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まさかの強制力①
育児疲れまんまの顔で学園に来たから、ちょっと驚かせちゃったみたいだわね。
っていうか、私、そんなにやつれちゃってるかしら??これでも一応、お化粧でかなりマシにしてもらったつもりなんだけどなぁ…うーん。
「と、とにかく、ちょっと疲れてるだけなので大丈夫です…」
「本当に!?本当に学園医に診て貰わなくて大丈夫かい!?」
リュオディス殿下は育児休暇を終え、久々に学園へ登校した私の姿を見るなり、顔を真っ青にして有無を言わさず学園医を呼ぼうとした。もちろん慌てて必死に止めたけどね。何故って、確かに私は疲労してたけども、このくらい、一晩ゆっくり寝れば回復するに違いないからだ。ううーん、若いって素敵。
「……で、やっと離乳食を食べられるようになったんで、学園にも登校できるようになったんです」
「そうか…でも良かったよ…本当に、間に合って……」
騒がしい再会の後、静かなティールームでお茶しながら、可愛い我が子の自慢話に花を咲かせていたら、リュオディス殿下はホッとしたみたいに微笑んで言った。
「ん?間に合うって……?」
なんのこと??と首を傾げると、殿下は何でもないことのように、悪夢の現実を私に突き付けてきた。
「明日からの学年末試験だよ……あれ?手紙に書いてただろう?」
「…………………は?」
──手紙??
そういえば今朝、殿下からの手紙が届いてたような??
帰ってからでいいかと思って、まだ読んでなかったんだけど…ていうか…
は??試験??
学年末の??
しかも明日から??
「………………はああ!?」
今日は帰ったらたっぷり寝よう。
珍しくミィナが「今日はこの仔の世話は私がやります」って言ってくれたから、私は帰ったら速攻寝る気でいた。屋敷へ帰ったら、たっぷりの湯に浸かって体をほぐし、あとは明日の朝までノンストップで寝る。
というのが本日の私の楽しみであり目標だった。
ついさっきまで。
嘘でしょ…これは帰ったみっちり試験勉強しなきゃダメってこと??
しかも下手したら貫徹??うっ、嘘でしょうおおおおおっっ!!
私は絶望に打ちひしがれながらティールームを後にし、放心状態で午後の授業を終えて帰路に着いた。
ガタガタと揺れる馬車の中で、諦め悪く試験範囲のテキストを見ていたが、こんな広範囲を今から復習するとなったら、やはり徹夜しかないよね??と思えてきて、再び深い絶望の底に落ち込んでしまう。
王太子の婚約者として、恥ずかしい点数は取れない。
だから今までずっと、私は常に学年上位へつけてきた。
それが当たり前だと、入学以来思い込んできた──のだけれど。
「……ちょっと待って……赤点取ったら、婚約破棄とかなんないかしら??」
ふと、そんな考えが脳裏に浮かんできて、そしてそれは、考えれば考えるほど妙案のように思えてきた。
私はこれまでずっと、王太子の婚約者として──と頑張って色んな努力をして来たけれど、そういえば今の私は、『その座から降りたい』と切実に思うようになってんだよね。まあ、それもこれも、前世の記憶を思い出したから、なんだけども。
「よし……帰ったらお風呂入って寝よ!!」
という訳で『落第はしない程度に赤点を取って、婚約破棄してもらう大作戦』を突発的に発動した私は、試験勉強なんかそっちのけで当初からの予定通り、『疲れを取ってたっぷり寝る』ことを実行に移すと心に決めたのだった。
う~ん、快適快適!!!!
たっぷり寝たから体力回復したわ。
翌朝の私は驚くほどいつも通りになっていた。ほんと、若いって素敵!!そして、結果を諦めて挑戦した試験の結果は目論見通り全科目赤点ギリギリ!!もちろん、先生による採点はまだだから、結果が出るのは三日後だけど、自己採点でこのざまだから、学年最下位のレベル間違いなしだ!!
コレで、無事、婚約破棄とかなったら良いんだけどな~
そしたら娘溺愛パッパを説得して、卒業後は領地の片田舎に一軒家を貰って引きこもり、可愛い我が仔とのんびり隠居生活するんだもんね!!
もちろんパッパ……こと、お父様は、まだ若い私に他の縁談を持ってくるだろうけど、『殿下のことが忘れられなくて…ヨヨ(泣き真似)』とかなんとか言って引き延ばしてる内に婚期を逃すだろう。ていうか意地でもそこまで引き延ばす!!
もしもお父様の許しがなくても、いざとなれば貴族の地位を捨てて出奔してしまえばいい。
なにも贅沢な生活を望んでる訳じゃないから、これまで貯めてきた私のお小遣いだけでも、この世界で十分に余生を楽しんで暮らせるだろう。ほんの十数年の小遣いだけで、残りの人生支えられるって、貴族ってホント金持ちよねぇ…としみじみ思った。
前世では60年以上働いても、雀の涙くらいしか年金貰えないし。ぶっちゃけそれだけでは暮らせないから、70過ぎても老体に鞭打って働かないと食ってけないという、人生ハードモードの人が人口の大半を占めるんだもんね。
………今思うと、よく頑張ったな、前世の私。
でも、やっと婚約破棄!!
ついに夢の楽隠居コースだ!!!!
これで私の人生報われる!!
そんな風に浮かれて試験結果発表の日を迎えた私は、有り得ない現実に膝をつくことになるのだった。
っていうか、私、そんなにやつれちゃってるかしら??これでも一応、お化粧でかなりマシにしてもらったつもりなんだけどなぁ…うーん。
「と、とにかく、ちょっと疲れてるだけなので大丈夫です…」
「本当に!?本当に学園医に診て貰わなくて大丈夫かい!?」
リュオディス殿下は育児休暇を終え、久々に学園へ登校した私の姿を見るなり、顔を真っ青にして有無を言わさず学園医を呼ぼうとした。もちろん慌てて必死に止めたけどね。何故って、確かに私は疲労してたけども、このくらい、一晩ゆっくり寝れば回復するに違いないからだ。ううーん、若いって素敵。
「……で、やっと離乳食を食べられるようになったんで、学園にも登校できるようになったんです」
「そうか…でも良かったよ…本当に、間に合って……」
騒がしい再会の後、静かなティールームでお茶しながら、可愛い我が子の自慢話に花を咲かせていたら、リュオディス殿下はホッとしたみたいに微笑んで言った。
「ん?間に合うって……?」
なんのこと??と首を傾げると、殿下は何でもないことのように、悪夢の現実を私に突き付けてきた。
「明日からの学年末試験だよ……あれ?手紙に書いてただろう?」
「…………………は?」
──手紙??
そういえば今朝、殿下からの手紙が届いてたような??
帰ってからでいいかと思って、まだ読んでなかったんだけど…ていうか…
は??試験??
学年末の??
しかも明日から??
「………………はああ!?」
今日は帰ったらたっぷり寝よう。
珍しくミィナが「今日はこの仔の世話は私がやります」って言ってくれたから、私は帰ったら速攻寝る気でいた。屋敷へ帰ったら、たっぷりの湯に浸かって体をほぐし、あとは明日の朝までノンストップで寝る。
というのが本日の私の楽しみであり目標だった。
ついさっきまで。
嘘でしょ…これは帰ったみっちり試験勉強しなきゃダメってこと??
しかも下手したら貫徹??うっ、嘘でしょうおおおおおっっ!!
私は絶望に打ちひしがれながらティールームを後にし、放心状態で午後の授業を終えて帰路に着いた。
ガタガタと揺れる馬車の中で、諦め悪く試験範囲のテキストを見ていたが、こんな広範囲を今から復習するとなったら、やはり徹夜しかないよね??と思えてきて、再び深い絶望の底に落ち込んでしまう。
王太子の婚約者として、恥ずかしい点数は取れない。
だから今までずっと、私は常に学年上位へつけてきた。
それが当たり前だと、入学以来思い込んできた──のだけれど。
「……ちょっと待って……赤点取ったら、婚約破棄とかなんないかしら??」
ふと、そんな考えが脳裏に浮かんできて、そしてそれは、考えれば考えるほど妙案のように思えてきた。
私はこれまでずっと、王太子の婚約者として──と頑張って色んな努力をして来たけれど、そういえば今の私は、『その座から降りたい』と切実に思うようになってんだよね。まあ、それもこれも、前世の記憶を思い出したから、なんだけども。
「よし……帰ったらお風呂入って寝よ!!」
という訳で『落第はしない程度に赤点を取って、婚約破棄してもらう大作戦』を突発的に発動した私は、試験勉強なんかそっちのけで当初からの予定通り、『疲れを取ってたっぷり寝る』ことを実行に移すと心に決めたのだった。
う~ん、快適快適!!!!
たっぷり寝たから体力回復したわ。
翌朝の私は驚くほどいつも通りになっていた。ほんと、若いって素敵!!そして、結果を諦めて挑戦した試験の結果は目論見通り全科目赤点ギリギリ!!もちろん、先生による採点はまだだから、結果が出るのは三日後だけど、自己採点でこのざまだから、学年最下位のレベル間違いなしだ!!
コレで、無事、婚約破棄とかなったら良いんだけどな~
そしたら娘溺愛パッパを説得して、卒業後は領地の片田舎に一軒家を貰って引きこもり、可愛い我が仔とのんびり隠居生活するんだもんね!!
もちろんパッパ……こと、お父様は、まだ若い私に他の縁談を持ってくるだろうけど、『殿下のことが忘れられなくて…ヨヨ(泣き真似)』とかなんとか言って引き延ばしてる内に婚期を逃すだろう。ていうか意地でもそこまで引き延ばす!!
もしもお父様の許しがなくても、いざとなれば貴族の地位を捨てて出奔してしまえばいい。
なにも贅沢な生活を望んでる訳じゃないから、これまで貯めてきた私のお小遣いだけでも、この世界で十分に余生を楽しんで暮らせるだろう。ほんの十数年の小遣いだけで、残りの人生支えられるって、貴族ってホント金持ちよねぇ…としみじみ思った。
前世では60年以上働いても、雀の涙くらいしか年金貰えないし。ぶっちゃけそれだけでは暮らせないから、70過ぎても老体に鞭打って働かないと食ってけないという、人生ハードモードの人が人口の大半を占めるんだもんね。
………今思うと、よく頑張ったな、前世の私。
でも、やっと婚約破棄!!
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