【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~

深山きらら

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第四章 氷が溶けるとき

夫は優しい人です

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 翌日、エリアナは貴婦人たちのお茶会に招待された。
 女性同士の社交の始まりだ。
 一人で参加するエリアナを、アレクシスは心配そうに見送った。

「大丈夫か」
「はい。もう、怖くありません」

 エリアナは、微笑んで答えた。
 独身時代には、お茶会など誘われたことがない。地味な服を着て、いつもうつむいているエリアナは、同年代の令嬢の目に止まらなかったのだ。

 初めてのお茶会。でもエリアナは、きっとうまくやれるだろう、という予感を感じていた。

 お茶会は、公爵夫人シャルロットの屋敷で開かれた。
 優美に飾られたティールームには、十数人の貴婦人が集まっていた。

「ヴァルモント公爵夫人、ようこそ」

 シャルロット公爵夫人が、温かく迎えてくれた。

「お招きいただき、ありがとうございます」

 エリアナは、優雅に一礼した。
 席につくと、周りの夫人たちが話しかけてきた。

「公爵夫人、昨夜の舞踏会、お美しかったですわ」
「ヴァルモント公爵が、あんなに優しい表情をされるなんて、驚きました」
「お二人、本当にお似合いです」

 エリアナは、頬を染めて答えた。

「ありがとうございます。夫は、とても優しい人です」

「まあ、それは意外」
 一人の婦人が言った。
「悪魔公爵という噂でしたのに」

「あれは、誤解です」
 エリアナは、はっきりと言った。
「夫は、誰よりも心優しく、正義感の強い人です。領民からも慕われています」

 その言葉に、婦人たちは驚いた顔をした。

「そうだったのですか」
「では、あの悪評は……」

「事実無根です」
 エリアナは、毅然と答えた。
「夫の実直さを快く思わない人々が、流した噂に過ぎません」

 婦人たちは、顔を見合わせた。

「エリアナ様がそうおっしゃるなら、きっとそうなのでしょう」
「これから、正しい評判が広まるといいですわね」

 エリアナは、微笑んだ。
 アレクシスの名誉を守れたことが、嬉しかった。

 お茶会は和やかに進んだ。
 婦人たちは音楽や文学の話で盛り上がった。エリアナの教養の深さに、婦人たちは感心した様子だった。

「エリアナ様はピアノがお上手だと伺いましたが」

「少々、たしなむ程度ですが」

「ぜひ、今度聴かせてくださいな」

 エリアナは幸福な気持ちでうなずいた。

 その時、扉が開いて、一人の華やかな婦人が入ってきた。
 リリアーナだった。

「遅れてすみません」

 彼女は、美しい笑顔で言った。
 でも、その笑顔は、エリアナを見た瞬間、わずかに固まった。

「まあ、ダルクール侯爵夫人」

 シャルロット公爵夫人が、リリアーナを迎えた。

「ようこそ。ちょうど、ヴァルモント公爵夫人とお茶をしていたところですのよ」

 リリアーナは、エリアナの隣の席に座った。

「お姉様、まさかここでお会いできるなんて」

 その声は、表面的には親しげだったが、底には冷たさがあった。
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