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第三章 芽生える想い
永遠の約束
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儀式は、城の屋上で行われた。
石畳に描かれたのは、巨大で複雑な魔方陣。
その中央に毛布を敷き、アリアーナは寝かされた。
竜王は竜の姿に戻り、人の文字で表すことのできない不思議な言葉で呪文を唱え始めた。
高熱に侵されたアリアーナは、瞳を閉じてしまう。
もうろうとした意識の中で、竜王の低い声だけを聞いていた。
強大な魔力が空気を震わせている――。
やがて、竜王の体から強烈な光が放たれた。
その光が、アリアーナを包み込む。
痛みはなかった。ただ、全身が熱い。体の芯から何かが変わっていくのを感じる。
細胞の一つ一つが、作り変えられていく。
人間から、半竜へ。
どれぐらい時間が経ったのだろう。
アリアーナはふと、瞳を開いた。
いつの間に意識を失ってしまったのかも覚えていなかった。
辺りは薄暗い。夕暮れ時のようだ。
アリアーナは体を起こした。
ぐっすり眠った後のように、気分はさわやかだ。体が軽い。頭の中はすっきりしている。どこも痛いところはない。
そして――薄暗い中なのに、何もかもがはっきりと見える。細かいところまで鮮明に。
「アリアーナ……大丈夫か?」
人型に戻った竜王が、彼女をじっと見つめていた。
アリアーナは微笑んだ。
「はい。とても気分が良いです」
「そうか。儀式はうまくいったようだな。お前は、もう死なない」
竜王は歩み寄ってきて、アリアーナの傍らに腰を下ろした。
「もしもお前に、人間界への未練が少しでも残っていれば、儀式はうまくいかなかっただろう」
「そう……だったんですね」
「お前を迷わせてはいけないと思って、言わなかったことがある。……不死というのは、人間が思うほど良いものではないぞ。つらく、重い宿命だ。むしろ永遠の呪いだと言ってもいいだろう。私も何度も思ったものだ、死ぬことができる人間がうらやましい、と……」
アリアーナは、すぐ間近にある竜王の顔をみつめた。
この人は千年間、どんな思いを抱いて生きてきたのだろう、と思った。
強くて気高い孤独な竜。「死ねる人間がうらやましい」だなんて――。
「これから永遠にあなたのそばにいられるんです。これ以上幸せなことなんてありませんわ。どんなことがあっても、平気です」
アリアーナはきっぱり言い切った。
次の瞬間、竜王の腕の中に抱き込まれていた。耳元に熱い囁きが吹き込まれる。
「正式に私の妃となってくれ、アリアーナ」
アリアーナは、涙を流しながらうなずいた。
「はい、喜んで」
そして二人は、永遠の誓いを交わした。
月が、二人を祝福するかのように輝いていた。
石畳に描かれたのは、巨大で複雑な魔方陣。
その中央に毛布を敷き、アリアーナは寝かされた。
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高熱に侵されたアリアーナは、瞳を閉じてしまう。
もうろうとした意識の中で、竜王の低い声だけを聞いていた。
強大な魔力が空気を震わせている――。
やがて、竜王の体から強烈な光が放たれた。
その光が、アリアーナを包み込む。
痛みはなかった。ただ、全身が熱い。体の芯から何かが変わっていくのを感じる。
細胞の一つ一つが、作り変えられていく。
人間から、半竜へ。
どれぐらい時間が経ったのだろう。
アリアーナはふと、瞳を開いた。
いつの間に意識を失ってしまったのかも覚えていなかった。
辺りは薄暗い。夕暮れ時のようだ。
アリアーナは体を起こした。
ぐっすり眠った後のように、気分はさわやかだ。体が軽い。頭の中はすっきりしている。どこも痛いところはない。
そして――薄暗い中なのに、何もかもがはっきりと見える。細かいところまで鮮明に。
「アリアーナ……大丈夫か?」
人型に戻った竜王が、彼女をじっと見つめていた。
アリアーナは微笑んだ。
「はい。とても気分が良いです」
「そうか。儀式はうまくいったようだな。お前は、もう死なない」
竜王は歩み寄ってきて、アリアーナの傍らに腰を下ろした。
「もしもお前に、人間界への未練が少しでも残っていれば、儀式はうまくいかなかっただろう」
「そう……だったんですね」
「お前を迷わせてはいけないと思って、言わなかったことがある。……不死というのは、人間が思うほど良いものではないぞ。つらく、重い宿命だ。むしろ永遠の呪いだと言ってもいいだろう。私も何度も思ったものだ、死ぬことができる人間がうらやましい、と……」
アリアーナは、すぐ間近にある竜王の顔をみつめた。
この人は千年間、どんな思いを抱いて生きてきたのだろう、と思った。
強くて気高い孤独な竜。「死ねる人間がうらやましい」だなんて――。
「これから永遠にあなたのそばにいられるんです。これ以上幸せなことなんてありませんわ。どんなことがあっても、平気です」
アリアーナはきっぱり言い切った。
次の瞬間、竜王の腕の中に抱き込まれていた。耳元に熱い囁きが吹き込まれる。
「正式に私の妃となってくれ、アリアーナ」
アリアーナは、涙を流しながらうなずいた。
「はい、喜んで」
そして二人は、永遠の誓いを交わした。
月が、二人を祝福するかのように輝いていた。
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