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破滅のはじまり
「いい加減にしろ、セシルっ!」
そんな怒鳴り声をすぐ傍で聞いて、私は目覚めた。
びっくりして見ると、そこには夫になるはずの美男子──アロイ王子が険しい表情で私を見つめていた。
ってここは? どこ? あれ、舞踏会?
視線を集めてくる周囲の人たちの格好や室内の様子を見て、私は見当をつける。でも、舞踏会なんて予定にあったかしら?
私は確か──……あれ? 何をしていたんだっけ? まずい。かなりの間の記憶が欠落してるみたいだ。
いや、それもそうだけど、どうして私は今、アロイ王子に怒鳴られたの? 彼は穏やかな性格で、眉目秀麗の極みだ。
なのに、どうして?
「アロイ、様?」
たどたどしい声掛けになってしまった。でも仕方がない。
「もう無理だ。もう限界だよ、セシル。君はどうしてそこまでしてシェリーを虐めるんだ。しかもこんな場で」
「シェリー……?」
名前を聞かされて、私は記憶を辿る。
シェリー。
見やると、眼下には演技臭くめそめそと泣くドレス姿の少女。ああ、そうだ。シェリー。彼女だ。
あれ、どうして舞踏会に?
彼女は確か下級貴族だ。領地の統治に失敗して家を取り潰されてしまい、私の屋敷にやってきた娘。
使用人とするには忍びなく、待遇の良い侍女として私の傍に置くようになったのよね。
でも、彼女には貴族としての教養がなくて、家を復興させるにしても社交界に出られるレベルじゃなかった。だから、家庭教師として私が色々と教えていたはずなんだけど、まだ舞踏会については教えていないはず……なのに?
「シェリー? え、どうして……」
「君がやったんだ。何を言っている」
「私が?」
「さっきの言葉も忘れたとは言わせない」
忘れたも何も、待って。何を言ったのかさえ知らないんだけど!?
ますます困惑していると、アロイは手袋をはずすと、自分の指につけていた婚約指輪を外した。
「もう限界だ。君との婚約は、たった今、この場を持って破棄する!」
「アロイ様!?」
「そしてシェリーを新たな伴侶候補として定める!」
ざわり、と、声があがった。
それは取り潰されたシェリーの家を復興させることでもある。
え、いや、でも、待って。本当に待って!?
「ちょ、ちょっとそれはどういうことですのアロイ様!」
「口を慎め。頭が高い!」
「アロイ様!」
事態が急展開すぎる!
せめて事情を説明してもらおうと声をはるが、アロイ様には届かない。
向けられたのは、失望と侮蔑の目線。
胸がすきあがるような、心臓が掴まれたかのような違和感。
「不敬である。今までのシェリーへの悪行も含め、極めて不敬である! 即刻引っ捕らえよ! これだけ証人がいれば裁判は不要。明後日には処刑とする!」
「はぁ!?」
「セシル。次の人生ではまっとうに生きて見せよ」
──な、ななな!?
なんで、いきなり処刑!?
あまりのことに全身が硬直する。その間に騎士団がやってきて、私は粗っぽく拘束されてしまった。腕の関節が外れてしまって泣き叫んでしまった。
そして汚ならしい地下牢に放り投げられた。なんたる屈辱!
悔しくて涙が止まらなかった。
パジャマはもちろん、本当に翌朝、処刑台に連行された。
そんな、どうして?
ごわごわして皮膚に優しくない、薄汚れた服を纏わされ、手枷と足枷をはめられ、一晩でずたずたになった髪と顔のまま、私は民衆の前に立たされる。
とたん、浴びせられるのは罵声。
助けて。
誰か、助けて。
そう求めても、両親は呆れ蔑んだ目でしか見てこない。アロイ様も。そして私が座っているはずの席には、シェリーがいた。
とてもキレイなドレスを身にまとっていて、私が教えたままの優雅な仕草で。
笑っている。いや、嗤っている。
どうして、なぜ。
睨み付けると、シェリーが小さく口を開いた。「おあいにく様」──と。
かっ、と血が昇る。
直後。私の視界が真っ黒に染まる。ぶつんと、皮膚の感覚も、嗅覚も消える。
ああ、処刑されたんだ……──
と、思った時だった。
視界がいきなり切り替わる。
上下左右もない、真っ白な空間に、私は立っていた。
「……ここ、は?」
『ここは魂の狭間。君は不幸にもシェリーという悪女によって極悪令嬢に仕立て上げられ、そして命を奪われた』
「えっと、どちら様?」
たずねると、目の前の白が歪む。現れたのは、小さい小さい天使様だった。
手のひらに収まるくらいのサイズだ。
『はじめまして、かな? 僕は君の善意によって助けられた命の集合体だよ』
「私の、善意……?」
『例えば君が大事に面倒を見続けた犬や猫。もしくは、無益な殺生だと逃がしてあげた鳥や虫。そういったものの集合体なんだ。僕たちは小さいけれど、あまりにも不憫だから、なんとかしようってなって集まったんだよ』
「そう、だったのね。でも、処刑されてしまったわ」
なんだか信じられないけど、疑いようがないのも事実だ。なんというか、そんな感情がわかない、というか。
だからなのか、私はフラットに自分が死んだことを告げた。
天使様も大きく頷く。
『そうだね。でも、時間を巻き戻して、やり直すことはできるよ』
「え?」
『さっきも言ったね。君はシェリーによって極悪令嬢に仕立て上げられた。それは——……っと、ごめん。ゆっくり説明してあげたいんだけど、時間みたいだ』
「え。時間って?」
すごく気になるところで話を打ち切られそうになって、私はまた戸惑う。
見る間に、天使様の姿が薄くなっていく。
『とりあえず、時間を巻き戻すから。なんとかして危機を乗り越えて。落ち着いたころ、また姿を見せるから』
「な、なんとかって、すごいアバウトじゃない?」
『ちなみに僕の力の限界で、君が決定的発言をぶちかます一〇秒前までしか戻せないんだ』
「ねぇ待ってそれほとんど詰んでる状態じゃないかしら」
『大丈夫。君ならなんとかできると思ってるから。ガッツだよ』
「すごい精神論持ち出された!?」
いやいやいくらなんでも一〇秒前って! しかも私はそれまで自分が何をしていたのかまるで知らないのだ。無理無茶難題すぎる!
けど、ここでゴネてる場合でもないのだろう。
私は慌てる自分を律して深呼吸する。
そうだ。
これはチャンスなんだ。
どうしてシェリーが私を騙して悪女に仕立て上げたか、考えるのは後。教えてもらうのも後。今は、この難局を乗り切るのみ。
私はそう言い聞かせ、心を落ち着かせる。
そして────世界は一変した。
そんな怒鳴り声をすぐ傍で聞いて、私は目覚めた。
びっくりして見ると、そこには夫になるはずの美男子──アロイ王子が険しい表情で私を見つめていた。
ってここは? どこ? あれ、舞踏会?
視線を集めてくる周囲の人たちの格好や室内の様子を見て、私は見当をつける。でも、舞踏会なんて予定にあったかしら?
私は確か──……あれ? 何をしていたんだっけ? まずい。かなりの間の記憶が欠落してるみたいだ。
いや、それもそうだけど、どうして私は今、アロイ王子に怒鳴られたの? 彼は穏やかな性格で、眉目秀麗の極みだ。
なのに、どうして?
「アロイ、様?」
たどたどしい声掛けになってしまった。でも仕方がない。
「もう無理だ。もう限界だよ、セシル。君はどうしてそこまでしてシェリーを虐めるんだ。しかもこんな場で」
「シェリー……?」
名前を聞かされて、私は記憶を辿る。
シェリー。
見やると、眼下には演技臭くめそめそと泣くドレス姿の少女。ああ、そうだ。シェリー。彼女だ。
あれ、どうして舞踏会に?
彼女は確か下級貴族だ。領地の統治に失敗して家を取り潰されてしまい、私の屋敷にやってきた娘。
使用人とするには忍びなく、待遇の良い侍女として私の傍に置くようになったのよね。
でも、彼女には貴族としての教養がなくて、家を復興させるにしても社交界に出られるレベルじゃなかった。だから、家庭教師として私が色々と教えていたはずなんだけど、まだ舞踏会については教えていないはず……なのに?
「シェリー? え、どうして……」
「君がやったんだ。何を言っている」
「私が?」
「さっきの言葉も忘れたとは言わせない」
忘れたも何も、待って。何を言ったのかさえ知らないんだけど!?
ますます困惑していると、アロイは手袋をはずすと、自分の指につけていた婚約指輪を外した。
「もう限界だ。君との婚約は、たった今、この場を持って破棄する!」
「アロイ様!?」
「そしてシェリーを新たな伴侶候補として定める!」
ざわり、と、声があがった。
それは取り潰されたシェリーの家を復興させることでもある。
え、いや、でも、待って。本当に待って!?
「ちょ、ちょっとそれはどういうことですのアロイ様!」
「口を慎め。頭が高い!」
「アロイ様!」
事態が急展開すぎる!
せめて事情を説明してもらおうと声をはるが、アロイ様には届かない。
向けられたのは、失望と侮蔑の目線。
胸がすきあがるような、心臓が掴まれたかのような違和感。
「不敬である。今までのシェリーへの悪行も含め、極めて不敬である! 即刻引っ捕らえよ! これだけ証人がいれば裁判は不要。明後日には処刑とする!」
「はぁ!?」
「セシル。次の人生ではまっとうに生きて見せよ」
──な、ななな!?
なんで、いきなり処刑!?
あまりのことに全身が硬直する。その間に騎士団がやってきて、私は粗っぽく拘束されてしまった。腕の関節が外れてしまって泣き叫んでしまった。
そして汚ならしい地下牢に放り投げられた。なんたる屈辱!
悔しくて涙が止まらなかった。
パジャマはもちろん、本当に翌朝、処刑台に連行された。
そんな、どうして?
ごわごわして皮膚に優しくない、薄汚れた服を纏わされ、手枷と足枷をはめられ、一晩でずたずたになった髪と顔のまま、私は民衆の前に立たされる。
とたん、浴びせられるのは罵声。
助けて。
誰か、助けて。
そう求めても、両親は呆れ蔑んだ目でしか見てこない。アロイ様も。そして私が座っているはずの席には、シェリーがいた。
とてもキレイなドレスを身にまとっていて、私が教えたままの優雅な仕草で。
笑っている。いや、嗤っている。
どうして、なぜ。
睨み付けると、シェリーが小さく口を開いた。「おあいにく様」──と。
かっ、と血が昇る。
直後。私の視界が真っ黒に染まる。ぶつんと、皮膚の感覚も、嗅覚も消える。
ああ、処刑されたんだ……──
と、思った時だった。
視界がいきなり切り替わる。
上下左右もない、真っ白な空間に、私は立っていた。
「……ここ、は?」
『ここは魂の狭間。君は不幸にもシェリーという悪女によって極悪令嬢に仕立て上げられ、そして命を奪われた』
「えっと、どちら様?」
たずねると、目の前の白が歪む。現れたのは、小さい小さい天使様だった。
手のひらに収まるくらいのサイズだ。
『はじめまして、かな? 僕は君の善意によって助けられた命の集合体だよ』
「私の、善意……?」
『例えば君が大事に面倒を見続けた犬や猫。もしくは、無益な殺生だと逃がしてあげた鳥や虫。そういったものの集合体なんだ。僕たちは小さいけれど、あまりにも不憫だから、なんとかしようってなって集まったんだよ』
「そう、だったのね。でも、処刑されてしまったわ」
なんだか信じられないけど、疑いようがないのも事実だ。なんというか、そんな感情がわかない、というか。
だからなのか、私はフラットに自分が死んだことを告げた。
天使様も大きく頷く。
『そうだね。でも、時間を巻き戻して、やり直すことはできるよ』
「え?」
『さっきも言ったね。君はシェリーによって極悪令嬢に仕立て上げられた。それは——……っと、ごめん。ゆっくり説明してあげたいんだけど、時間みたいだ』
「え。時間って?」
すごく気になるところで話を打ち切られそうになって、私はまた戸惑う。
見る間に、天使様の姿が薄くなっていく。
『とりあえず、時間を巻き戻すから。なんとかして危機を乗り越えて。落ち着いたころ、また姿を見せるから』
「な、なんとかって、すごいアバウトじゃない?」
『ちなみに僕の力の限界で、君が決定的発言をぶちかます一〇秒前までしか戻せないんだ』
「ねぇ待ってそれほとんど詰んでる状態じゃないかしら」
『大丈夫。君ならなんとかできると思ってるから。ガッツだよ』
「すごい精神論持ち出された!?」
いやいやいくらなんでも一〇秒前って! しかも私はそれまで自分が何をしていたのかまるで知らないのだ。無理無茶難題すぎる!
けど、ここでゴネてる場合でもないのだろう。
私は慌てる自分を律して深呼吸する。
そうだ。
これはチャンスなんだ。
どうしてシェリーが私を騙して悪女に仕立て上げたか、考えるのは後。教えてもらうのも後。今は、この難局を乗り切るのみ。
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