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婚約破棄の王子様
「リュオディス殿下!!」
怪しげな呪文(?)で目覚めたリュオディス殿下は、パチパチと何度かまばたきを繰り返したあと、何ごともなかったようにむっくりと体を起こした。
いやあ、ホントすごいなぁ。神女の力って。
これまでなにやっても目覚めなかったのに。
なんなら思いっきり頬をビンタしたことだって……ゲフンゲフン
そんな無体なことされても、ミリも目覚める気配なかったんだけど。
「僕は……いったい……」
崖から落ちて意識不明だったせいで、すぐには今の状況が理解できないみたい。まあ、そうよね。目の前には世紀末覇者みたいなキャスリーナ嬢が胸張って立ってるし。何がどうしてこうなったか、説明が欲しいところだと思う。
「殿下、実はあなたは崖から落ちて……」
察した私は説明を始めたのだが、殿下はその話を最後まで聞くことなく、なにかを思いついた様子でベッドから降りて立ち上がった。──って、さっきまで意識不明だったのに、こんなにすぐ体が動くなんて凄くない!?
「そうか!!君が治してくれたんだな!!??」
「へ??あ…まあ、それはそうなんですけど…」
リュオディス殿下はキャスリーナ嬢の手を取って、若干、食い気味にそう話し込み始めた。んん??なんだろ??ちょっと様子がおかしくない??
「意識がない間も、誰かが側に居てくれた気がしてたんだ!!僕の手を取ってくれたり…話しかけてくれたり…そうか…そうか、あれもすべて、君だったんだね!?」
「え!?いやちょっ…それは違……ッッ!!」
「ありがとう!!君が僕の命の恩人だ!!どうか僕と婚約してくれ!!」
「はあああああ!!??」
あらあら。なんか私のやってたことまで、キャスリーナ嬢がやったと思い込んでるよ。どうしちゃったの…この人?なんか錯乱してる??
「ずっと殿下の側に居たのは私じゃなくてアウ…」
「ああ!!もちろんアウラとの婚約は破棄するよ!!安心してくれ!!」
「えっ」
「ちょ…人の話を聞けええーッ!!!!!!!!!」
当のキャスリーナ嬢は必死に否定しようとしてるんだけど、何故かリュオディス殿下はまったく聞く耳を持とうとしなかった。そして、一気に私との婚約破棄にまで話を持って行ってしまう。えっ。マジか。
「婚約破棄………えっ…」
「ああ。悪いがアウラ…僕との婚約は破棄してもらう」
「…………あ…そう…」
なんだろ。望んでたことのはずなのに。嬉しいことのはずなのに。
これまでずっと、そうなるように計画練ったり、試行錯誤を繰り返したりしてきたのに。
思惑通りになったって言うのに。
胸が痛い。
嘘でしょ。
なんでなの。
「そっか…そうなのね!!わかったわ!!うん!良かった!!ありがとう!!幸せになってね!」
私は精一杯取り繕って笑顔でそう言った。
気付き始めた自分の気持ちに無理矢理蓋して騙した。
望みどおりになった!!これで念願のお1人様生活だ!!
あとは年金さえもらえたら…!!
なんて、明るい未来を考えることで、なんとか気分を盛り立てた。
「アウラお嬢様……」
「じゃっ!!そういうことで!!」
気遣わし気なリィナの視線と、慌てるキャスリーナ嬢の顔を無視して、私は元気よく殿下に挨拶し、貴族令嬢らしく優雅に身を翻して部屋を出た。うーん。さすがよね!!私!!
こんな時まで貴族の令嬢として、冷静かつ優雅に振舞えるだなんて!!
「アウラお嬢様…本当に……」
「なによ。リィナだって知ってるでしょ!!私の目標は気楽なお1人様生活!!これでやっとその目標を達成できるんじゃない!!」
リィナが心配そうに私を追ってくるが、私は颯爽と王子の部屋の前から早歩きで離れた。途中、ボロボロになった騎士団の皆さんに出会ったが、彼らの様子に視線を送ることなく通り過ぎる。
誰とも顔を合わせることなんて出来なかった。
それでなくても通り過ぎる人の誰も彼もが、怪訝な顔をしているだろうことが知れたからだ。
「……………ッッ」
そう、私は何故だか泣いていた。
自然に涙が零れて止まらなかった。
歩きながらずっと泣き続けていたのだ。
怪しげな呪文(?)で目覚めたリュオディス殿下は、パチパチと何度かまばたきを繰り返したあと、何ごともなかったようにむっくりと体を起こした。
いやあ、ホントすごいなぁ。神女の力って。
これまでなにやっても目覚めなかったのに。
なんなら思いっきり頬をビンタしたことだって……ゲフンゲフン
そんな無体なことされても、ミリも目覚める気配なかったんだけど。
「僕は……いったい……」
崖から落ちて意識不明だったせいで、すぐには今の状況が理解できないみたい。まあ、そうよね。目の前には世紀末覇者みたいなキャスリーナ嬢が胸張って立ってるし。何がどうしてこうなったか、説明が欲しいところだと思う。
「殿下、実はあなたは崖から落ちて……」
察した私は説明を始めたのだが、殿下はその話を最後まで聞くことなく、なにかを思いついた様子でベッドから降りて立ち上がった。──って、さっきまで意識不明だったのに、こんなにすぐ体が動くなんて凄くない!?
「そうか!!君が治してくれたんだな!!??」
「へ??あ…まあ、それはそうなんですけど…」
リュオディス殿下はキャスリーナ嬢の手を取って、若干、食い気味にそう話し込み始めた。んん??なんだろ??ちょっと様子がおかしくない??
「意識がない間も、誰かが側に居てくれた気がしてたんだ!!僕の手を取ってくれたり…話しかけてくれたり…そうか…そうか、あれもすべて、君だったんだね!?」
「え!?いやちょっ…それは違……ッッ!!」
「ありがとう!!君が僕の命の恩人だ!!どうか僕と婚約してくれ!!」
「はあああああ!!??」
あらあら。なんか私のやってたことまで、キャスリーナ嬢がやったと思い込んでるよ。どうしちゃったの…この人?なんか錯乱してる??
「ずっと殿下の側に居たのは私じゃなくてアウ…」
「ああ!!もちろんアウラとの婚約は破棄するよ!!安心してくれ!!」
「えっ」
「ちょ…人の話を聞けええーッ!!!!!!!!!」
当のキャスリーナ嬢は必死に否定しようとしてるんだけど、何故かリュオディス殿下はまったく聞く耳を持とうとしなかった。そして、一気に私との婚約破棄にまで話を持って行ってしまう。えっ。マジか。
「婚約破棄………えっ…」
「ああ。悪いがアウラ…僕との婚約は破棄してもらう」
「…………あ…そう…」
なんだろ。望んでたことのはずなのに。嬉しいことのはずなのに。
これまでずっと、そうなるように計画練ったり、試行錯誤を繰り返したりしてきたのに。
思惑通りになったって言うのに。
胸が痛い。
嘘でしょ。
なんでなの。
「そっか…そうなのね!!わかったわ!!うん!良かった!!ありがとう!!幸せになってね!」
私は精一杯取り繕って笑顔でそう言った。
気付き始めた自分の気持ちに無理矢理蓋して騙した。
望みどおりになった!!これで念願のお1人様生活だ!!
あとは年金さえもらえたら…!!
なんて、明るい未来を考えることで、なんとか気分を盛り立てた。
「アウラお嬢様……」
「じゃっ!!そういうことで!!」
気遣わし気なリィナの視線と、慌てるキャスリーナ嬢の顔を無視して、私は元気よく殿下に挨拶し、貴族令嬢らしく優雅に身を翻して部屋を出た。うーん。さすがよね!!私!!
こんな時まで貴族の令嬢として、冷静かつ優雅に振舞えるだなんて!!
「アウラお嬢様…本当に……」
「なによ。リィナだって知ってるでしょ!!私の目標は気楽なお1人様生活!!これでやっとその目標を達成できるんじゃない!!」
リィナが心配そうに私を追ってくるが、私は颯爽と王子の部屋の前から早歩きで離れた。途中、ボロボロになった騎士団の皆さんに出会ったが、彼らの様子に視線を送ることなく通り過ぎる。
誰とも顔を合わせることなんて出来なかった。
それでなくても通り過ぎる人の誰も彼もが、怪訝な顔をしているだろうことが知れたからだ。
「……………ッッ」
そう、私は何故だか泣いていた。
自然に涙が零れて止まらなかった。
歩きながらずっと泣き続けていたのだ。
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