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ウチは薬屋ですから!《妹視点》
しおりを挟む熱した油が、じゅわわわわと音を立て、白い衣がきつね色に変わる。
小麦粉に膨らし粉と卵と牛乳と砂糖を加えてまぜて、スプーンで掬い一口大にして油で揚げていく。
カラリと揚げてお皿によそい砂糖かける。
一口つまんで、ハフハフ味わう。
ひとくちドーナツ!!!
甘ーい!
カリふわでウマーー!
膨らし粉絶妙ーー!!
私上手いーー!!
自画自賛で、再び揚げる。
ドーナツ揚げて砂糖かけ。
テーブルの上に積み上げたドーナツの山。
揚げて砂糖かけて、一口つまんで、また揚げて。
揚げて砂糖かけて、一口………、
ん?
山が増えない??
私そんなにつまんでないよね?
不思議に思いながら、揚げて……いる途中で振り向くと。
テーブルの下からニョッキと出てきた大きな手。
屈強な体躯を縮めテーブルの下に隠れていたのは、ジャンゴだった。
でかい図体でなにしてるんですか!
「気配を消したのに……甘いのに負けた……」
ガックリ項垂れるジャンゴに眉を釣り上げ鬼の形相で詰め寄った。
勝手になに食べているんですかーー!!!
「ドーナツの誘惑に……」
えへ?とばかりにバツが悪そうに頭を掻いていますが、ねぇ。
怖い顔でなに言っても迫力しか残りません!
不法侵入だろぉがぁああ!
前の薬師の人はキッチンで薬湯を作り来店者に振舞っていたこともあるらしい。
前のことを知る人は、勝手知ったる我が家のキッチン、らしい。
確かに、店とキッチンが扉一枚だ。
キッチンに簡単に出入り出来る。
うん。薬屋スペースを通過して来たわけだ。
うん。
兄を〆よう。
勝手に通過させんなぁああ!!!
兄には、激辛の刑を処す!!!
兄に激辛の刑にしたのに、匂いに釣られセグルが来たのは予想外だった。
チッ!兄の激辛、代わりに食べたな!!
美味い!とか言ってんな!
つーか、兄よ!
救世主!とか言ってウチに入れるなぁあああ!!!
今日も今日とて匂いに釣られ、何かが釣れる。
いや!ウチは薬屋だからね!!!!
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