時計仕掛けの遺言

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第4章 家族の秘密

第2部 扉の向こう側

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西側の廊下を歩くエレノア、ジュリアン、アリスの三人は、館の奥にひっそりと佇む扉の前に再び立っていた。その扉は、時の流れに耐えた黒ずんだ木製で、鍵穴がかすかに錆びついている。

「これが地図が示していた部屋ね。」
エレノアが低い声で言った。

「鍵を見つけられれば、中を調べられる。」
ジュリアンは扉を指で軽く叩いた。
「この部屋に何かが隠されているのは間違いない。」

「でも、その『何か』が私たちにとって良いものとは限らない。」
アリスは不安そうに背後を振り返りながら言った。
「誰かが隠していたものなら、きっと……」

その時、ジュリアンが静かに装置から取り出した鍵を見せた。
「装置にこの鍵が収められていた。これで開くはずだ。」

「本当に?」
エレノアはジュリアンの手元を覗き込みながら、その金属の小さな鍵をじっと見つめた。

ジュリアンが鍵を鍵穴に差し込み、ゆっくりと回すと、カチリという音とともに錠が外れた。その瞬間、扉が音を立ててわずかに開いた。冷たい空気が中から漏れ出し、三人の体に鳥肌を立てた。

「行くぞ。」
ジュリアンが一歩踏み出し、扉を押し開けた。

中は思ったよりも広い空間で、古びた家具や埃をかぶったカーテンが並んでいる。部屋の中央には木製の大きなテーブルが置かれており、その上には箱型の何かが置かれていた。

「これは……母のもの?」
エレノアが部屋に足を踏み入れながら呟いた。
「この部屋、父が母に隠していたものじゃないかしら。」

ジュリアンはテーブルの上の箱に近づき、その形状を観察した。それは精巧に作られた木製の箱で、細かい彫刻が施されており、表面にはクラヴェン家の紋章が刻まれている。

「開けてみよう。」
ジュリアンは静かに言った。

エレノアとアリスが緊張した面持ちで見守る中、ジュリアンは慎重に箱の蓋を持ち上げた。箱の中には、古びた日記と一枚の写真が収められていた。

ジュリアンが日記を取り出し、埃を払うと、エレノアが写真に目を奪われた。それは彼女の母親が若い頃に写っているもので、隣にはクラレンスの姿があった。しかし、その写真の隅には、もう一人の人物が写っていた。

「この人……誰?」
エレノアは指を写真に添えた。

「見たことがない。」
ジュリアンが写真を受け取り、詳しく観察する。
「だが、彼はクラレンスと君の母親にとって重要な人物だったのかもしれない。」

「日記を読んでみて。」
アリスが震える声で促した。

ジュリアンは日記の表紙を開き、最初のページに目を通した。それはエレノアの母親が書いたものであり、クラヴェン家に関わる出来事が詳細に記録されていた。



「……私はクラヴェン家に来たことを後悔している。この家には何かがおかしい。クラレンスは私を守ろうとしてくれているが、それでもこの家族の中に隠された何かが私たちを脅かしている。」

「そして、彼が警告していた『契約』のこと……それが何を意味するのかを知った時、私はこの家族が決して普通ではないことを理解した。」



「契約……」
ジュリアンはその言葉を繰り返した。
「クラレンスの言う『最初の罪』とも関係がありそうだ。」

「母は……この家族の秘密を知ってしまったのね。」
エレノアは写真を見つめながら言った。
「そして、それが彼女を……」

部屋の静けさを切り裂くように、廊下から足音が響いた。三人が振り返ると、そこにはリチャードが立っていた。彼の顔は険しく、目には何かを隠そうとする必死さが滲んでいる。

「何をしているんだ。」
リチャードの声は低く震えていた。

「この部屋に隠されていたものを調べている。」
ジュリアンが毅然と言った。
「これらは、クラレンス氏が残したヒントの一部だ。」

「そこに手を出すな。」
リチャードは一歩前に進み、鋭い目でエレノアを睨んだ。
「それは俺たち家族にとって、触れてはいけないものだ。」

「それでも私は知りたい。」
エレノアは静かに言った。
「母のこと、そしてこの家族が隠してきた真実を。」

リチャードは唇を引き結び、拳を固く握ったまま、何も言えなかった。

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