【R18】広島弁の野村さんとお隣の私の話

井笠令子

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【SS08】初詣

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「野村さん!今日こそ初詣に行きましょう」

 皆様あけましておめでとうございます。毎度おなじみ安部結菜あべゆうなでございます。
 年が明けて本日はもう1月3日でございます。

 大晦日に『明日は初詣に行きましょうね』と約束してから今日まで家から一歩も出ておりません。
 確かに年明けてすぐは『あけましておめでとう』と言い合って、『今年もその先も一緒にいようね』なんてJ-POPもびっくりの赤面な言葉を発したりして、そのまま……。ゲフンゲフン。
 で、遅く起きてお節つまんでまったりしてたら、またそんな感じになって陽も高いうちから……。

「そうじゃのぉ。ずっとっちゃじゃけぇのぉ」

 ん?ほほぅ。野村さんはこの状況を『食っちゃ寝』と表現されますか。
 私の知ってる『食っちゃ寝』と全然違うんですが。『食っちゃ寝』ってこんなに体力消耗することでしたっけ?
 恨みがましい視線を野村さんに送ってやる。
 でも野村さんは、それを物ともせずにっこりと私に微笑みかける。

「じゃ、出かける支度しょぉや」

 一人でさっさと立ち上がりクローゼットを開ける野村さんの背中を見上げると、すっきりとしたスタイルなのに筋肉がついたきれいなラインに見とれてしまう。
 あぁ、私も体力つけないとなぁ。
 私は、野村さん曰く『食っちゃ寝』のせいで筋肉痛の腿を気遣いながら立ち上がった。

 ***

 1月3日の午後となるとさすがに小さな神社へ詣でる人はまばらで、私たちは大して並ぶこともなくスムーズに参拝した。
 私の今年の願いはもちろん『野村さんと幸せに過ごせますように』だ。

「野村さん、お守り授かりたいです」

「おう」

 ずらっと並んだカラフルなお守りの中から『無病息災』の赤いお守りを手に取ると

「一緒にうちゃる」

 と野村さんが買ってくれた。

「野村さんは、何のお守りにしたんですか?」

「んー。まぁ普通の奴」

「普通のやつって何ですか?」

「まぁ、えかろうが」

「えー。なんですか?気になる~。じゃあ、当てますから当たってたら教えてくださいね。
 うーんと、厄除け?」
「はずれ」

「開運?」
「はずれ」

「合格祈願?」
「何の試験も受ける予定なぁ無いで」

「わかった!縁結び!」
「カップルで一緒に縁結びのお守り買わんほうがええらしいで」

 そうこうしているうちにもう家についてしまった。

「当てられなかったー!!」
「別に何でもよかろう」

 そう言いながら、コートを脱いだ拍子に野村さんのポケットから落ちたお守りは

『家内安全』

 でした。
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