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第28話 俺の友達
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「この船にゃ、小舟なんてないぜ」
「小舟があったとしても用意している時間がありません」
近くにいた船員が心配そうに声をかけてくれたが、問題ないと返す。
いそいそと持ってきたリュックを開け、真っ先に詰め込んだとあるアイテムを掴む。
お、あったあった。
取り出したるは手のひらに収まるくらいの水晶玉である。中に鉱物片があり、なかなかに美しい逸品だ。同一のアイテムでも一つ一つ模様が違っていて、置物としても楽しめる一品だ。俺は中に金が入っているのが好みだな。
「ペット召喚クリスタルー」
「お、お急ぎじゃなかったんですか……」
「いや、アイテムを取り出した時の様式美ってやつで」
「そ、そうですか……」
水晶玉を掲げアイテム名を得意気に宣言したら、アーニーから即突っ込みを受けてしまった。
確かに彼女の言う通り今は緊急事態だ。遊んでいる暇はない。未だにゲーム感覚だった自分に反省である。
件の水晶玉「ペット召喚クリスタル」はその名の通りのアイテムで、ホームの厩舎にいるペットをこの場に呼び寄せることができるアイテムだ。
これはこれで便利なアイテムではあるのだけど、ゲートの魔法を使うことができれば代替可能である。
使い方は……握りしめて念じるだけだ。
「……あ、メニューは開かないのか」
ゲームの時は厩舎のペット一覧がメニューに表示されたのだが、出てこない。インベントリーに触れた時以外でメニューが出現しないんだった。
一抹の不安がよぎるが、ペットを思い浮かべ「発動」と念じる。
「もきゅー」
水晶玉が割れ、ぼふんと可愛い鳴き声と共にペットが出現した。
その姿はトドそっくりである。見た目はトドなのだけど、大きさはトドより一回り以上大きい。ぼてーっと甲板に寝そべっており、みじろき一つしないそのたたずまいは威風堂々といったところ。
「鳴き声が可愛いですけど……」
「こう、ぶさ可愛いというか、そんなんだろ」
渋い顔をするアーニーの肩をポンと叩く。
「んじゃ、ちょっくらタコ足をトレインしてくるわ」
「わたしも行きます!」
「トドは気に入らないんじゃないの?」
「いえ、鳴き声が可愛くないだけで、あの子が苦手なわけじゃないです!」
そう言ってトドの背中を撫でるアーニー。
「よし、行くぞ、トド二号」
「もきゅううう」
トドにまたがり、ぺしぺしと背中を叩くとぴょーんと甲板から飛び上がり、ドボーンと着水する。
目指すはタコ足だぜ。
「まずはタコ足の気を引……うお」
「三本に増えましたー」
トドが速度をあげ、船から見て右手からタコ足の元へと泳ぐ。
俺たちが沈まぬよう背を海面に出したままでこの速度、素晴らしい。
さて、どうやってタコ足の気を引くかな。
「こいつで行くか」
ここで登場したるは第二のアイテムである。それはソフトボールくらいの真っ黒な球体だった。
ふんぬと魔力を込めると、球体に3の数字が浮かび上がり、すぐに2になる。
「よっと、アーニー、耳を塞げー」
「はいいい」
アーニーは犬耳をペタンとさせ、その上から手を乗せ、衝撃に備える。トドはまあ、多分大丈夫手……ゲームと同じならね。というのは、プレイヤーのペットはプレイヤーの攻撃手段に対し影響を受けない(フレンドリーファイアしない)。
真っ黒い球体をタコ足に向かって投げ、ちょうどタコ足の真上で数字が0になった。
ドカアアアアアアアン。
物凄い音と煙が出るも、衝撃は一切ない。こいつは炸裂玉というもので、物凄い音がでるが殺傷力はゼロで、相手によっては音で気絶させたりすることもできる。これなら海水中にも響き渡るはず。
ドパアアアアアン。
何かが海面から飛び出してきた! しかし、予想された巨大タコではなく、飛び出してきたのは人間サイズだ。
上半身は人間そっくりで、濃い紫色のウェーブのかかった長い髪をした美女、そして下半身はタコ足になっていた。
先ほどまで海上に見えていたタコ足と比べると随分と小さくなっている。いや、別物か。
となれば、本命のタコ足はまだ海中に? 音にビックリして逃げて行ってくれていたのなら儲けものなのだけど。
「う、うう。炸裂玉ならそうと言ってくださいいい」
「耳を塞げと一応……」
「トド二号さんは平気なのですか?」
「もきゅう」
トド二号はゲームと同じで平気だった。余談であるが、ペット以外にフレンドリーファイアしない仕様は適用されない。プレイヤー同士はパーティを組んでいても衝撃を受けてしまうんだよな、これが。
「あ、あの人、気絶して浮かんでますけど、どうします?」
「ん、あ、人の上半身にタコ足の下半身はスキュラだっけ」
確かに彼女は気絶してぷかぷか浮いている。気が付いたら怒り心頭で襲い掛かってくるかもなので、起き上がる前に対処しなきゃだな。
スキュラよりタコ足の方が気になる。
「はいー、お名前が青色で表示されているので、敵対的ではないかと思います」
「マジか、すぐ助ける」
ゲーム時代と変わらずコマンドを使うことができるアーニーがいてくれて助かった。スキュラの彼女は表示名が青色……つまり、友好的なNPCと同じ表示色である。
「あ、助ける前に一つ確認したい。アーニー、他にモンスターが俯瞰マップに映ってない?」
「映ってますが、どんどん離れていってます」
アーニー様様だよ。コマンドを使うことができるなら、俯瞰マップも表示できる。以前彼女自身も見ることができるって言ってたものな。
「トド二号、そのままステイで。魔法陣よ、力を示せ。テレポート」
テレポートの発動直後、一瞬でぷかぷか浮かんでいるスキュラの前に転移する。
彼女を抱きしめ、再びテレポートでトドの上へ。
「もきゅうう」
「あ、三人は重いか」
「わたしが移動します。魔法陣よ、力を示せ。テレポート」
今度はアーニーがテレポートで船のマストの柱へ転移し、くるくると回転しつつ甲板に着地する。
「よっし、トド二号、船に戻ろう」
「もきゅ」
トド二号は船へと向かっていく。
「小舟があったとしても用意している時間がありません」
近くにいた船員が心配そうに声をかけてくれたが、問題ないと返す。
いそいそと持ってきたリュックを開け、真っ先に詰め込んだとあるアイテムを掴む。
お、あったあった。
取り出したるは手のひらに収まるくらいの水晶玉である。中に鉱物片があり、なかなかに美しい逸品だ。同一のアイテムでも一つ一つ模様が違っていて、置物としても楽しめる一品だ。俺は中に金が入っているのが好みだな。
「ペット召喚クリスタルー」
「お、お急ぎじゃなかったんですか……」
「いや、アイテムを取り出した時の様式美ってやつで」
「そ、そうですか……」
水晶玉を掲げアイテム名を得意気に宣言したら、アーニーから即突っ込みを受けてしまった。
確かに彼女の言う通り今は緊急事態だ。遊んでいる暇はない。未だにゲーム感覚だった自分に反省である。
件の水晶玉「ペット召喚クリスタル」はその名の通りのアイテムで、ホームの厩舎にいるペットをこの場に呼び寄せることができるアイテムだ。
これはこれで便利なアイテムではあるのだけど、ゲートの魔法を使うことができれば代替可能である。
使い方は……握りしめて念じるだけだ。
「……あ、メニューは開かないのか」
ゲームの時は厩舎のペット一覧がメニューに表示されたのだが、出てこない。インベントリーに触れた時以外でメニューが出現しないんだった。
一抹の不安がよぎるが、ペットを思い浮かべ「発動」と念じる。
「もきゅー」
水晶玉が割れ、ぼふんと可愛い鳴き声と共にペットが出現した。
その姿はトドそっくりである。見た目はトドなのだけど、大きさはトドより一回り以上大きい。ぼてーっと甲板に寝そべっており、みじろき一つしないそのたたずまいは威風堂々といったところ。
「鳴き声が可愛いですけど……」
「こう、ぶさ可愛いというか、そんなんだろ」
渋い顔をするアーニーの肩をポンと叩く。
「んじゃ、ちょっくらタコ足をトレインしてくるわ」
「わたしも行きます!」
「トドは気に入らないんじゃないの?」
「いえ、鳴き声が可愛くないだけで、あの子が苦手なわけじゃないです!」
そう言ってトドの背中を撫でるアーニー。
「よし、行くぞ、トド二号」
「もきゅううう」
トドにまたがり、ぺしぺしと背中を叩くとぴょーんと甲板から飛び上がり、ドボーンと着水する。
目指すはタコ足だぜ。
「まずはタコ足の気を引……うお」
「三本に増えましたー」
トドが速度をあげ、船から見て右手からタコ足の元へと泳ぐ。
俺たちが沈まぬよう背を海面に出したままでこの速度、素晴らしい。
さて、どうやってタコ足の気を引くかな。
「こいつで行くか」
ここで登場したるは第二のアイテムである。それはソフトボールくらいの真っ黒な球体だった。
ふんぬと魔力を込めると、球体に3の数字が浮かび上がり、すぐに2になる。
「よっと、アーニー、耳を塞げー」
「はいいい」
アーニーは犬耳をペタンとさせ、その上から手を乗せ、衝撃に備える。トドはまあ、多分大丈夫手……ゲームと同じならね。というのは、プレイヤーのペットはプレイヤーの攻撃手段に対し影響を受けない(フレンドリーファイアしない)。
真っ黒い球体をタコ足に向かって投げ、ちょうどタコ足の真上で数字が0になった。
ドカアアアアアアアン。
物凄い音と煙が出るも、衝撃は一切ない。こいつは炸裂玉というもので、物凄い音がでるが殺傷力はゼロで、相手によっては音で気絶させたりすることもできる。これなら海水中にも響き渡るはず。
ドパアアアアアン。
何かが海面から飛び出してきた! しかし、予想された巨大タコではなく、飛び出してきたのは人間サイズだ。
上半身は人間そっくりで、濃い紫色のウェーブのかかった長い髪をした美女、そして下半身はタコ足になっていた。
先ほどまで海上に見えていたタコ足と比べると随分と小さくなっている。いや、別物か。
となれば、本命のタコ足はまだ海中に? 音にビックリして逃げて行ってくれていたのなら儲けものなのだけど。
「う、うう。炸裂玉ならそうと言ってくださいいい」
「耳を塞げと一応……」
「トド二号さんは平気なのですか?」
「もきゅう」
トド二号はゲームと同じで平気だった。余談であるが、ペット以外にフレンドリーファイアしない仕様は適用されない。プレイヤー同士はパーティを組んでいても衝撃を受けてしまうんだよな、これが。
「あ、あの人、気絶して浮かんでますけど、どうします?」
「ん、あ、人の上半身にタコ足の下半身はスキュラだっけ」
確かに彼女は気絶してぷかぷか浮いている。気が付いたら怒り心頭で襲い掛かってくるかもなので、起き上がる前に対処しなきゃだな。
スキュラよりタコ足の方が気になる。
「はいー、お名前が青色で表示されているので、敵対的ではないかと思います」
「マジか、すぐ助ける」
ゲーム時代と変わらずコマンドを使うことができるアーニーがいてくれて助かった。スキュラの彼女は表示名が青色……つまり、友好的なNPCと同じ表示色である。
「あ、助ける前に一つ確認したい。アーニー、他にモンスターが俯瞰マップに映ってない?」
「映ってますが、どんどん離れていってます」
アーニー様様だよ。コマンドを使うことができるなら、俯瞰マップも表示できる。以前彼女自身も見ることができるって言ってたものな。
「トド二号、そのままステイで。魔法陣よ、力を示せ。テレポート」
テレポートの発動直後、一瞬でぷかぷか浮かんでいるスキュラの前に転移する。
彼女を抱きしめ、再びテレポートでトドの上へ。
「もきゅうう」
「あ、三人は重いか」
「わたしが移動します。魔法陣よ、力を示せ。テレポート」
今度はアーニーがテレポートで船のマストの柱へ転移し、くるくると回転しつつ甲板に着地する。
「よっし、トド二号、船に戻ろう」
「もきゅ」
トド二号は船へと向かっていく。
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