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楽の戦士トーチの章
174.楽し気な女-9
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「別に俺がそれで気分を害するってことはないけど、とりあえず、メリルについてはそこまで警戒はしなくていいとは言っておくよ。変に欲がなくて困ってるぐらいだから」
「雇っている身としては、それはありがたいことでは?」
「調子に乗るから」
「? メリルさんという方が?」
「俺が」
それを聞いた瞬間、ミルノの表情が堅い紐をほどくように緩まった。
「なかなか面白い人ですね」
「そう?」
「今、初めてそう思いました」
「それはいい意味で捉えていいのか」
少なくとも表面上、ミルノは愉快そうではある。
「つまらないよりは確実にいい意味ですね。仕事の話をするなら、退屈な人より面白い人の方がいいですから。それでその仕事の話ですが」
するりと話が本題に戻ってくる。
「夜甲虫の蜜については、私の所属しているギルドと普段から取引しているお店があるので、そちらを紹介することになります。基本的に品薄、冒険者も狩りたがらない魔物ですので、需要の心配をすることはないです」
「あのさ」
いきなり気になる事を言われたので、俺はすぐに口を挟んだ。
「はい」
「君の所属ギルドのルートってことは、そっちに手数料を払うような感じになるの?」
そういう中抜きだと商売にならないから、個人で直接取引をしているのだ。販売ルートが拡大しても、手数料で単価が下がったら意味がない。
「貴方が私のギルドに所属する、というのであればそうなります。が、貴方にそのつもりはないでしょう? こちらとしてもすぐに受け入れることは出来ませんし」
ミルノが冷静に返答する。
「取引先については、こちらから紹介状を出して仲介する形になります。取引先との条件などは、そちらにおまかせし、私たちが直接的に中抜きにしたりはしません」
明確にこちらの商売に手を突っ込まないと断言してくれたのも、取引先との仲介も嬉しい、が。
そうなると俺の立ち位置はどうなのだろうか。まさかただで販売ルートだけくれる、というわけではないだろうし。
「雇っている身としては、それはありがたいことでは?」
「調子に乗るから」
「? メリルさんという方が?」
「俺が」
それを聞いた瞬間、ミルノの表情が堅い紐をほどくように緩まった。
「なかなか面白い人ですね」
「そう?」
「今、初めてそう思いました」
「それはいい意味で捉えていいのか」
少なくとも表面上、ミルノは愉快そうではある。
「つまらないよりは確実にいい意味ですね。仕事の話をするなら、退屈な人より面白い人の方がいいですから。それでその仕事の話ですが」
するりと話が本題に戻ってくる。
「夜甲虫の蜜については、私の所属しているギルドと普段から取引しているお店があるので、そちらを紹介することになります。基本的に品薄、冒険者も狩りたがらない魔物ですので、需要の心配をすることはないです」
「あのさ」
いきなり気になる事を言われたので、俺はすぐに口を挟んだ。
「はい」
「君の所属ギルドのルートってことは、そっちに手数料を払うような感じになるの?」
そういう中抜きだと商売にならないから、個人で直接取引をしているのだ。販売ルートが拡大しても、手数料で単価が下がったら意味がない。
「貴方が私のギルドに所属する、というのであればそうなります。が、貴方にそのつもりはないでしょう? こちらとしてもすぐに受け入れることは出来ませんし」
ミルノが冷静に返答する。
「取引先については、こちらから紹介状を出して仲介する形になります。取引先との条件などは、そちらにおまかせし、私たちが直接的に中抜きにしたりはしません」
明確にこちらの商売に手を突っ込まないと断言してくれたのも、取引先との仲介も嬉しい、が。
そうなると俺の立ち位置はどうなのだろうか。まさかただで販売ルートだけくれる、というわけではないだろうし。
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