12 / 240
12.手続きの数は少ない方が楽
しおりを挟む
――レベル6。経験値的にほぼ7。また3足りない。
流石にレベル1のときのように、トントン拍子に上がることはもうないだろうが、コツコツやっていけば二桁はそう遠くはないといったところだ。
夜勤明けは起きても日が沈んでいるせいか、いまいち調子が出ない気がする。気圧が低い時みたいな重苦しさがある。
その日は夕方ギリギリぐらいに起きて、ギルドに向かい許可証を貰う。
現状に満足しているわけではないが、明らかに損をするわけでもないので、とりあえず続けていく方針。
今の狩りだって、結構調査に時間をかけているので、一度安定させるところまで形を作って、そこからまた改良って流れの方がいいだろう。
狩りの前には松明を大量に買い占め。時間が遅いので、売れ残りをいくつかの店で買うことになった。一つの店でいっぱい仕入れると気まずいので、まあそれはそれでいい。
攻撃手段は今のところの松明一択だ。
世の中には、魔法が封じ込められた投擲具――魔法石というものが存在しているが、一回で一個消費して最低ランク魔法が使える廉価品ですら一個30Gからなので、まったく話にならない。
もともと、非魔法職が緊急用として使うのが一般的な使い方で、常用には不向きなものだ。
持っていく松明は2束減らして10束。十時間作業を想定しているわけではなくて、予備も含めて。8時間ぐらいで切り上げたいところだ。
眠そうな顔している改札の前を通って、再びダンジョンの奥へ向かうが、実際のところこの道中はまったく楽ではない。
いつ強敵と鉢合わせるかわからないので、おそるおそる進むことになるし結構ストレスが溜まるのだ。
現状ではどうしようもないので、狩り場に到着するときは、毎回ビクビクしていくんだろうなと諦めている。
まあ、レベルもさらに上がったので、ヤバイのが出てきて殴られたとしても、1発2発なら耐えられる体力はある。
とはいえ緊急用の脱出アイテムとか買っておいた方がいいのだろうか。
いやそれならまともな武器や防具をそろえるのが先か――
――いろいろ考えながら、夜甲虫狩りを続け半月ほどが経った。
ちょっとした転機が訪れたのは、少し飽きが来つつ雲、特にトラブルもなく堅調にお金が溜まりつつあったある日のことだ。
戦利品を卸すために、いつものように夜勤明けのぼんやりとした頭のまま、ダンジョンからギルドに向かったのだが、窓口が開いていなかった。
というかギルドが開いていなかった。
なんで? と一瞬混乱したが、単純に朝早くに来すぎて会館していなかったらしい。普段開けっ放しの大扉にクローズドの文字。
冷静に街の風景というか周囲を眺めてみると、人の交通量が明らかにいつもと違う。
ただ、いままでギルドが閉まっていた経験はなく、狩り終わりであればほぼほぼ開いていたので、どうして今日に限ってと思ったが、すぐに思い当たる。
今日は単純に調子がよかったのだ。余計な魔物にはほとんど遭わず、夜甲虫だけ何匹も集まって出てきた。
松明がなくなったらどのみち狩れないので、普段から時間はそれほど気にしていなかった。10束無くなったら終わりで、かかる時間もいつも同じぐらいで大きなブレがない。
その日の運次第でこんなに極端に早くなることもあるんだな、と少し驚いた。
それはそれでいいのだが、完全に想定外だったので、どうにかして時間を潰さないといけない。
けど、街はまだ半分眠りについたまま。開いているのは娼館ぐらいものだ。
戦利品を持ったままうろつくというのもなんだか落ち着かない。
まだ、そういうトラブルには遭遇したことはないが、栄えているだけあってこの都市の治安は『それなり』だ。よからぬことを考える奴はいる。
比較的安全な大通りをあてどもなくぶらぶらしていると、ある光景が目に留まった。
どこかで見たことある人が、早歩きで右往左往している。朝の物資運搬をしている運送屋だ。
俺も前まで世話になっていた仕事。
その時に一緒にやった人と、同じ人なのかどうかはわからないが、なんとなく目に留まったので追っていると、
「あ……」
あることに気が付いた。
この蜜……ギルドを介さずにそのまま店に卸せば、その方がお金になるのでは……?
流石にレベル1のときのように、トントン拍子に上がることはもうないだろうが、コツコツやっていけば二桁はそう遠くはないといったところだ。
夜勤明けは起きても日が沈んでいるせいか、いまいち調子が出ない気がする。気圧が低い時みたいな重苦しさがある。
その日は夕方ギリギリぐらいに起きて、ギルドに向かい許可証を貰う。
現状に満足しているわけではないが、明らかに損をするわけでもないので、とりあえず続けていく方針。
今の狩りだって、結構調査に時間をかけているので、一度安定させるところまで形を作って、そこからまた改良って流れの方がいいだろう。
狩りの前には松明を大量に買い占め。時間が遅いので、売れ残りをいくつかの店で買うことになった。一つの店でいっぱい仕入れると気まずいので、まあそれはそれでいい。
攻撃手段は今のところの松明一択だ。
世の中には、魔法が封じ込められた投擲具――魔法石というものが存在しているが、一回で一個消費して最低ランク魔法が使える廉価品ですら一個30Gからなので、まったく話にならない。
もともと、非魔法職が緊急用として使うのが一般的な使い方で、常用には不向きなものだ。
持っていく松明は2束減らして10束。十時間作業を想定しているわけではなくて、予備も含めて。8時間ぐらいで切り上げたいところだ。
眠そうな顔している改札の前を通って、再びダンジョンの奥へ向かうが、実際のところこの道中はまったく楽ではない。
いつ強敵と鉢合わせるかわからないので、おそるおそる進むことになるし結構ストレスが溜まるのだ。
現状ではどうしようもないので、狩り場に到着するときは、毎回ビクビクしていくんだろうなと諦めている。
まあ、レベルもさらに上がったので、ヤバイのが出てきて殴られたとしても、1発2発なら耐えられる体力はある。
とはいえ緊急用の脱出アイテムとか買っておいた方がいいのだろうか。
いやそれならまともな武器や防具をそろえるのが先か――
――いろいろ考えながら、夜甲虫狩りを続け半月ほどが経った。
ちょっとした転機が訪れたのは、少し飽きが来つつ雲、特にトラブルもなく堅調にお金が溜まりつつあったある日のことだ。
戦利品を卸すために、いつものように夜勤明けのぼんやりとした頭のまま、ダンジョンからギルドに向かったのだが、窓口が開いていなかった。
というかギルドが開いていなかった。
なんで? と一瞬混乱したが、単純に朝早くに来すぎて会館していなかったらしい。普段開けっ放しの大扉にクローズドの文字。
冷静に街の風景というか周囲を眺めてみると、人の交通量が明らかにいつもと違う。
ただ、いままでギルドが閉まっていた経験はなく、狩り終わりであればほぼほぼ開いていたので、どうして今日に限ってと思ったが、すぐに思い当たる。
今日は単純に調子がよかったのだ。余計な魔物にはほとんど遭わず、夜甲虫だけ何匹も集まって出てきた。
松明がなくなったらどのみち狩れないので、普段から時間はそれほど気にしていなかった。10束無くなったら終わりで、かかる時間もいつも同じぐらいで大きなブレがない。
その日の運次第でこんなに極端に早くなることもあるんだな、と少し驚いた。
それはそれでいいのだが、完全に想定外だったので、どうにかして時間を潰さないといけない。
けど、街はまだ半分眠りについたまま。開いているのは娼館ぐらいものだ。
戦利品を持ったままうろつくというのもなんだか落ち着かない。
まだ、そういうトラブルには遭遇したことはないが、栄えているだけあってこの都市の治安は『それなり』だ。よからぬことを考える奴はいる。
比較的安全な大通りをあてどもなくぶらぶらしていると、ある光景が目に留まった。
どこかで見たことある人が、早歩きで右往左往している。朝の物資運搬をしている運送屋だ。
俺も前まで世話になっていた仕事。
その時に一緒にやった人と、同じ人なのかどうかはわからないが、なんとなく目に留まったので追っていると、
「あ……」
あることに気が付いた。
この蜜……ギルドを介さずにそのまま店に卸せば、その方がお金になるのでは……?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
99
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる