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ー絶望ー
④⑥
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初めはリリアンと母がフラーウムを見て怯えるのだと思っていた。
けれど彼女と対峙した途端、二人は取り乱したもののフラーウムに何故か敵意を剥き出しにしているではないか。
その姿にシュヴァルツは大きな違和感を覚えた。
(普通、自分たちを虐げていたフラーウムが帝国の人間といたら怯えるんじゃないのか? それなのにどうして二人はこんなに怒っているんだ?)
フラーウムを咎める言葉を聞いて呆然としていた。
そんな二人を見てフラーウムはまったく動じることなく、こちらを見つめている。
いや、見下しているようにも見えた。
リリアンは嫉妬心を露わにしているように見えるが、いつもは天使のように可愛いはずの彼女が今は醜くさえ見える。
(ボクの前にいるのは……本当にあのリリアンなのか!?)
リリアンと目が合うと、ハッとした後に目を逸らしてしまう。
母もやってしまったと言わんばかりに気まずそうにしている。
ルアンは明らかにフラーウムを溺愛しているようだ。
それに笑顔ではあるがリリアンと母を鋭く睨みつけているではないか。
射殺すような視線に二人は気づいていない。
「カーラー、彼は……」
「ルアン・ゲルベル……アーテルム帝国の軍団長です。若くしてトップに登り詰めた彼は皇帝の右腕ですわ。外見は優男ですが……気に入らない相手には容赦がありません。徹底的に潰すまで追い回すでしょう。執着心が強くて……アーテルム皇帝でなければコントロールできないでしょうね」
饒舌なカーラーに驚きつつも今はその情報がありがたいと思えた。
ヴィジョン伯爵やその娘のラウラが首を斬られて血溜まりができていた。
パーティーどころではなくなり、貴族たちは恐怖で震えながら帰ることになる。
お祝いムードは一転して地獄のような空気になった。
シュヴァルツは彼と話し合いの場を設けてみたが、ルアンはカーラーが言った通りこちらを追い詰めてくるではないか。
何故かルアンが知るはずもない情報を得ている。
きっちりと証拠を集めていて逃げ道はまるでない。
まず責められたのはヴィジョン伯爵が裏で糸を引いていた件についてだ。
どうやらシュヴァルツがあの場所に行って遊んだことはバレなかったようだが、リリアンと母がヴィジョン伯爵と繋がっており、フラーウムを売り飛ばそうとしていたことが発覚。
そこから芋蔓式に彼女たちこそがフラーウムを虐げていた証言が次々と出てきてしまった。
その事実を知ったシュヴァルツの頭は真っ白になっていた。
フラーウムが二人を虐げていたなどすべて嘘で、本当は……二人がフラーウムを虐げていたのだ。
(もしかしてカーラーも……?)
カーラーもフラーウムと同じ。
二人を虐げていたのではなく、二人から虐げられていたのだとしたら……。
(ボクはなんてことを……二人にずっと騙されていたのか?)
母も必死に言い訳をしていたが、リリアンは本性を露わにしていた。その荒れっぷりはひどいものだった。
結婚したフラーウムに遅れをとったことが悔しいらしい。
可愛らしい笑みなどなくなり、ひたすら暴言を吐く姿は悪魔のようだ。
「どうしてあんたがここにいるのよ! さっさと国から出て行きなさいっ」
「──リリアン、やめろっ!」
「復讐のつもりかなんだか知らないけど、わたくしを馬鹿にするなんて許せないんだからっ! 離せぇ、離せってばっ!」
「…………」
フラーウムはそんなリリアンをいない者のように無視している。
リリアンは病弱なことが嘘のように暴れ回っているではないか。
以前のリリアンの弱々しい姿はなくなってしまった。
「これ以上はフラーウムが疲れてしまう。リリアン・グリ・ダルモンテ……僕は君を許さない」
「はぁ!? アーテルム皇帝に訴えてやるわ! アンタなんて……っ」
「リリアンを部屋から出すな! 今すぐに動けっ」
父の命でリリアンは部屋の外へと引き摺られていく。
ルアンとフラーウムに深々と頭を下げる父。
きつい視線を向けられて、反射的にシュヴァルツも頭を下げた。
ルアンの刺すような視線は居心地が悪い。
顔を上げると、ルアンは不気味な笑みを浮かべながらフラーウムをエスコートしていく。
恐怖か絶望からなのか母はペタリとその場に座り込んでしまった。
父は頭を押さえながら何かを考えているようだがその顔は見たことがないほどに青ざめている。
シュヴァルツは嫌な予感を感じていた。
その予想通り王家はヴィジョン伯爵とガルベン男爵、リリアンの件について責任を追及されてしまう。
シュヴァルツは自分が母とリリアンに騙され続けていたことを受け入れることができなかった。
面倒事は父とチェルヴォニに押しつけて逃げ続けていた。
チェルヴォニは大変そうだったが、シュヴァルツは直接この件の対応に関わっていない。
変な招待状が届いていなければ、あの場所に行くことはなかった。
招待状は手紙に紛れて置いてあったし、シュヴァルツが進んで行きたいと思ったこともない。
フラーウムの件も騙されていたから冷たく当たっていただけ。
そうではなければちゃんと接していたし、フラーウムを孤立させることもなかった。
その証拠にルアンはシュヴァルツを責めることはない。
けれど彼女と対峙した途端、二人は取り乱したもののフラーウムに何故か敵意を剥き出しにしているではないか。
その姿にシュヴァルツは大きな違和感を覚えた。
(普通、自分たちを虐げていたフラーウムが帝国の人間といたら怯えるんじゃないのか? それなのにどうして二人はこんなに怒っているんだ?)
フラーウムを咎める言葉を聞いて呆然としていた。
そんな二人を見てフラーウムはまったく動じることなく、こちらを見つめている。
いや、見下しているようにも見えた。
リリアンは嫉妬心を露わにしているように見えるが、いつもは天使のように可愛いはずの彼女が今は醜くさえ見える。
(ボクの前にいるのは……本当にあのリリアンなのか!?)
リリアンと目が合うと、ハッとした後に目を逸らしてしまう。
母もやってしまったと言わんばかりに気まずそうにしている。
ルアンは明らかにフラーウムを溺愛しているようだ。
それに笑顔ではあるがリリアンと母を鋭く睨みつけているではないか。
射殺すような視線に二人は気づいていない。
「カーラー、彼は……」
「ルアン・ゲルベル……アーテルム帝国の軍団長です。若くしてトップに登り詰めた彼は皇帝の右腕ですわ。外見は優男ですが……気に入らない相手には容赦がありません。徹底的に潰すまで追い回すでしょう。執着心が強くて……アーテルム皇帝でなければコントロールできないでしょうね」
饒舌なカーラーに驚きつつも今はその情報がありがたいと思えた。
ヴィジョン伯爵やその娘のラウラが首を斬られて血溜まりができていた。
パーティーどころではなくなり、貴族たちは恐怖で震えながら帰ることになる。
お祝いムードは一転して地獄のような空気になった。
シュヴァルツは彼と話し合いの場を設けてみたが、ルアンはカーラーが言った通りこちらを追い詰めてくるではないか。
何故かルアンが知るはずもない情報を得ている。
きっちりと証拠を集めていて逃げ道はまるでない。
まず責められたのはヴィジョン伯爵が裏で糸を引いていた件についてだ。
どうやらシュヴァルツがあの場所に行って遊んだことはバレなかったようだが、リリアンと母がヴィジョン伯爵と繋がっており、フラーウムを売り飛ばそうとしていたことが発覚。
そこから芋蔓式に彼女たちこそがフラーウムを虐げていた証言が次々と出てきてしまった。
その事実を知ったシュヴァルツの頭は真っ白になっていた。
フラーウムが二人を虐げていたなどすべて嘘で、本当は……二人がフラーウムを虐げていたのだ。
(もしかしてカーラーも……?)
カーラーもフラーウムと同じ。
二人を虐げていたのではなく、二人から虐げられていたのだとしたら……。
(ボクはなんてことを……二人にずっと騙されていたのか?)
母も必死に言い訳をしていたが、リリアンは本性を露わにしていた。その荒れっぷりはひどいものだった。
結婚したフラーウムに遅れをとったことが悔しいらしい。
可愛らしい笑みなどなくなり、ひたすら暴言を吐く姿は悪魔のようだ。
「どうしてあんたがここにいるのよ! さっさと国から出て行きなさいっ」
「──リリアン、やめろっ!」
「復讐のつもりかなんだか知らないけど、わたくしを馬鹿にするなんて許せないんだからっ! 離せぇ、離せってばっ!」
「…………」
フラーウムはそんなリリアンをいない者のように無視している。
リリアンは病弱なことが嘘のように暴れ回っているではないか。
以前のリリアンの弱々しい姿はなくなってしまった。
「これ以上はフラーウムが疲れてしまう。リリアン・グリ・ダルモンテ……僕は君を許さない」
「はぁ!? アーテルム皇帝に訴えてやるわ! アンタなんて……っ」
「リリアンを部屋から出すな! 今すぐに動けっ」
父の命でリリアンは部屋の外へと引き摺られていく。
ルアンとフラーウムに深々と頭を下げる父。
きつい視線を向けられて、反射的にシュヴァルツも頭を下げた。
ルアンの刺すような視線は居心地が悪い。
顔を上げると、ルアンは不気味な笑みを浮かべながらフラーウムをエスコートしていく。
恐怖か絶望からなのか母はペタリとその場に座り込んでしまった。
父は頭を押さえながら何かを考えているようだがその顔は見たことがないほどに青ざめている。
シュヴァルツは嫌な予感を感じていた。
その予想通り王家はヴィジョン伯爵とガルベン男爵、リリアンの件について責任を追及されてしまう。
シュヴァルツは自分が母とリリアンに騙され続けていたことを受け入れることができなかった。
面倒事は父とチェルヴォニに押しつけて逃げ続けていた。
チェルヴォニは大変そうだったが、シュヴァルツは直接この件の対応に関わっていない。
変な招待状が届いていなければ、あの場所に行くことはなかった。
招待状は手紙に紛れて置いてあったし、シュヴァルツが進んで行きたいと思ったこともない。
フラーウムの件も騙されていたから冷たく当たっていただけ。
そうではなければちゃんと接していたし、フラーウムを孤立させることもなかった。
その証拠にルアンはシュヴァルツを責めることはない。
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