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1章
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しおりを挟む翌朝、朝食を食べてメルは討伐の最終準備に取り掛かっている。
俺は何も出来ずただ室内をウロウロするだけ…
落ち着かない。
イリスはそんな俺を見て苦笑している。
「ギル、大丈夫よ。
パパは強いんだからっ!」
ニコッ と笑って言うイリス。
「わかってる…でも…」
俺はそこで言葉を飲み込む。
「かーさま…かーさまはいっしょにいかないの?」
イリスを見上げて俺は問う。
イリスは回復魔法が得意なのである。
街の人達に女神様と崇められているところを何度も見た。
俺の問いに困った顔をするイリス。
「そうね…でもギル、あなたを放ってはいけないわ。」
俺の頭を撫でながら言うイリスに俺は悔しくなる。
俺が子供だから…
メルのことが心配でもメルと一緒には行けないのだ。
「じゃあとーさまがけがしたらどーするの…?
とーさまのけがをなおすのはかーさまのおしごとでしょ…?」
俺の言葉にイリスは少し考え
「じゃあパパには無傷でかえってきてもらわなきゃねっ!」
ウィンクをしながら笑顔で言うイリス。
メルを信じてるんだ。
メルは強い。だから大丈夫だと。
俺も信じるべきだ…。
俺もよく知ってるじゃないか、メルの強さを。
俺は頷き笑顔でイリスを見る。
いつまでも困らせるだけの子供ではいられない。
信じて待つのも大事なことだ。
「じゃあパパのお見送りに行こっか!」
俺の手を握りメルの元へ向かうイリス。
準備と言っても大した荷物はない。
隣街へ行くだけだからそんなに大荷物は必要ないのだ。
「じゃあ行ってくるよ。
ギル、俺がいない間はお前がママを守るんだぞ!」
膝をつき俺の目線の高さに合わせながら言うメル。
「うんっ!
ぜったいまもる!」
大きく頷き力強く言う俺にメルは笑い頭を数回 わしゃわしゃ と撫で立ち上がりイリスを抱き締める。
「行ってくるよ。」
「行ってらっしゃい。
神の御加護を…」
抱き返し呟きながら魔法をかけるイリス。
これはいつものことだ。
仕事に行く前にイリスはいつもメルに魔法をかける。
御守りなのだそうだ。
「かみのごかごを…」
俺もイリスの真似をして呟きイリスの魔法の邪魔にならないようこっそり魔法をかける。
メルはイリスから離れ、笑顔で出かけて行った。
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