【完結】辺境伯の溺愛が重すぎます~追放された薬師見習いは、領主様に囲われています~

深山きらら

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再会

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 婚約の発表から一週間後、王都から豪華な馬車が到着した。
 それは、国王からの祝福の使者だった。そして、その一団の中に、見覚えのある顔があった。
 マリアンヌだった。
 王都の薬師ギルドを代表して、祝いの品を届けに来たのだという。だが、その表情には明らかに不満がにじんでいた。

 謁見の間で、マリアンヌはアディとルーファスの前にひざまずいた。

「この度は、ご婚約おめでとうございます」

 表面上は丁寧な言葉だったが、その声にはトゲがあった。
 アディを見上げ、マリアンヌは目をぎらりと光らせた。

「アディ、まさかあんたが辺境伯妃になるなんてね。庶民の分際で、ずいぶんと出世したものだわ」

 礼儀作法を完全に無視したその発言に、周囲の空気が凍りついた。

 ルーファスは、見る者を凍りつかせるようなひややかな視線をマリアンヌに向けた。

「その『庶民』が、お前のような人間が一生かかっても到達できない場所にいる。それが現実だ」

 ルーファスの声も氷のように冷たい。

「アディは、自らの才能と努力で、この地位を築いた。領民の命を救い、疫病を治療し、誰からも愛される存在になった。……それに比べてお前は何だ? 嫉妬に駆られて同僚を陥れ、自分の無能を隠すために他人を犠牲にした。そんな人間に、アディの価値が分かるはずもない」

 マリアンヌの顔が真っ赤になった。

「二度と、彼女に近づくな。これは警告ではない。命令だ」

 ルーファスの言葉に、マリアンヌはぐうの音も出ず、目を白黒させた。
 アディは、ルーファスの横に立ち、マリアンヌを見下ろした。

「マリアンヌさん、あなたが私にしたことは許しました。でも、忘れたわけではありません」

 アディの声は、穏やかだが毅然としていた。

「私は今、とても幸せです。愛する人がいて、私を必要としてくれる人々がいて、やりがいのある仕事がある。これ以上、何も望むことはありません」

 彼女は微笑んだ。

「あなたも、いつか本当の幸せを見つけられるといいですね」

 その言葉が、マリアンヌには何よりもこたえた。

 嫌いな相手が、こんなにも幸せそうで、こんなにも優しくて、こんなにも格上の存在になっている。
 マリアンヌはその場で崩れ落ちそうになった。



 使者たちが去った後、アディはルーファスに抱きついた。

「ありがとうございます、領主様」
「礼を言われることではない」ルーファスは彼女の頭を優しく撫でた。「お前を傷つける者は、誰であろうと許さない」
「でも、少し厳しすぎたのでは……」
「甘い」ルーファスはきっぱりと言った。「お前は優しすぎる。だから、私が守る」

 その言葉に、アディは幸せな笑みを浮かべた。
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