義妹からの嫌がらせで悪役令嬢に仕立て上げられそうになった挙句、旦那からモラハラ受けたのでブチギレます。~姫鬼神の夫婦改善&王国再建記~

しろいるか

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国王からの呼び出し

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 国王から直々に呼び出しがかかったのは、二日後のことだった。
 父上から手紙の返信があり、オークション出品への手はずを整え、いざ荷物を出そうとしていたタイミングである。
 ただでさえ新体制構築の基盤ができあがったタイミングで忙しいというのに!

 こういうちまちました嫌がらせを忘れないのがベスである。

 さすがワガママ義妹。
 こんなのに教育したのは誰だ。賢くするのはいいけど正しい方向に使わせなさいよ。
 って言っても仕方がない。
 私と旦那は信頼のおける役人たちにお願いだけして、馳せ参じる。
 さすがに呼び出しを断るのは不敬だ。後々を考えて、遺恨はあまり作りたくないのは本音だし。

「お呼び出しに預かり、ここに参上いたしました」

 謁見の間、ではなく、国王の私室が場所だった。
 つまり非公式で、という意味だ。必然的に緊張が走る。謁見の間でのやりとりなら公的文書が書記の手によって残る。だが、ここでは残らない。

 本来ならばするべきではない、脅迫めいた行為も可能だ。

 ここからは精神的な戦いになるし、削りあいになる。
 旦那はもちろん頼りにならない! いや、バカにはしてない。大人しくて誠実で真面目で素直なのだ。こうしたやり取りが苦手なだけである。

「うむ。楽にしてよい。公式ではない」

 玉座代わりの椅子に座りながら、白ひげを撫でながら国王は鷹揚に言う。
 さすがに威厳を放っていて、中々に空気は重たい。
 傍には義妹のベスがいて、めそめそと泣いて――一二〇%演技だけどな!――いた。早くもフィールド不利を押し付けられている感じだ。

 居心地はよくない。

 っていうか何動揺してんの、旦那。
 どんだけ可愛い可愛いしてるのよ、ベスのこと。嫉妬とかそういうの通り越して人間性疑うんだけど。何か媚薬系の毒を盛られてる?

「さて、先日からの財務大臣としての働きであるが」
「はい」
「民の心を早くも掴んだ手腕には驚いた。いつの間にか育っていたのだな。我輩も感心するばかりだ。しかしながら――身内、とりわけ、ベスにそのしわ寄せを押し付けるのはどういう了見だ?」

 国王がいきなり本題に切り込んでくる。
 よく観察すると、頬は強張っているし、肘起きを指でとんとんとしきりに叩いている。苛立っているのは明白だ。

 なーにを吹き込まれたんだ?

 国王であり、父である怒りをハッキリと感じ取った旦那は早くも脂汗だ。
 溶けるぞ。落ち着け。
 しれっと後ろに控えていた私が膝裏を蹴る。しっかりしろ。気合注入である。
 どっちのほうが怖いと思う? という脅迫のメッセージと受け取られたかもしれないが、今は棚上げである。

「利用しているのは、国家資産です」

 しどろもどろになりそうなのを押さえつけながら、旦那は言い返す。

「そんなおべんちゃらなど無用だ。今日は腹を割って話すつもりだからな」
「はっ」
「どういう理由で、ベスの私物を没収したのだ? あれは我輩が買い与え、我輩とベスの大事な思い出が詰まっているものたちだぞ」

 は?
 どこに思い出なんてあるのよ。買い与えてもらって三日目にはもうほとんどの品を放り投げて新しいのねだってたじゃねぇか。

 おっといけない。まだおしとやかに、おしとやかに。

 私は静かに深呼吸した。
 冷静に出てくるうちは、冷静にしないと。

「しかし、管理は国家で行っていました」
「王家の私物なのだから当然であろう」
「確かにある程度の管理は国家でも予算として出しますが、全て任せでしたし、そもそもあれらは国家予算から捻出したもので、王家の予算からではありません。それに国庫が切迫しているのも事実です」

 横柄に言われながらも、旦那はがんばって言い返す。
 顔色悪くなっていくのは同情する。だって、目上だもんね。親に逆らうんだもんね。今までやったことないんだから、そりゃ緊張するって。

 だから旦那は責めない。

 むしろ責めるのは、この期に及んでめそめそしている義妹ベスである。
 あと、すっかり状況が見えていないアホ国王。

「それをなんとかするのが貴様の役目だろう」

 ええ、何その仕事できない上司特有の無茶振り。
 あかんでしょ、それは。
 旦那の方も、早くも限界っぽい。これは、私の出番だな。

「恐れながら、陛下。王子は連日の激務により体調があまり芳しくありません。従いまして、ご無礼を承知ながら、副大臣でもある私が代わりに説明させていただきます」
「……ほう、よいだろう」

 国王が待っていたかのように好戦的に頷いた。
 でしょうね。
 ベスがさっきからちらちらと私を見てきているのは、それが原因だろう。どうせ私が悪いんだ、私がベスのことを嫌いだから、とか色々と感情に任せて吹き込んだに違いない。

 要するに、国王は私を断罪したいのだ。

 理由と立場が複雑なので非公式にしただけだろう。
 それならば――上等である。

「恐れながら、陛下。この書類を」

 手渡すわけにはいかない。破られる可能性があるからだ。
 私は目の前で巻物のヒモをほどき、国王の捺印がある書類を見せ付けた。

「これは……」
「王家資産と国庫資産における管理表につきまして、でございます」

 私は即座に切り札を切った。
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