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4章

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 ドタバタとゆう足音と共に待ち人はやってきた。
 言わなくても誰かわかるだろう。
 リドだ。


「にぃーちゃーーーーっ!
 べふっ…」

「「「っ‼︎」」」


 リドは大きな声で叫びながら走って来る。
 それは大層勢いがついていたのであろう。
 水鏡の前で止まることなくベシャッと音を立て顔面で水面を揺らす…いや、弾けさせたあとようやく止まったようだ。
 弾けた水鏡は数回揺れたあと、くっついていき元の形に戻る。
 俺たちはリドの勢いに驚き声も出なかった。


「リ、リド?
 大丈夫…?」

「いひゃー
 にいちゃー」


 顔についた水を服で拭いながら水鏡を見るリド。
 大丈夫そうだな。


「あらあら、まぁまぁ。
 リドは元気ねぇ。」


 リドの後ろにはティナを抱っこしたイリスがいた。


「お母様、無事入学式が終わりました。
 あと友達も出来たので紹介したいのですが…お父様は…?」

「まぁっ早速お友達ができたのね!
 パパなら今汚れを落としているところだからすぐ来るわ。」


 柔らかい笑顔で俺の横にいる2人を見て言うイリス。
 正式に紹介するのはメルも揃ってからの方がいいだろう。


「にいちゃーいつくるー?」

「んー?
 もうちょっとあとかなー?」


 リドの質問の答えに困り俺は苦笑いを浮かべる。


「リド、にいちゃとあそびたい…」


 俯きしょぼんとするリドに俺はすぐに帰りたいとゆう衝動に駆られる。
 俺がソワソワしていることに気付いたのだろう。
 ククスが笑いを堪えている。
 ライルはリドとティナ、そしてイリスをじっと見ている。
 どうかしたのだろうか?

 そうこうしているうちにメルが水鏡に映り込む。
 一瞬スルーして通り過ぎそうになったメルがすごい角度で戻ってくる。


「ギル⁉︎」

「お父様、お帰りなさい。」

「ぁ、ぁあ。
 ただいま。
 じゃなくて…ギル、この水鏡は…?」

「僕が繋ぎました(スーの力を借りて)。」


 俺が答えるとメルは何だか涙ぐんでいるように見える。
 まぁ見なかったことにして話を進めよう。


「お父様、お母様、今日できた友人を紹介しますね。
 こちらがククスで、こちらがライルです。
 もう1人、ここにはいませんがライルの双子でアリサとゆう女の子とも仲良くなりました。」

「「こんにちは。」」

「こんにちは。
 ギルのこと、よろしくね。」


 イリスは嬉しそうに言う。
 そんなイリスにククスとライルはペコッと頭を下げる。


「ククス、ライル、僕の父と母です。
 さっきおもいっきり顔から突っ込んで来たのがリカルド…リドで、お母様に抱っこされてるのがティナです。
 可愛いでしょう?」

「「ぶっ…」」


 俺はリドとティナを見て満面の笑みを浮かべる。
 そんな俺にククスとライルは噴き出して笑った。




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