奴隷看守は身代わり令嬢に愛される

井笠令子

文字の大きさ
3 / 3

後編

しおりを挟む
『んっもっと、もっと激しく突きなさいよ!』

 ピシッと鞭が床を鳴らすのと同時にパンパンと肌がぶつかる音がする。

「あ、牢の女王様が来てる」

 ミルは慣れた様子で鉄格子から離れて、廊下の奥に目をやった。

「女王様!?」
「ううん。牢の女王様。いつも突然来て、いっぱいセックスして帰るの」
「だれと?」
「うーん。牢番の奴隷と気に入った囚人が多いかな。でっかいのが好きっていつも叫んでる」


『あん、すごぃ、いぃ~!あっ、そっちのおっきぃのもぉ。もっとぉ』


「……あんな感じに」

 男は聞こえてくる声に眉をしかめ、ミルに問うた。

「もしかして、ピンクの髪のこんなドレス着てる女か?」

 男は自身が着ている流行のシルエットのドレスを指でつまんだ。
 ミルはその通りだと頷いた。

「名前はローザ?」

 逡巡するように瞳をくるりと回して、ミルはもう一度頷いた。

「よっしゃ」
 男は唇の端をぺろりと舐めると立ち上がった。

「なぁ、あんた何て名前?」

「ミル」

「ミル、ちょっと待ってろ。約束忘れんなよ」

 男が立ち上がりピューイと指笛を鳴らすと、階段から大勢の騎士が降りて来た。
 どうしたらいいのかわからずキョロキョロしているミルの前をドンドコ通り過ぎていく。

 そして、その最後尾に背筋をピンと伸ばし優雅に歩く圧倒的存在感のご令嬢が続いた。

「ローザ男爵令嬢! このキャロライナに濡れ衣を着せた罪は重いわよ」

 ビシッと扇子を奥の牢に向けると騎士が牢になだれ込んだ。
 ミルにはさっぱりわからなかったがこのとき、男遊びが激しく男女の痴話争いが絶えないのはローザの方であり、キャロライナ伯爵令嬢の潔白は証明されたらしい。

 キャロライナはミルの牢の前で立ち止まると身代わり男へ満足そうに声を掛けた。

「大して役に立ってないけど、ご苦労様」

「どういたしまして。ついでにこの子ももらってっていい?」

「好きになさい」

 キャロライナは控えていた騎士に何かを告げ、ミルに微笑むと優雅な足取りでその場を去った。
 続いてぞろぞろと騎士たちが去っていく中、その一人が男の掌に一つの鍵を落とした。

「ミル、扉の鍵外して」

「う、うん」

 ミルは素直に牢の鍵を外した。
 男はミルの前にしゃがみ込むとその足に付いていた鎖を外す。

「これで、俺もあんたも自由だ」

 男はミルを抱えると、ドレスを翻しながら階段を上り青空の下でミルに告げた。

「さ、子作りしようぜ」


 ◇◇◇◇

 その後、あれよあれよという間にミルは馬車に載せられ大きな屋敷に到着すると、浴室に入れられた。用意されたシンプルなドレスを着ると、豪華な食事が並ぶ食卓につかされた。訳が分からぬまま空腹を満たすと寝室へと案内され、楽しい家族計画の第一歩を踏み出したのだった。

 おしまい
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

淫紋付きランジェリーパーティーへようこそ~麗人辺境伯、婿殿の逆襲の罠にハメられる

柿崎まつる
恋愛
ローテ辺境伯領から最重要機密を盗んだ男が潜んだ先は、ある紳士社交倶楽部の夜会会場。女辺境伯とその夫は夜会に潜入するが、なんとそこはランジェリーパーティーだった! ※辺境伯は女です ムーンライトノベルズに掲載済みです。

真面目な王子様と私の話

谷絵 ちぐり
恋愛
 婚約者として王子と顔合わせをした時に自分が小説の世界に転生したと気づいたエレーナ。  小説の中での自分の役どころは、婚約解消されてしまう台詞がたった一言の令嬢だった。  真面目で堅物と評される王子に小説通り婚約解消されることを信じて可もなく不可もなくな関係をエレーナは築こうとするが…。 ※Rシーンはあっさりです。 ※別サイトにも掲載しています。

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

要望通り、悪女を逆ハーレムルートにしました

ラブリス
恋愛
 目を覚ますと、乙女ゲームのヒロインフィーナになっていた。でも、ヒロインの立場は悪女エレノアに奪われてしまった。  そっちが望むなら、逆ハーレムルートにしてあげる。こうなった責任を取って貰いましょう。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

私の婚約者があんまりにもウザいのでキレてみた

下菊みこと
恋愛
あんまりにもウザい相手にガチギレしてみたお話。 御都合主義のSS。 元サヤでハッピーエンドです。 ざまぁというほどでもないですがキレ散らかします。 小説家になろう様でも投稿しています。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...