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はじめまして。
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ー「あぁ、私、本当にこの学校に通うんだ。」
穏やかにひらひらと桜が舞う、とある春の日。
今年から中学生になる彩(あや)は、巷ではお嬢様校と有名な水際(みぎわ)女子学院の入学式に出席していた。
水際女子学院は、私立の中高一貫の女子校だ。
お嬢様校と言っても、ブランドのバッグを持ったキラキラした生徒で溢れている、という訳ではない。
どちらかというと、品のある由緒正しき女子校、といったところか。
入学するにはかなりレベルの高い中学入学試験に合格しなければならず、高校からの入学は認められていない。
つまり、ここにいるのは小学生の頃に努力を重ね、この学校に見事入学した新中学一年生たちなのだ。
そんな中に自分が含められていると思うと誇らしかった。
入学式が終わると、知らされた自分のクラスに移動し、窓際から出席番号順に座らされた。
しばらくすると、このクラスの担任らしき先生が入ってきて、一人ずつ自己紹介をすることになった。
46人の生徒たちが順番に前に出て、名前や最寄り駅、趣味などを話していった。
緊張からか、声が震えている子や顔が赤くなっている子。
人前で話すのに慣れているのか、すらすらと話し、笑顔でお辞儀をして席に戻る子など、
色々な子がいた。
いよいよ26番目、彩の番だ。
緊張している子が多い中、人前で話すことに比較的慣れている彩は、自然に自己紹介をすることができた。
ー「中原 彩(なかはら あや)です。ここから電車で一時間くらいの、少し山に近いところに住んでます。音楽を聴くだとか、絵を描くだとか、ゆっくりした時間を過ごすのが好きです。どうぞよろしくおねがいします!」
そこからまた、たくさんの女の子たちが自己紹介をしていった。
ー「野田 ゆりかです。家は、ー。」
ー「原田 心愛といいます。だいたい電車でー。」
ー「」
ー「」
自己紹介が終わってからしばらくして、30分ほどの自由時間になった。
みんなが同じ塾だった友達や知り合いと話している中、彩はあいにく同じ塾で仲の良かった友達とはクラスが離れてしまい、話し相手がいなかった。
このまま一人でいてもいいのだが、せっかくの自由時間だ。
人と話すことが得意だった彩は、この時間に友達を作ろうと思い席を立った。
あたりを見回すと、髪の長い女の子が目に入った。
結構最後の方に自己紹介をしていた子だ。
この女の子の自己紹介を思い出す。
ー『渡邉 由紀(わたなべ ゆき)といいます。えっと、海の近くに住んでます。ピアノを弾いたり、絵を描いたりするのが好きです。えっと…、あ、一年間よろしくお願いします。』
渡邉さんだ。
彩は静かに本を読んでいる彼女に話しかけることにした。
机に近づいても彼女が気づく気配はなかったので、軽く肩を叩いてから呼びかけることにした。
ー「渡邉さん…?」
すると驚いた様子で彼女は振り返った。
ー「は、はいっ!?」
ー1章『はじめまして。』end
穏やかにひらひらと桜が舞う、とある春の日。
今年から中学生になる彩(あや)は、巷ではお嬢様校と有名な水際(みぎわ)女子学院の入学式に出席していた。
水際女子学院は、私立の中高一貫の女子校だ。
お嬢様校と言っても、ブランドのバッグを持ったキラキラした生徒で溢れている、という訳ではない。
どちらかというと、品のある由緒正しき女子校、といったところか。
入学するにはかなりレベルの高い中学入学試験に合格しなければならず、高校からの入学は認められていない。
つまり、ここにいるのは小学生の頃に努力を重ね、この学校に見事入学した新中学一年生たちなのだ。
そんな中に自分が含められていると思うと誇らしかった。
入学式が終わると、知らされた自分のクラスに移動し、窓際から出席番号順に座らされた。
しばらくすると、このクラスの担任らしき先生が入ってきて、一人ずつ自己紹介をすることになった。
46人の生徒たちが順番に前に出て、名前や最寄り駅、趣味などを話していった。
緊張からか、声が震えている子や顔が赤くなっている子。
人前で話すのに慣れているのか、すらすらと話し、笑顔でお辞儀をして席に戻る子など、
色々な子がいた。
いよいよ26番目、彩の番だ。
緊張している子が多い中、人前で話すことに比較的慣れている彩は、自然に自己紹介をすることができた。
ー「中原 彩(なかはら あや)です。ここから電車で一時間くらいの、少し山に近いところに住んでます。音楽を聴くだとか、絵を描くだとか、ゆっくりした時間を過ごすのが好きです。どうぞよろしくおねがいします!」
そこからまた、たくさんの女の子たちが自己紹介をしていった。
ー「野田 ゆりかです。家は、ー。」
ー「原田 心愛といいます。だいたい電車でー。」
ー「」
ー「」
自己紹介が終わってからしばらくして、30分ほどの自由時間になった。
みんなが同じ塾だった友達や知り合いと話している中、彩はあいにく同じ塾で仲の良かった友達とはクラスが離れてしまい、話し相手がいなかった。
このまま一人でいてもいいのだが、せっかくの自由時間だ。
人と話すことが得意だった彩は、この時間に友達を作ろうと思い席を立った。
あたりを見回すと、髪の長い女の子が目に入った。
結構最後の方に自己紹介をしていた子だ。
この女の子の自己紹介を思い出す。
ー『渡邉 由紀(わたなべ ゆき)といいます。えっと、海の近くに住んでます。ピアノを弾いたり、絵を描いたりするのが好きです。えっと…、あ、一年間よろしくお願いします。』
渡邉さんだ。
彩は静かに本を読んでいる彼女に話しかけることにした。
机に近づいても彼女が気づく気配はなかったので、軽く肩を叩いてから呼びかけることにした。
ー「渡邉さん…?」
すると驚いた様子で彼女は振り返った。
ー「は、はいっ!?」
ー1章『はじめまして。』end
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