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拳の説得
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「というわけで宣誓通りの先制怒りの一撃ぃっ!」
「ほぎゃあああああ――――っ!」
私の怒りを感じたか、逃げようと立ち上がったのが運のつき!
一瞬で踏み込んで、私は国王の懐に入ると同時に身体を半回転。拳を肝臓がある脇腹に突き刺す!
ずどん、とイイ音。
国王は身をよじって悲鳴を上げ、その場でへたりこんだ。
「お、お父様――――っ!?」
ベスが悲鳴を上げる。
だがそんなものは無視だ。何より、イイ音はしたけど、ちゃんと手加減はしてある。もがき苦しむくらい痛いはずはない。
現に、国王は驚いて目を白黒させているが、苦痛の様子はそこまでない。
「あのね?」
私はずい、と一歩前に出る。
雰囲気に気おされたか、国王がたじろいだ。
「誰が、下僕だって? あ?」
「な、ななな、なにをっ! 貴様に決まっているであろう! 貴様は、貴様だけは我輩の血を引いていないのだぞ!」
「だから?」
私は平然と言い返す。
「え? 何。ちょっと聞くんだけど、あんたの血は神様の血か何か引いてるの? 世界で一番高潔だと思ってるの? え? 小さい王国でしかないのに?」
「な、貴様っ!」
「それに何より、その論法でいくなら、王妃様はどうなるのよ。王妃様も他人であり、あんたの血は引いてないわよね。だったら王妃様も下僕なワケ? そしてその下僕と作ったのが旦那とあのベスなワケ? それってとっても卑しいことになるんだけど大丈夫?」
矢継ぎ早に言い倒すと、国王は顔を真っ赤にさせて口をパクパクさせた。
そもそも私に舌戦を挑んでくる方が間違いだ。
まぁ、物理的に戦い挑んでくる方が間違いだけど。
とにかく。
もう遠慮はしない。
「大体にして今回の一連の事件も誰のせいでこうなって誰のせいでここまで追い詰められてその上でどっちが正しいことをしてると思ってのよ、あん?」
「そ、それはっ」
「こっちは正しい手続きを経て方々にお願いしてやっと国家を建て直そうとしてるんだよ。ふきたくもないケツをふいてさ」
「貴様らの仕事であろう、それはっ!」
「おう、せやな」
私は国王の襟首を掴んで持ち上げる。ぐいっと。
「だから改革してるっつってんじゃん。無駄な支出をなくすって言ってるんじゃん。不要なものを処分するって言ってるんじゃん。国家を運営していく上で一時的に金も必要だから工面してるって言ってんじゃん」
「ぐうう」
「っていうかさ、本来それはおのれが指示することでしょ? 国王だからって偉そうにふんぞり返ってればいいってもんじゃないよね? 偉そうにするのが仕事なんだったらサルでもできるわっ!」
びたーんっ!
と私は国王を地面に投げつける。「あひょいっ!」と悲鳴が聞こえた。ここらへんは親子を感じる。なんでだろう。まぁいいか。
「そもそも国家がここまで傾いたのはおのれがアホ娘のワガママを咎めることなくワガママさせ放題何させ放題したのが原因だろうがっ!」
「な、なんてことをっ! 娘を可愛がって何が悪い!」
「可愛がることは悪くないわ。ただワガママさせ放題にしておくのは悪いっ!」
私はずばっと言い切り、人差し指をつきつけた。
「だいたい愛娘だったらひん曲がらないように大事にまっすぐ育てなさいよ! 民のためを思い、王国のために働く! それが全うな王族ってもんでしょうよ! なのに何? 大国でもないし大した力があるわけでもないのに大陸でも有数な王国と同じくらいの贅沢をして! 身を弁えろ身をっ! あんたらは王国と言う国家の規模の中じゃ小さくて貧乏なんだよっ!!」
「き、きさまぁああっ! 人が気にしていることを!」
「うるさいわ人に言われたくないことをずけずけと上から目線でぶちまけるオッサンに言われたくないわっ!」
怒鳴る国王を上回る声量で私は圧倒する。
そして国王の身体にのっかってマウントを取った。そのまま何発かビンタを見舞う。
「っていうか! おのれの躾が失敗した結果で国民にめっちゃ迷惑かけててしかも国家存亡の危機だっつってんのにまだその元凶である娘を庇うワケ!? それって本当に娘のことを可愛がってるっていえる!? 言っとくけどあんたがしてることは可愛いからってその場でよしよししてるだけだからね!? 本格的な面倒も世話もしてないんだからね!? 子育てには教育が必要で、時には叱らないといけないの!」
「ぬうっ!?」
「甘いだけじゃ人間、ちゃんと育たないのよ」
現実論を叩きつけると、国王が唸った。妙に脂汗かいてるのは何でだろう。まぁいいや。今はお説教タイムである。
「己の間違いもただせないんじゃ、国王としては失格の極みね!」
「き、貴様っ、いくらなんでも不敬だぞ!」
国王が泣きそうになりながらがなってくる。
いや威勢も威厳もあったもんじゃねぇ。
「はぁぁあん? 不敬? たったついさっき女子どころか人間としての尊厳を踏みにじる発言したオッサンがいえたこと?」
「お、おっ……!?」
「大体不敬だって言うんなら不敬だって思わせるくらいのことをしなさいよ。ハッキリ言うけど、今のあんたは単なる愚王よ愚王。それも歴史に悪いほうで名を残すくらいに」
「き、貴様ぁあああっ! 我輩をとことん侮辱しおって!」
逆上しまくった国王は吼えると、椅子にたてかけてあった剣を抜いた。単なる儀礼用の装飾過多の剣だが、切れ味はありそうだった。
「成敗してくれるっ!」
「成敗するのはこっちだっつうのっ!」
私はドレスのドレープに隠していた剣を抜き放ち、一瞬で国王の剣をはたき落とした。ぱつん、と音を立てて剣が地面を転がる。
一瞬のできごとに、国王の目が点になった。
そしてその顔面に、私は拳を叩き込んだ。
今度はちょっと本気。鼻っ柱に一撃食らった国王は、鼻血を噴出させながらのけぞった。
「お、お父様――――っ!?」
またもやあがる悲鳴。
「い、いい加減にしなさいよ、あんたっ!」
ベスがたえかねたか、私に吼えてくる。
「お母様に言いつけてやるんだから! あんたもこれでおしまいよ!」
いや他人任せかーい。
私は内心でツッコミを入れたのだった。
「ほぎゃあああああ――――っ!」
私の怒りを感じたか、逃げようと立ち上がったのが運のつき!
一瞬で踏み込んで、私は国王の懐に入ると同時に身体を半回転。拳を肝臓がある脇腹に突き刺す!
ずどん、とイイ音。
国王は身をよじって悲鳴を上げ、その場でへたりこんだ。
「お、お父様――――っ!?」
ベスが悲鳴を上げる。
だがそんなものは無視だ。何より、イイ音はしたけど、ちゃんと手加減はしてある。もがき苦しむくらい痛いはずはない。
現に、国王は驚いて目を白黒させているが、苦痛の様子はそこまでない。
「あのね?」
私はずい、と一歩前に出る。
雰囲気に気おされたか、国王がたじろいだ。
「誰が、下僕だって? あ?」
「な、ななな、なにをっ! 貴様に決まっているであろう! 貴様は、貴様だけは我輩の血を引いていないのだぞ!」
「だから?」
私は平然と言い返す。
「え? 何。ちょっと聞くんだけど、あんたの血は神様の血か何か引いてるの? 世界で一番高潔だと思ってるの? え? 小さい王国でしかないのに?」
「な、貴様っ!」
「それに何より、その論法でいくなら、王妃様はどうなるのよ。王妃様も他人であり、あんたの血は引いてないわよね。だったら王妃様も下僕なワケ? そしてその下僕と作ったのが旦那とあのベスなワケ? それってとっても卑しいことになるんだけど大丈夫?」
矢継ぎ早に言い倒すと、国王は顔を真っ赤にさせて口をパクパクさせた。
そもそも私に舌戦を挑んでくる方が間違いだ。
まぁ、物理的に戦い挑んでくる方が間違いだけど。
とにかく。
もう遠慮はしない。
「大体にして今回の一連の事件も誰のせいでこうなって誰のせいでここまで追い詰められてその上でどっちが正しいことをしてると思ってのよ、あん?」
「そ、それはっ」
「こっちは正しい手続きを経て方々にお願いしてやっと国家を建て直そうとしてるんだよ。ふきたくもないケツをふいてさ」
「貴様らの仕事であろう、それはっ!」
「おう、せやな」
私は国王の襟首を掴んで持ち上げる。ぐいっと。
「だから改革してるっつってんじゃん。無駄な支出をなくすって言ってるんじゃん。不要なものを処分するって言ってるんじゃん。国家を運営していく上で一時的に金も必要だから工面してるって言ってんじゃん」
「ぐうう」
「っていうかさ、本来それはおのれが指示することでしょ? 国王だからって偉そうにふんぞり返ってればいいってもんじゃないよね? 偉そうにするのが仕事なんだったらサルでもできるわっ!」
びたーんっ!
と私は国王を地面に投げつける。「あひょいっ!」と悲鳴が聞こえた。ここらへんは親子を感じる。なんでだろう。まぁいいか。
「そもそも国家がここまで傾いたのはおのれがアホ娘のワガママを咎めることなくワガママさせ放題何させ放題したのが原因だろうがっ!」
「な、なんてことをっ! 娘を可愛がって何が悪い!」
「可愛がることは悪くないわ。ただワガママさせ放題にしておくのは悪いっ!」
私はずばっと言い切り、人差し指をつきつけた。
「だいたい愛娘だったらひん曲がらないように大事にまっすぐ育てなさいよ! 民のためを思い、王国のために働く! それが全うな王族ってもんでしょうよ! なのに何? 大国でもないし大した力があるわけでもないのに大陸でも有数な王国と同じくらいの贅沢をして! 身を弁えろ身をっ! あんたらは王国と言う国家の規模の中じゃ小さくて貧乏なんだよっ!!」
「き、きさまぁああっ! 人が気にしていることを!」
「うるさいわ人に言われたくないことをずけずけと上から目線でぶちまけるオッサンに言われたくないわっ!」
怒鳴る国王を上回る声量で私は圧倒する。
そして国王の身体にのっかってマウントを取った。そのまま何発かビンタを見舞う。
「っていうか! おのれの躾が失敗した結果で国民にめっちゃ迷惑かけててしかも国家存亡の危機だっつってんのにまだその元凶である娘を庇うワケ!? それって本当に娘のことを可愛がってるっていえる!? 言っとくけどあんたがしてることは可愛いからってその場でよしよししてるだけだからね!? 本格的な面倒も世話もしてないんだからね!? 子育てには教育が必要で、時には叱らないといけないの!」
「ぬうっ!?」
「甘いだけじゃ人間、ちゃんと育たないのよ」
現実論を叩きつけると、国王が唸った。妙に脂汗かいてるのは何でだろう。まぁいいや。今はお説教タイムである。
「己の間違いもただせないんじゃ、国王としては失格の極みね!」
「き、貴様っ、いくらなんでも不敬だぞ!」
国王が泣きそうになりながらがなってくる。
いや威勢も威厳もあったもんじゃねぇ。
「はぁぁあん? 不敬? たったついさっき女子どころか人間としての尊厳を踏みにじる発言したオッサンがいえたこと?」
「お、おっ……!?」
「大体不敬だって言うんなら不敬だって思わせるくらいのことをしなさいよ。ハッキリ言うけど、今のあんたは単なる愚王よ愚王。それも歴史に悪いほうで名を残すくらいに」
「き、貴様ぁあああっ! 我輩をとことん侮辱しおって!」
逆上しまくった国王は吼えると、椅子にたてかけてあった剣を抜いた。単なる儀礼用の装飾過多の剣だが、切れ味はありそうだった。
「成敗してくれるっ!」
「成敗するのはこっちだっつうのっ!」
私はドレスのドレープに隠していた剣を抜き放ち、一瞬で国王の剣をはたき落とした。ぱつん、と音を立てて剣が地面を転がる。
一瞬のできごとに、国王の目が点になった。
そしてその顔面に、私は拳を叩き込んだ。
今度はちょっと本気。鼻っ柱に一撃食らった国王は、鼻血を噴出させながらのけぞった。
「お、お父様――――っ!?」
またもやあがる悲鳴。
「い、いい加減にしなさいよ、あんたっ!」
ベスがたえかねたか、私に吼えてくる。
「お母様に言いつけてやるんだから! あんたもこれでおしまいよ!」
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