか。
チッ!

理不尽に腹の収まらない気分をズカズカと歩きながら発散させていた。


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