10 / 240
10.楽のための調査と試行、実践
しおりを挟む
迷宮をスライムの死骸を担いで往復したり、日雇いの仕事で日銭を稼いだりしながら、迷宮のマッピングをおおよそ済ませ、さらに夜甲虫狩りのための準備を終えるまでに、一か月ぐらいかかった。
レベルは5。経験値1の魔物ばかりなので、たいして伸びないが、それでも一か月もやれば多少はレベルも上がる。
かといって現状できることに変化があったわけではない。
1のときに比べると力も体力も各段に上がったとはいえ、夜甲虫の装甲を通すには程遠いし、防具は何も買ってないから集団でタコ殴りにされると多分あっさり死ぬ。
片手で倒せる雑魚以外、まったく歯が立たない男。それが俺だ。
武器も何も変えてない。何も持っていないと、改札ではじかれたりするので、渋々ナイフを持っているだけ。
そして背中に大量の荷物を背負っている今は、そのナイフすら邪魔に感じる。
荷物の中身は全て松明だ。
本来はダンジョン内での照明に使うもの。
もちろんこんな量を本来の用途で使うわけではなく、これが今夜ナイフの代わりに用意した武器である。
3本1束18Gで販売していていた物を(結構高い)、背負子に収まるだけ12束ほど準備した。
夜狩りなので一目にはつかなかったが、時折通りがかる人は、頭上にはみ出るほどの松明を抱えた俺を、異様なものを見る目で見ていた。どんなに何気ない素振りをしていても、必ず一度はチラ見した。
改札のおじさんなんて完全にキチガイを見る目だったな。絶対、同じ人間を見る目じゃなかった。
全部被害妄想の可能性はある。
大量の荷物があるので、逃げるのは難しくなる。
調査のうえ、他の魔物を避けるルートはほぼほぼ確立してはいたが、それでも完全に遭遇率を0に出来るわけじゃない。
中層付近で夜で気の立った魔物に出遭えば、なすすべもなくやられる可能性はあるため、行きは結構ドキドキしながら降りていくことになる。
幸い、ヤバイ魔物はほとんど見かけずに、夜甲虫の出現エリアまでやってきた。
群生している場所は他にもあるが、ウェアウルフやオークあたりも生息している。こいつらは下位種でもヤバイので絶対に遭いたくない。不意を突かれたらまず助からない相手だ。
そんなリスクは当然犯したくないので、出現が低くても夜甲虫以外ほとんどいないような場所で狩りを行う。
細い道や壁の亀裂など、あらかじめ当たりをつけていた場所で、うろうろを周囲を散策すると、殻を前後に動かしながら移動する夜甲虫に遭うことができる。
以前は腰に下げていたナイフで200回ぐらい攻撃するという、腱鞘炎スキルで倒していたが、今回はちゃんと策を考えてきた。
まあ、策といってもそう大した方法ではない。
武器による打撃がダメなら、属性攻撃で倒せばいいのだ。
今夜大量に持ち込んだ松明の火で、ひたすら夜甲虫を炙って倒す。
松明の火力は、メイジの下位魔法と比べてもだいぶ小さいが、ナイフで200回以上殴りつけるよりは、確実にダメージを通せるはずだ。
これによって倒す速度は改善するだろう。問題は、ナイフなどよりはるかに消耗が激しく、使い捨ての松明の支出と収入が見合うがどうかだけだ。
俺は脂を塗りこんだ松明を持ち、硬い殻を持つ虫の魔物に襲い掛かかった。
レベルは5。経験値1の魔物ばかりなので、たいして伸びないが、それでも一か月もやれば多少はレベルも上がる。
かといって現状できることに変化があったわけではない。
1のときに比べると力も体力も各段に上がったとはいえ、夜甲虫の装甲を通すには程遠いし、防具は何も買ってないから集団でタコ殴りにされると多分あっさり死ぬ。
片手で倒せる雑魚以外、まったく歯が立たない男。それが俺だ。
武器も何も変えてない。何も持っていないと、改札ではじかれたりするので、渋々ナイフを持っているだけ。
そして背中に大量の荷物を背負っている今は、そのナイフすら邪魔に感じる。
荷物の中身は全て松明だ。
本来はダンジョン内での照明に使うもの。
もちろんこんな量を本来の用途で使うわけではなく、これが今夜ナイフの代わりに用意した武器である。
3本1束18Gで販売していていた物を(結構高い)、背負子に収まるだけ12束ほど準備した。
夜狩りなので一目にはつかなかったが、時折通りがかる人は、頭上にはみ出るほどの松明を抱えた俺を、異様なものを見る目で見ていた。どんなに何気ない素振りをしていても、必ず一度はチラ見した。
改札のおじさんなんて完全にキチガイを見る目だったな。絶対、同じ人間を見る目じゃなかった。
全部被害妄想の可能性はある。
大量の荷物があるので、逃げるのは難しくなる。
調査のうえ、他の魔物を避けるルートはほぼほぼ確立してはいたが、それでも完全に遭遇率を0に出来るわけじゃない。
中層付近で夜で気の立った魔物に出遭えば、なすすべもなくやられる可能性はあるため、行きは結構ドキドキしながら降りていくことになる。
幸い、ヤバイ魔物はほとんど見かけずに、夜甲虫の出現エリアまでやってきた。
群生している場所は他にもあるが、ウェアウルフやオークあたりも生息している。こいつらは下位種でもヤバイので絶対に遭いたくない。不意を突かれたらまず助からない相手だ。
そんなリスクは当然犯したくないので、出現が低くても夜甲虫以外ほとんどいないような場所で狩りを行う。
細い道や壁の亀裂など、あらかじめ当たりをつけていた場所で、うろうろを周囲を散策すると、殻を前後に動かしながら移動する夜甲虫に遭うことができる。
以前は腰に下げていたナイフで200回ぐらい攻撃するという、腱鞘炎スキルで倒していたが、今回はちゃんと策を考えてきた。
まあ、策といってもそう大した方法ではない。
武器による打撃がダメなら、属性攻撃で倒せばいいのだ。
今夜大量に持ち込んだ松明の火で、ひたすら夜甲虫を炙って倒す。
松明の火力は、メイジの下位魔法と比べてもだいぶ小さいが、ナイフで200回以上殴りつけるよりは、確実にダメージを通せるはずだ。
これによって倒す速度は改善するだろう。問題は、ナイフなどよりはるかに消耗が激しく、使い捨ての松明の支出と収入が見合うがどうかだけだ。
俺は脂を塗りこんだ松明を持ち、硬い殻を持つ虫の魔物に襲い掛かかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
99
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる