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第一章 【第一星巡り部隊】
第二節 二人の家族
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「使える属性魔力は土、補助属性に水。生まれた当初のスキルは無し。そこから魔力の成長の度合いにより、土属性のスキルが仕えます。特殊スキルは……」
ユーベルク司祭は魂にスキルを連ねていく。
これも、転生を行う際に必要な作業だ。二つの世界の力関係が均等になるよう取り計らわなければならない。いたずらに高スキル、高魔力など設定しては力関係が偏り五つの世界の均衡が壊れてしまうから。
スキル設定を行っている時は俺はいてもいなくてもいいのだが、なんとなくその場から離れがたくなってしまい、じっと立ち続けていた。
「魂への縁付けを完了いたしました。ハインドリヒ司教様、馬場公平の御霊をカーマインへと送り届けくださいませ」
ユーベルク司祭の掌に、ふわふわと浮かぶ白い光が現れる。
馬場公平の魂だ。
真白のローブをかぶった翁、ハインドリヒ司教はその魂を慈愛に満ち溢れた瞳で見据え、皺のある手で触れ慈しむように覆い隠した。
「嗚呼、なんと柔らかな御霊か」
その言葉の後、一呼吸おいて司教は掌を広げ魂を上へと向ける。
「我は許そう、汝を許そう。身を捨て、むき出しのその御霊を覆う体を得ることを許そう」
ちかちかと、教会内の照明が明滅する。
窓は締め切っているのに風は吹きすさび、冬でもないのに背筋はつめたい。
「願うことはかの星で叶えよ。思う気持ちはかの星で叶えられよ。御霊に宿る悲しみを忘れ、御霊に宿る愛しさを忘れ、真白に染まる御霊は我がかの星へ導こう」
柔らかな風に変わり、木漏れ日が落ちてくるように暖かな空気に包まれる。
ハインドリヒ司教の掌の上で沈黙していた魂は、踊るように円を描き空中にかけていく。その瞬間、ユーベルク司祭が目をつむり、俺も素早く目をつむってハインドリヒ司教の動作を見ないようにする。
魂を別世界に送る瞬間は、教会つきの俺でも、傍にいるユーベルク司祭でさえも見てはいけない。魂を送るもの以外がその瞬間を見る事は、すなわち魂の消失を意味する。
それほどまでに、繊細なものなのだ。
「縁をたどり、かの星へ向かう汝の御霊に神の祝福があらんことを…」
ハインドリヒ司教は穏やかな声音でそう紡いだ。
柔らかな風は俺の頬を通り過ぎ、木漏れ日のようなあたたかな空気は溶けるように消えた。それを体感し、俺はゆったりと目を開ける。
祭壇の前で、柔和に笑みを向けるハインドリヒ司教をみつめてああ、成功したんだな。っと心が軽くなる。
「ご苦労だった、ユーベルク」
「ありがとうございます」
「そしてレナトゥスよ。私からの単独依頼、よくぞかなえてくれた。この後は仕事もないだろう。ゆっくり休むとよい」
「俺はできることをやったまでです。…けど、ありがとうございます」
真っすぐに向けられる言葉に気恥ずかしさを感じながらも、声音には出さず冷静に返す。
一通り事後確認を終えた後、ユーベルク司祭は真白のローブをひるがえし教会の奥へと戻っていく。
先ほど行っていた魂の縁付け他にも、司祭が行う仕事は多い。事務処理は助祭や教会補助要員に任せておけばいいと思うものの、几帳面な性格のユーベルク司祭はそれすらも自分で行おうとする。
昔から思ってはいたが、なにかと不器用な人だ。
ユーベルク司祭の後ろ姿を眺めていれば、ハインドリヒ司教はこぼすように笑いだす。
何かと思い視線を向ければ、柔和な笑みは鳴りを潜め悪戯気に微笑んでいるではないか。“司教”ではなく“父親”としての表情を見せるハインドリヒは俺の心の内を代弁するかのように言葉を零した。
「悪いな。ユーベルクも、もう少しお前と喋っていけばいいものの」
「…あの人の不器用な性格にはもう慣れっこですから」
「ふふっ。そう寂しがらずともよい。あやつはすぐにでも仕事を片付け、明日にでもお主のもとに向かうだろう」
「いえ、あの人のことです。今夜にでも訪れそうな気がします」
「ははははっ確かにのう」
一週間ぶりの、対話。
別世界に行っている時は寂しさで押しつぶされそうになるため考えもしなかったが、俺はこの時間…“家族”との時間を何よりも大切にしている。
アストラル教会
司教のハインドリヒ・ノーツ。
司祭のステイ・ユーベルク。
血の繋がりは一切ないがそれでもこの二人は俺の家族だ。
生みの両親の記憶がなく、物心つく前からこの教会の前に捨てられていた俺を拾い今日まで育て上げてくれた。
「レナト。……おかえり」
ハインドリヒは笑って俺の頭を撫でてくれる。
もう子供じゃない、と反論したいがそれでもその暖かな右手を払いのけることなんてできない。変わりに俺もニッと笑って
「ああ。ただいま、父さん」
大きく声を張り上げた。
ユーベルク司祭は魂にスキルを連ねていく。
これも、転生を行う際に必要な作業だ。二つの世界の力関係が均等になるよう取り計らわなければならない。いたずらに高スキル、高魔力など設定しては力関係が偏り五つの世界の均衡が壊れてしまうから。
スキル設定を行っている時は俺はいてもいなくてもいいのだが、なんとなくその場から離れがたくなってしまい、じっと立ち続けていた。
「魂への縁付けを完了いたしました。ハインドリヒ司教様、馬場公平の御霊をカーマインへと送り届けくださいませ」
ユーベルク司祭の掌に、ふわふわと浮かぶ白い光が現れる。
馬場公平の魂だ。
真白のローブをかぶった翁、ハインドリヒ司教はその魂を慈愛に満ち溢れた瞳で見据え、皺のある手で触れ慈しむように覆い隠した。
「嗚呼、なんと柔らかな御霊か」
その言葉の後、一呼吸おいて司教は掌を広げ魂を上へと向ける。
「我は許そう、汝を許そう。身を捨て、むき出しのその御霊を覆う体を得ることを許そう」
ちかちかと、教会内の照明が明滅する。
窓は締め切っているのに風は吹きすさび、冬でもないのに背筋はつめたい。
「願うことはかの星で叶えよ。思う気持ちはかの星で叶えられよ。御霊に宿る悲しみを忘れ、御霊に宿る愛しさを忘れ、真白に染まる御霊は我がかの星へ導こう」
柔らかな風に変わり、木漏れ日が落ちてくるように暖かな空気に包まれる。
ハインドリヒ司教の掌の上で沈黙していた魂は、踊るように円を描き空中にかけていく。その瞬間、ユーベルク司祭が目をつむり、俺も素早く目をつむってハインドリヒ司教の動作を見ないようにする。
魂を別世界に送る瞬間は、教会つきの俺でも、傍にいるユーベルク司祭でさえも見てはいけない。魂を送るもの以外がその瞬間を見る事は、すなわち魂の消失を意味する。
それほどまでに、繊細なものなのだ。
「縁をたどり、かの星へ向かう汝の御霊に神の祝福があらんことを…」
ハインドリヒ司教は穏やかな声音でそう紡いだ。
柔らかな風は俺の頬を通り過ぎ、木漏れ日のようなあたたかな空気は溶けるように消えた。それを体感し、俺はゆったりと目を開ける。
祭壇の前で、柔和に笑みを向けるハインドリヒ司教をみつめてああ、成功したんだな。っと心が軽くなる。
「ご苦労だった、ユーベルク」
「ありがとうございます」
「そしてレナトゥスよ。私からの単独依頼、よくぞかなえてくれた。この後は仕事もないだろう。ゆっくり休むとよい」
「俺はできることをやったまでです。…けど、ありがとうございます」
真っすぐに向けられる言葉に気恥ずかしさを感じながらも、声音には出さず冷静に返す。
一通り事後確認を終えた後、ユーベルク司祭は真白のローブをひるがえし教会の奥へと戻っていく。
先ほど行っていた魂の縁付け他にも、司祭が行う仕事は多い。事務処理は助祭や教会補助要員に任せておけばいいと思うものの、几帳面な性格のユーベルク司祭はそれすらも自分で行おうとする。
昔から思ってはいたが、なにかと不器用な人だ。
ユーベルク司祭の後ろ姿を眺めていれば、ハインドリヒ司教はこぼすように笑いだす。
何かと思い視線を向ければ、柔和な笑みは鳴りを潜め悪戯気に微笑んでいるではないか。“司教”ではなく“父親”としての表情を見せるハインドリヒは俺の心の内を代弁するかのように言葉を零した。
「悪いな。ユーベルクも、もう少しお前と喋っていけばいいものの」
「…あの人の不器用な性格にはもう慣れっこですから」
「ふふっ。そう寂しがらずともよい。あやつはすぐにでも仕事を片付け、明日にでもお主のもとに向かうだろう」
「いえ、あの人のことです。今夜にでも訪れそうな気がします」
「ははははっ確かにのう」
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生みの両親の記憶がなく、物心つく前からこの教会の前に捨てられていた俺を拾い今日まで育て上げてくれた。
「レナト。……おかえり」
ハインドリヒは笑って俺の頭を撫でてくれる。
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