45 / 77
三章
④⑤
ライたちも負けじとピーターに言い返している。
一触即発の空気に父は真っ青になっている。
母も三人を諌めようとするが、三つ子はディアンヌにぴったりとくっついて離れようとしない。
どうやらディアンヌが急にいなくなったことを受け入れられずに、寂しい思いをしていたそうだ。
ディアンヌは片手をライたちに、もう片方はピーターに引かれて体が半分に千切れそうになっていた。
ディアンヌは喧嘩が始まりそうな四人を見て、あることを思いつく。
「ねぇライ、ルイ、レイ! ピーターにあなたたちの秘密の場所を見せてあげたら?」
その言葉に興味を示したのか、四人の動きがピタリと止まる。
ライたちはピーターに秘密の場所を紹介したくなったのか、ウズウズとしている。
ピーターも秘密の場所と聞いて、興味津々といった様子だ。
ライたちに「あとでクッキーを持っていくわね」と声を掛けると「仕方ないな」と、言いつつもピーターを誘っている。
ピーターも独占欲より好奇心が優ったのか、ディアンヌから離れてライたちについていくことにしたようだ。
四人は先ほどの険悪な雰囲気が嘘のように秘密の場所へと向かっていった。
ディアンヌは彼らを宥めることができて安心していた。
ロアンが「さすが姉上ですね」と、言ってくれる。
久しぶりに感じる冷たい風と自然の優しい匂い。
メリーティー男爵領に帰るのは、随分と久しぶりな気がした。
(懐かしいわ。最近はずっとベルトルテ公爵邸の中にいたから……)
リュドヴィックも景色を眺めていたが、カチカチに緊張している父の案内で屋敷の中に入る。
四人の面倒はロアンに任せることにした。
ディアンヌは屋敷の状態や両親の顔色がパーティーに行く前よりもよくなっていることに安心していた。
恐らくリュドヴィックや王家から十分な援助をしてもらったからだろう。
そこで改めてリュドヴィックは結婚の挨拶をする。
これが契約結婚だということは、もちろん両親には言っていない。
色々とパーティーのことを聞かれて、オドオドしているディアンヌとは違い、リュドヴィックはピーターをきっかけにディアンヌと出会ったことを話している。
「そこでピーターを助けてくれたんです。そんな優しい心を持つディアンヌに心惹かれました」
「まぁ……!」
母はピーターをきっかけに、リュドヴィックと出会ったことを聞いて感動しているようだ。
ディアンヌは話をリュドヴィックに任せて、隣でにこやかに笑っていることしかできなかった。
「彼女はこんな私を受け入れてくれました。ディアンヌは私が責任を持って幸せにします」
「……!」
「ディアンヌと結婚できてよかったと、そう思っています」
リュドヴィックの言葉に母は目元を押さえて涙ぐんでいる。
父は涙と鼻水で何を言っているかわからない。
しかしディアンヌは顔から火が出そうなほどに赤くなっていた。
リュドヴィックが淡々と語ってはいるが、どれもディアンヌのことを愛しているという内容だからだ。
(契約結婚だからとわかっているのに、リュドヴィック様にこんな風に言われると照れてしまうわ……!)
母が紅茶を出すために立ち上がったのと同時に、ディアンヌも部屋の外へ。
これ以上は恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだった。
リュドヴィックを父に任せ、慌ててキッチンへと向かう。
キッチンで紅茶やクッキーを準備していると母が頬を押さえながら、うっとりとしている。
「ベルトルテ公爵はとても素敵な方ね。ディアンヌのことをこんなに愛してくださって……」
「あ、愛って……!」
「あら? 好意がないとあの言葉は出てこないんじゃないかしら?」
「~~っ!」
一触即発の空気に父は真っ青になっている。
母も三人を諌めようとするが、三つ子はディアンヌにぴったりとくっついて離れようとしない。
どうやらディアンヌが急にいなくなったことを受け入れられずに、寂しい思いをしていたそうだ。
ディアンヌは片手をライたちに、もう片方はピーターに引かれて体が半分に千切れそうになっていた。
ディアンヌは喧嘩が始まりそうな四人を見て、あることを思いつく。
「ねぇライ、ルイ、レイ! ピーターにあなたたちの秘密の場所を見せてあげたら?」
その言葉に興味を示したのか、四人の動きがピタリと止まる。
ライたちはピーターに秘密の場所を紹介したくなったのか、ウズウズとしている。
ピーターも秘密の場所と聞いて、興味津々といった様子だ。
ライたちに「あとでクッキーを持っていくわね」と声を掛けると「仕方ないな」と、言いつつもピーターを誘っている。
ピーターも独占欲より好奇心が優ったのか、ディアンヌから離れてライたちについていくことにしたようだ。
四人は先ほどの険悪な雰囲気が嘘のように秘密の場所へと向かっていった。
ディアンヌは彼らを宥めることができて安心していた。
ロアンが「さすが姉上ですね」と、言ってくれる。
久しぶりに感じる冷たい風と自然の優しい匂い。
メリーティー男爵領に帰るのは、随分と久しぶりな気がした。
(懐かしいわ。最近はずっとベルトルテ公爵邸の中にいたから……)
リュドヴィックも景色を眺めていたが、カチカチに緊張している父の案内で屋敷の中に入る。
四人の面倒はロアンに任せることにした。
ディアンヌは屋敷の状態や両親の顔色がパーティーに行く前よりもよくなっていることに安心していた。
恐らくリュドヴィックや王家から十分な援助をしてもらったからだろう。
そこで改めてリュドヴィックは結婚の挨拶をする。
これが契約結婚だということは、もちろん両親には言っていない。
色々とパーティーのことを聞かれて、オドオドしているディアンヌとは違い、リュドヴィックはピーターをきっかけにディアンヌと出会ったことを話している。
「そこでピーターを助けてくれたんです。そんな優しい心を持つディアンヌに心惹かれました」
「まぁ……!」
母はピーターをきっかけに、リュドヴィックと出会ったことを聞いて感動しているようだ。
ディアンヌは話をリュドヴィックに任せて、隣でにこやかに笑っていることしかできなかった。
「彼女はこんな私を受け入れてくれました。ディアンヌは私が責任を持って幸せにします」
「……!」
「ディアンヌと結婚できてよかったと、そう思っています」
リュドヴィックの言葉に母は目元を押さえて涙ぐんでいる。
父は涙と鼻水で何を言っているかわからない。
しかしディアンヌは顔から火が出そうなほどに赤くなっていた。
リュドヴィックが淡々と語ってはいるが、どれもディアンヌのことを愛しているという内容だからだ。
(契約結婚だからとわかっているのに、リュドヴィック様にこんな風に言われると照れてしまうわ……!)
母が紅茶を出すために立ち上がったのと同時に、ディアンヌも部屋の外へ。
これ以上は恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだった。
リュドヴィックを父に任せ、慌ててキッチンへと向かう。
キッチンで紅茶やクッキーを準備していると母が頬を押さえながら、うっとりとしている。
「ベルトルテ公爵はとても素敵な方ね。ディアンヌのことをこんなに愛してくださって……」
「あ、愛って……!」
「あら? 好意がないとあの言葉は出てこないんじゃないかしら?」
「~~っ!」
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された夜、最強魔導師に「番」だと告げられました
阿里
恋愛
学院の祝宴で告げられた、無慈悲な婚約破棄。
魔力が弱い私には、価値がないという現実。
泣きながら逃げた先で、私は古代の遺跡に迷い込む。
そこで目覚めた彼は、私を見て言った。
「やっと見つけた。私の番よ」
彼の前でだけ、私の魔力は輝く。
奪われた尊厳、歪められた運命。
すべてを取り戻した先にあるのは……
【完結】戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
水都 ミナト
恋愛
最高峰の魔法の研究施設である魔塔。
そこでは、生活に不可欠な魔導具の生産や開発を行われている。
最愛の父と母を失い、継母に生家を乗っ取られ居場所を失ったシルファは、ついには戸籍ごと魔塔に売り飛ばされてしまった。
そんなシルファが配属されたのは、魔導具の『メンテナンス部』であった。
上層階ほど尊ばれ、難解な技術を必要とする部署が配置される魔塔において、メンテナンス部は最底辺の地下に位置している。
貴族の生まれながらも、魔法を発動することができないシルファは、唯一の取り柄である周囲の魔力を吸収して体内で中和する力を活かし、日々魔導具のメンテナンスに従事していた。
実家の後ろ盾を無くし、一人で粛々と生きていくと誓っていたシルファであったが、
上司に愛人になれと言い寄られて困り果てていたところ、突然魔塔の最高責任者ルーカスに呼びつけられる。
そこで知ったルーカスの秘密。
彼はとある事件で自分自身を守るために退行魔法で少年の姿になっていたのだ。
元の姿に戻るためには、シルファの力が必要だという。
戸惑うシルファに提案されたのは、互いの利のために結ぶ契約結婚であった。
シルファはルーカスに協力するため、そして自らの利のためにその提案に頷いた。
所詮はお飾りの妻。役目を果たすまでの仮の妻。
そう覚悟を決めようとしていたシルファに、ルーカスは「俺は、この先誰でもない、君だけを大切にすると誓う」と言う。
心が追いつかないまま始まったルーカスとの生活は温かく幸せに満ちていて、シルファは少しずつ失ったものを取り戻していく。
けれど、継母や上司の男の手が忍び寄り、シルファがようやく見つけた居場所が脅かされることになる。
シルファは自分の居場所を守り抜き、ルーカスの退行魔法を解除することができるのか――
※他サイトでも公開しています
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
私の作るおにぎりが、騎士団の士気を異常に上げています(犯人は副団長)
星乃和花
恋愛
おにぎりを配っただけで、騎士団の士気が異常値になりました。
団長は警戒、監察部は呪術検査、国まで動きかけるのに――副団長だけが平然と断言。
副団長「彼女のご飯は軍事物資です」
私「えっ重い」
胃袋で落ちた策略家副団長の“最適化溺愛”に巻き込まれ、気づけば専属補給係(=婚約)寸前!?
ほのぼの爆笑&甘々の騎士団ラブコメです。
(完結済ー本編16話+後日談6話)
わんこな旦那様の胃袋を掴んだら、溺愛が止まらなくなりました。
楠ノ木雫
恋愛
若くして亡くなった日本人の主人公は、とある島の王女李・翠蘭《リ・スイラン》として転生した。第二の人生ではちゃんと結婚し、おばあちゃんになるまで生きる事を目標にしたが、父である国王陛下が縁談話が来ては娘に相応しくないと断り続け、気が付けば19歳まで独身となってしまった。
婚期を逃がしてしまう事を恐れた主人公は、他国から来ていた縁談話を成立させ嫁ぐ事に成功した。島のしきたりにより、初対面は結婚式となっているはずが、何故か以前おにぎりをあげた使節団の護衛が新郎として待ち受けていた!?
そして、嫁ぐ先の料理はあまりにも口に合わず、新郎の恋人まで現れる始末。
主人公は、嫁ぎ先で平和で充実した結婚生活を手に入れる事を決意する。
※他のサイトにも投稿しています。
【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました
22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。
華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。
そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!?
「……なぜ私なんですか?」
「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」
ーーそんなこと言われても困ります!
目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。
しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!?
「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」
逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?
拾ってないのに、最上位が毎日“帰る”んですがーー飼い主じゃありません!ただの受付係です!
星乃和花
恋愛
王都ギルド受付係リナは、今日も平和に働く予定だった。
……のに。
「お腹すいた」
そう言って現れたのは、最上位の英雄レオン。
強いのに生活力ゼロ、距離感ゼロ、甘え方だけは一流。
手当てすれば「危ない」と囲い込み、
看病すれば抱きしめて離さず、
ついには――
「君が、俺の帰る場所」
拾ってない。飼ってない。
ただ世話を焼いただけなのに、英雄が毎日“帰ってくる”ようになりました。
無自覚世話焼き受付嬢 × 甘えた天然英雄の
距離感バグ甘々ラブコメ、開幕!
⭐︎完結済ー本編8話+後日談9話⭐︎