AIN-アイン- 失われた記憶と不思議な力

雅ナユタ

文字の大きさ
13 / 32
二章

ヒなくして煙なし

しおりを挟む
「…ルイさん?」


…ルイさんが倒れた、そういえば出血してどれほどの量の血が流れたのだろうか?

急がなくてはルイさんが危ない、そう思った時だった。


「……あ~流石に腹減ったわ…なんか食いもんねぇか?」


「…ルイさん?」


「姉さん!大丈夫スか!?」


「言っただろう、擦り傷だって…、それより、アイ…あの歯車パーツ拾っといてくれ、今なら落ち着いて出来るだろ?」


「う、うん、わかった!」


「姉さん、捕まるッス」


「おう、わりぃな…」


ルイさんはケンタ君に抱えられ身体を起こす。

私はその間に光手の蜘蛛糸ルミナス・ロープを使い、歯車パーツを引っ張りだす。
…焦りもなかった為か、今度はすんなり取ることができた。


「ルイさん!取れました!」


「…おぅ、とりま歯車パーツコンプリートだな」

そういうルイさんの足元にはポタポタと血が溢れている。


「…どこか治療できる所があれば良いのだけど」


「キュ!キュキュー!」


「え、キューちゃん何か知ってるの?」


「キュキュー!」


「食べ物もあんのか!?そりゃいいな!そこ行こう!」


「……姉さん翻訳の超能力ギフトでも持ってるんスか?」


キューちゃんは張り切った様子で道案内を始める、私たちはルイさんを気遣いながら後をついて行った。

そう遠く無い角の部屋に入るとさらにその部屋の奥に医務室のような部屋を見つけた。

「キュ!」

「お~、こんなところがあったんスね!」


「ベッドもあるし、ゆっくりできそうね」


「んなことより飯はどこだよ?」


「キュキュ!」


「お、ここか!サンキュー!キュー太郎!」


「…ルイさんは治療が先です」


「うへぇ~食いながらでもできるだろ」


「駄目です!」


私はルイさんを抱えながら扉を潜り医療棚らしき所へ脚を運ぶ。

その時だった。







(…こいつも失敗作か)
(愛ちゃん、今日からあなたは愛ちゃんよ)
(身体に異常なし、次)
(そうね、そうしましょ)
(大丈夫か?力を使ってみろ)





何か頭の中を様々な映像が過った。


「……アイ?」


「あ、いえ、なんでもないわ…治療をしましょう」


「……おぅ」



部屋の中は薄暗く、相変わらず優しき光手ルミナスで照らしてもそこまで明るくならなかった。

医療器具はあったがほとんどが壊れていた。その中でも包帯や痛み止めなどがあり、止血や最低限な治療は行えた。

そんな中ケンタ君は

「俺、しばらく入口の方で見張りをしてるッス!アイちゃんもそのまま休んでくださいッス!」


と見張りを買って出てくれた。男の子はケンタ君だけだったから気を遣ってくれたのかもしれない。

一通りの治療後、部屋で見つけた缶詰や携帯食料をたらふく食べ、ルイさんは一服していた。


「うしっ!回復したぜ!いつでも動ける!」


「嘘、ケンタ君が見張ってくれてるからしばらくは休みますよ!」


「…ったくこんなん怪我のうちに入らねーって…」


「…ルイさんって外でもこんな無茶するんですか?」


「あー?…そうだなぁ…」


ルイさんは一瞬何か考えた後、頭をぼりぼりかきながら呟いた。


「アイのことばかり色々教えてもらっちゃフェアじゃねぇよな…」


ルイさんはポケットからもう一本タバコを取り出すと再び、火をつけた。


「アイ…アンタは記憶がないだろうけど、外には超能力ギフトで少なからず悪さをする奴がいる」


「…なんのこと?」


「…いいから聞け、アタシはそんな犯罪者を取り締まる組織会社に所属している」


「えっ!ルイさん警察官だったの!?」


「まぁそんなとこだ…buddiesバディーズっつう会社でな、その名の通り2人1組で動いて悪い奴を捕らえてたんだよ」


「かっこいい!!…2人1組ってことはルイさんも相方が居るんですか?」


「あぁ、元ダンナだ」


「…………………え?」


時が止まった。今なんて?


「……る、ルイさんけけっけけ結婚してたんですか?」


「おぅ、今はバツついてっけどな」


あまりの衝撃に思考がついてこれない。


「そ、そそその、男女の間はいろいろありますし、離婚の一つや二つ今は関係ないですし…」


「馬鹿!ちげぇよ!……だよ」


「……え?」


ルイさんはタバコの煙をふぅーっと吹き出すと語ってくれた、昔の事を












~半年程前~

とある高層ビルの上階一室、ルイとその夫は今まさに仕事を終える時だった

「ははっ!やっぱりおれたちゃ!最高のバディだな!!」


「はいはい、してなければ、な」


「あ、あれ~…」


夫は目を泳がせながらタバコを取り出し、一服を始めた

「…おいっタバコくせぇんだからアタシの前で吸うんじゃねぇよったく」

「あぁわりぃわりぃ、全く喫煙者は肩身が狭いね~」

そう言いながらも喫煙を続ける


「……」


「おい、いいかげん機嫌直せよー、明日結婚記念日だろ?なんか食いにでも行こうぜ」


「馬鹿ちげぇよ…こいつらやけにすんなりだったよな…もしかして他に首謀者でも居んじゃねぇか?」

「あぁ?ったくルイは考えすぎだな、んなことねぇって大丈夫だよ」

「…だといいけどな、アタシの勘は昔から悪い方に当たるからな…」



~同日深夜~

「…ったく資料まとめんのに時間が掛かっちまった!いい加減もどらねぇと…あぁ?」


ルイのスマホに一通のメールが届く


(昼間のビルに来い、あんたのダンナは預かった)



「…っあ!?くそっ!!上等じゃねぇか!!」


ルイは手に持っていた鞄を放り投げビルへ向かった





「…よくきたな」


「アタシのダンナはどこだ?報復か?」


「当たり前よ!よくも俺らの計画を潰してくれたな!おかげで大金を逃した!」


「真面目に働けよ、犯罪者は皆思考が一緒でつまんないねぇ……で」


「ぐがぁ!!」

ルイは首謀者の後ろにある机を引き寄せ、背中にぶつけた、そして胸ぐらを掴み殴りながら

「アタシのダンナはどこにいる?10秒以内に答えろ10.9.8.7.…」


「ぐはっ!、そばの!、へ、やにぐっ!い、いる!」


「そ、あんがと!まぁ!」

(ゲシッ)

「ぐふぅ…」

(バタッ)


「おーい、大丈夫か、相思相愛テレパシーで色々情報提供ありがとさん」


「あ~すまねぇ~ステゴロには自信があったんだが、相手は銃使いだったんでね~、流石の俺も」


ルイは魔引きアトラクターで首謀者から銃を引っ張り出した


「これ、モデルガン、散々モノホンのチャカ見てきてわかんねぇのかぁ?」


「…あ、あれ?」


「ったく…アンタは相変わらずだな、またいつも通り助けてやったぜ、これで貸し18個めだ」


「へへっわりぃ」


「んじゃちゃっちゃと帰りますか~今日、何食べたい?」


「そうだな~やっぱ…!!?危ねぇ!!瑠衣!!」


「くそ!!」


先程の首謀者が襲いかかっていたが、ダンナが庇いその手は空を切る…体勢を崩してその男が床に手をついた瞬間


「なっ!?」


「しまっ…」


首謀者とダンナの周りの床が一瞬にして砂になって消えた

おそらく首謀者は超能力ギフトだったのだろう


運悪くこの階は高層ビルとビルを繋ぐ橋の間の会議室だった、つまり真下には遮る物がなく、そのままダンナと首謀者はなす術なく落下していく


「うわぁぁぁ!!」


首謀者はそのまま落ちていき、深夜の地上の闇に消えていった


「っ!?アンタ!!」


ダンナも例外なく重力に引っ張られている
周りに引き寄せて助けられる物がない


「くそぉ!!!!!!魔引きアトラクター!!!」


ルイはダンナ自身を引っ張り上げようとした
が、ルイの魔引きアトラクターは生物を引き寄せられない

その法則を無理矢理捻じ曲げようとした

その結果割に合わない能力出力、超能力ギフトのキャパシティを超えその反動がルイの身体に襲いかかる


「ぐっ、げほぉ!助ける!!絶対に!!」


ルイは全身から血を吹き出しながら、なお引き寄せようとする

ダンナの身体は一瞬止まったかと思うと、再び落下し始め刻一刻と地面へ向かっていく

(もういい、お前が壊れちまう、すまんな最後までドジっまって)


相思相愛テレパシーを使ってルイに語りかけてきた
おそらく最後の言葉のやりとりになると察し、ルイは涙を溢した


「嫌だ!!アンタが居たからここまで来れたんだ!!アンタが居なくなったらアタシはどうすればいいんだ!!」

(…んなことはねぇ、お前はつよい、俺が居なくてもきっとお前はここまでこれてたさ…)


ルイの身体からさらに血が溢れ出し、力が抜けていく、もう能力を維持することができない

(ありがとな…俺には過ぎた嫁だったよ…今度はで次のバディを支えてやりな…)

「嫌だ嫌だ嫌だ!!行かないで!!お願い!!」

(…あばよ、愛してるぜ、瑠衣)


ワタシはただ見送ることしかできなかった
最愛の最高のパートナーをバディを



「…陽介ぇ!!」


乾いた音が深夜の夜に響き渡った
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...