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ー猛毒ー
③②
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チェルヴォニはエリュテイカの出方を見ようと思っていると……。
「チェルヴォニ様が嫉妬してくださるなんて嬉しすぎてどうにかなってしまいそうですわ!」
「あ、ああ……」
チェルヴォニの心配をよそにエリュテイカはご機嫌だった。
「もし気になるのなら、今までわたくしがやりとりしていた手紙をすべて持ってきましょうか!?」
「いや、いい……」
「わたくしに隠し事はありませんから!」
チェルヴォニからの嫉妬がよほど嬉しかったのだろうか、なんでも話して見せるというエリュテイカに心配したことが損だと思えた。
エリュテイカはアーテルム帝国出身の王太子妃カーラーや、シーディリフ辺境伯の妻、フィオーネと仲良くしているそうだ。
だけどチェルヴォニの友人でもある彼らの妻たちと繋がりを持ち、屋敷の人間や領民たちから慕われて、チェルヴォニよりも完璧なエリュテイカが気に入らない。
それに加えてダルモンテ王国の令嬢たちも、エリュテイカの奇抜な容姿がなくなって地味になり親しみやすくなったことで良好な関係を築いているそうだ。
本来はチェルヴォニがやらなければならない領地の仕事も彼女が補佐している。
それはすべてチェルヴォニの功績になっているがエリュテイカは何も言わずに黙ってチェルヴォニを支えている。
チェルヴォニにとってエリュテイカは都合のいい〝駒〟でしかない。
自分を引き立たせるアクセサリーと同じだ。
彼女はチェルヴォニが何をしても逆らわない。人形と同じだった。
「もう少し奥様を大切にしてくださいませ」
「あれは俺が輝くための駒でしかない。口を出すな」
「ですがエリュテイカ様は……」
「……くどい。下がれ」
「…………。かしこまりました」
チェルヴォニは執事の忠告にも耳を貸すことはなかった。
それと同時に気づく違和感。
(あんな執事がベリガール公爵家にいたか? よく見れば侍女も侍従も見慣れない顔ばかりのような……)
そんな許可をチェルヴォニが出した覚えはない。
だが、今まで違和感はなかったことや忙しいことを含めて、屋敷のことなどどうでもよかった。
そんなものはエリュテイカに任せておけばいいだろう。
チェルヴォニがそんな些細なことに関わるメリットはないのだから。
自分の仕事をしっかりとこなしてチェルヴォニに迷惑をかけないのならそれでいいのだ。
エリュテイカがどれだけ慕われようともチェルヴォニには関係ない。
だが自分が忙しい時に楽しげに手紙を交換したり、お茶会に行っているエリュテイカを見かけた時には……。
「俺がこうして忙しくしている時にお前は手紙を書いたりお茶会に出かけるなんて……」
「ベリガール公爵家のためには……っ」
「──口答えをするんじゃねぇよ」
チェルヴォニは目の前にあるテーブルを思いきり叩いた。
上に載っていた書類がハラハラと落ちていく。
エリュテイカはそれには涙でも流すかと思いきや「わかりましたわ」と、言って頷くだけだ。
まだ涙一つでも流した方が可愛げがあっただろうに。
(ふんっ、この俺が結婚してやったんだ。我慢するのは当然だろう?)
素晴らしい夫を持てているだけで、エリュテイカは幸せなのだ。
この若さでダルモンテ王国を動かしているチェルヴォニに逆らうことなど許されるはずない。
エリュテイカはどんどんと落ちぶれていく。
(……地味だな。まるで子どものように見えるじゃない)
チェルヴォニの言った通りに髪を梳かすだけのストレート。
肌を露出させない地味なドレスは彼女の魅力を半減させている。
それと同時に彼女への興味が失せていき、扱いも雑になっていった。
エリュテイカにこのことを伝えられては困ると、外部との接触を断とうとしていたのかもしれない。
仕事や領地の管理が落ち着くと、シュヴァルツから誘いがあり久しぶりに高級娼婦を買って楽しんでいた。
選んだのはエリュテイカと真逆の女性らしい体型の娼婦だった。
金色の長い髪、グリーンの瞳、豊満な胸と色っぽい濡れた唇。
一通り行為を終えた後に、葉巻きを吸いながらシュヴァルツと息抜きをしていた。
「エリュテイカとはどうなんだ? 初夜はすませたのか?」
「いいや……子どもっぽくって抱く気にならない」
エリュテイカは十六歳だ。
小柄で童顔なこともあり、正直言ってチェルヴォニのタイプではないためそそられない。
そう言うとシュヴァルツは「確かにな」と、腹を抱えて笑っている。
「シュヴァルツの方こそどうなんだ?」
「初夜を拒否した挙句、リリアンや母に嫌がらせにしているらしいんだ。許せないだろう!?」
「ああ……それが事実ならばな」
どうやらシュヴァルツも夫婦関係はまったくうまくいっていないようだ。
こうなることはわかっていたが、リリアンと王妃は懲りもせずにカーラーを孤立させるために頑張っているようだ。
(ダルモンテ国王も国のことを考えるならば彼女たちを止めるべきじゃないのか? まぁ……そのうちどうにかするだろう)
チェルヴォニも何度かカーラーと話したことはあるが、彼女は一言で言えば隙のないミステリアスな女性だった。
感情が動かないこともそうだが、ダルモンテ王国にはないエキゾチックな美しさは不気味とすら思える。
リリアンと王妃にはめられてシュヴァルツにろくな扱いを受けていないとなれば、周囲からも舐められているはずだ。
「チェルヴォニ様が嫉妬してくださるなんて嬉しすぎてどうにかなってしまいそうですわ!」
「あ、ああ……」
チェルヴォニの心配をよそにエリュテイカはご機嫌だった。
「もし気になるのなら、今までわたくしがやりとりしていた手紙をすべて持ってきましょうか!?」
「いや、いい……」
「わたくしに隠し事はありませんから!」
チェルヴォニからの嫉妬がよほど嬉しかったのだろうか、なんでも話して見せるというエリュテイカに心配したことが損だと思えた。
エリュテイカはアーテルム帝国出身の王太子妃カーラーや、シーディリフ辺境伯の妻、フィオーネと仲良くしているそうだ。
だけどチェルヴォニの友人でもある彼らの妻たちと繋がりを持ち、屋敷の人間や領民たちから慕われて、チェルヴォニよりも完璧なエリュテイカが気に入らない。
それに加えてダルモンテ王国の令嬢たちも、エリュテイカの奇抜な容姿がなくなって地味になり親しみやすくなったことで良好な関係を築いているそうだ。
本来はチェルヴォニがやらなければならない領地の仕事も彼女が補佐している。
それはすべてチェルヴォニの功績になっているがエリュテイカは何も言わずに黙ってチェルヴォニを支えている。
チェルヴォニにとってエリュテイカは都合のいい〝駒〟でしかない。
自分を引き立たせるアクセサリーと同じだ。
彼女はチェルヴォニが何をしても逆らわない。人形と同じだった。
「もう少し奥様を大切にしてくださいませ」
「あれは俺が輝くための駒でしかない。口を出すな」
「ですがエリュテイカ様は……」
「……くどい。下がれ」
「…………。かしこまりました」
チェルヴォニは執事の忠告にも耳を貸すことはなかった。
それと同時に気づく違和感。
(あんな執事がベリガール公爵家にいたか? よく見れば侍女も侍従も見慣れない顔ばかりのような……)
そんな許可をチェルヴォニが出した覚えはない。
だが、今まで違和感はなかったことや忙しいことを含めて、屋敷のことなどどうでもよかった。
そんなものはエリュテイカに任せておけばいいだろう。
チェルヴォニがそんな些細なことに関わるメリットはないのだから。
自分の仕事をしっかりとこなしてチェルヴォニに迷惑をかけないのならそれでいいのだ。
エリュテイカがどれだけ慕われようともチェルヴォニには関係ない。
だが自分が忙しい時に楽しげに手紙を交換したり、お茶会に行っているエリュテイカを見かけた時には……。
「俺がこうして忙しくしている時にお前は手紙を書いたりお茶会に出かけるなんて……」
「ベリガール公爵家のためには……っ」
「──口答えをするんじゃねぇよ」
チェルヴォニは目の前にあるテーブルを思いきり叩いた。
上に載っていた書類がハラハラと落ちていく。
エリュテイカはそれには涙でも流すかと思いきや「わかりましたわ」と、言って頷くだけだ。
まだ涙一つでも流した方が可愛げがあっただろうに。
(ふんっ、この俺が結婚してやったんだ。我慢するのは当然だろう?)
素晴らしい夫を持てているだけで、エリュテイカは幸せなのだ。
この若さでダルモンテ王国を動かしているチェルヴォニに逆らうことなど許されるはずない。
エリュテイカはどんどんと落ちぶれていく。
(……地味だな。まるで子どものように見えるじゃない)
チェルヴォニの言った通りに髪を梳かすだけのストレート。
肌を露出させない地味なドレスは彼女の魅力を半減させている。
それと同時に彼女への興味が失せていき、扱いも雑になっていった。
エリュテイカにこのことを伝えられては困ると、外部との接触を断とうとしていたのかもしれない。
仕事や領地の管理が落ち着くと、シュヴァルツから誘いがあり久しぶりに高級娼婦を買って楽しんでいた。
選んだのはエリュテイカと真逆の女性らしい体型の娼婦だった。
金色の長い髪、グリーンの瞳、豊満な胸と色っぽい濡れた唇。
一通り行為を終えた後に、葉巻きを吸いながらシュヴァルツと息抜きをしていた。
「エリュテイカとはどうなんだ? 初夜はすませたのか?」
「いいや……子どもっぽくって抱く気にならない」
エリュテイカは十六歳だ。
小柄で童顔なこともあり、正直言ってチェルヴォニのタイプではないためそそられない。
そう言うとシュヴァルツは「確かにな」と、腹を抱えて笑っている。
「シュヴァルツの方こそどうなんだ?」
「初夜を拒否した挙句、リリアンや母に嫌がらせにしているらしいんだ。許せないだろう!?」
「ああ……それが事実ならばな」
どうやらシュヴァルツも夫婦関係はまったくうまくいっていないようだ。
こうなることはわかっていたが、リリアンと王妃は懲りもせずにカーラーを孤立させるために頑張っているようだ。
(ダルモンテ国王も国のことを考えるならば彼女たちを止めるべきじゃないのか? まぁ……そのうちどうにかするだろう)
チェルヴォニも何度かカーラーと話したことはあるが、彼女は一言で言えば隙のないミステリアスな女性だった。
感情が動かないこともそうだが、ダルモンテ王国にはないエキゾチックな美しさは不気味とすら思える。
リリアンと王妃にはめられてシュヴァルツにろくな扱いを受けていないとなれば、周囲からも舐められているはずだ。
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